スケベザウルス襲来!
-Chinatown-
ボッサンはカオルの運転するDUCATl749Rの後ろに乗り、ヒゲの男の乗ったベンツを探して夜のチャイナタウンを走りまわっていた。
前方にベンツのテールランプらしき物を発見!
「あれだろ!」
近づいていくと、確かにヒゲの男が乗ったベンツだった。
「車の通りが少ないから目立つな。カオル、ライトを消してくれ」
「何言ってんの!ライト消したら見えないじゃないの!」
「街の明かりで見えるよ。いいから消せ!さもないとまた胸触っちまうぞ!」
「ち、ちょっとやめてよ!わかったわよ、消すわよ!」
カオルは渋々ヘッドライトを消した。
確かに街明かりだけでも回りは見えた。
ライトを消したまま尾行していくと、ヒゲの男の乗ったベンツはリトルトーキョーに入っていった。
「あなたの言った通りリトルトーキョーに来たわね」
「ああ、多分ここの何処かに奴の隠れ家があるハズだ!」
ヒゲの男が乗ったベンツは、しばらく走っていくと、あるビルの地下駐車場へ入っていった。
ビルの横にバイクを止めて2人は降りた。
カオルはフルフェイスを取って髪をかきあげながら言った。
「ここがボスの隠れ家ね!」
ボッサンは地下駐車場入り口の上に書いてある文字を読んだ。
「オリエンタルビル...。銀行から盗んだ金の受け渡しに使ってたビルか!よし、乗り込むぞ!」
ボッサンとカオルが地下駐車場に入ろうとした時、1台の車が2人の目の前で止まり行く手を塞いだ!
「わっ!何だよ、危ねぇじゃねぇか!」
運転席と助手席から、サングラスをかけた黒のスーツ姿のイカツイ男が降りてきて、銃を向けてきた!
「Freeze!(動くな!)」
ボッサンとカオルは両手を上げた。
「何だオメ~ら!カオル、知り合いか?」
「知らないわよ!こんな奴ら!」
黒のスーツの男たちは、ボッサンとカオルの背中に銃を突きつけて、車のボンネットに頭を押し付けると両腕を背中に回して手錠を掛けた!
「イテテテッ!ふざけんなゴゥラ!」
「You! Am I what a detective knows?(あなたたち!私が刑事って知ってるの?)」
黒のスーツの男たちは何も答えずに、ボッサンとカオルを車のリヤシートに押し込んだ!
ボッサンは黒のスーツの男たちに言った。
「おめ~らラッキー市長を護衛してたシークレットサービスだな?」
ルールミラーに写ったサングラスの中の目がボッサンを睨んだ。
突然助手席の男が振り返って、ボッサンとカオルにスプレーをかけた!
車が発進してオリエンタルビルの横を通り過ぎる時、ビルの正面が見えた。
ボッサンは遠退いていく意識の中である事に気付いた。
「ん?ここ...は......」
ボッサンとカオルは気を失った......
カオルが目を覚ますと、辺り一面真っ暗闇だった。
「どこなの?ここは?」
何か聞こえてきた。
怪獣の雄叫びのような...
段々近づいてくる!
ガオ~!
ガオ~!
目を凝らしてよく見ると、ティラノザウルスがこっちに向かって走ってくるではないか!
「ちょっとやめてよ~!」
カオルは走って逃げた!
だが差は縮まるばかり!
カオルは木の根っこにつまずいて転んでしまった!
迫るティラノザウルス!
ガオ~!
ティラノザウルスの足がカオルの上に覆い被さってきた!
「踏み潰される!いや~!」
ティラノザウルスの足がカオルのお腹に乗った!
「重い~!」
今度はティラノザウルスの頭が口を開けて迫ってきた!
ガオ~!
「食べられる!たすけて~!」
迫ってきたティラノザウルスの顔が、何故かボッサンの顔になった!
そして目の前まで来ると、ニヤニヤしながら喋った!
「オッパイ触っちまうぞ~!ガオ~!」
イヤらしい手つきをしながら手を伸ばしてきた!
「いやー!!」
カオルは目を覚ました。
「夢か... 気色悪い夢を見てしまったわ」
カオルは仰向けに寝たままため息をついた。
ガオ~
「え?ティラノザウルス?まさか!」
ガオ~
その雄叫びはカオルのお腹の辺りから聞こえてきた。それにお腹が重い。
カオルは頭を上げて見ると、目の前にボッサンの顔があった。
ボッサンは、カオルのお腹を枕にして大イビキをかいて寝ていたのであった!
「ちょっと~!人のお腹で何寝てんのよ!」
ガオ~
ボッサンの気持ち良さそうな寝顔を見ていたら、段々腹が立ってきたカオル!
カオルはボッサンの鼻を摘まんでみた。しばらくして口がパカッと開いた。
カオルは笑いを堪えながら、もう一方の手で顎を押さえて口を閉じてみた。
しばらくすると、手足をバタバタさせてボッサンは飛び起きた!
「プハ~!」
ボッサンは笑っているカオルと目が合った。
「夢か... 水着の美女の膝枕で寝ていたら、突然その美女に首を絞められた。死ぬかと思ったよ」
首の周りを擦るボッサンにカオルは言った。
「水着の美女じゃなくて悪かったわね!絞め殺しておけばよかったかしらこのスケベザウルスを!」
膨れっ面をしてそっぽを向くカオル。
「何で怒ってんだよ!なんだよスケベザウルスって?」
夫婦喧嘩みたいな事をしている2人の前に、男がやって来て声を掛けた。
「あの~…」
ボッサンとカオルは声を揃えて言った。
「なんだ!」
「なによ!」
「そこに寝ていると掃除が出来ないんですけど...」
ホウキとチリトリを持ったコンビニの店員が申し訳なさそうに言った。
ボッサンとカオルは周りを見渡した。
辺りはすっかり明るくなって次の日の朝だった!2人が寝ていた場所は、コンビニの前の歩道の真ん中だった!
まだ時間が早い事もあって歩いている人はまばらだったが、それでも歩いてきたサラリーマンは、異様な光景を見る目付きで通り過ぎていった。
「ちょっとやだ~!」
「ちきしょう!あいつらこんな所に置いていきやがって!」
ボッサンとカオルは立ち上がって、恥ずかしそうに歩いていった。
「スケベザウルスってなんだよ?」
「思い出すだけでゾッとするわ!だけどあなた、何でそんなかっこしてるの?」
「あ~これか?これは敵の服を奪って......
あー!俺のコート!燃えちまった~… 今頃灰になってるよな~。気に入ってたのにな~
ちきしょ~!」
「命が灰にならなかっただけでも良かったじゃない」
「グスン...」




