グッドタイミング!
-Chinatown" Refining plant "-
男に銃を突き付けられて両手を上げるボッサンとユオ!
ボッサンは小声で言った。
「ユオ、いっせぇのせで銃を抜け」
「『せ』で抜くのね」
男は興奮して銃を振り回しながら言った!
「 别说!赶快取面具!(喋るな!さっさとマスクを取れ!) 」
ボッサンはゆっくりと両手を下ろしてマスクに手を掛けた!
「トンイーシア!
いくぞ!いっせぇのせ!」
ユオは背中から拳銃を抜いた!
それを見た男はユオに銃口を向けた!ボッサンはそれと同時に段ボール箱を蹴って、男の持っている拳銃に当てた!
段ボール箱が拳銃に当たったのと、引き金を引いたのがほぼ同時だった!弾丸はユオの頭をかすめて辛うじて逸れた!
ボッサンは男に飛び掛かった!
ユオも飛び掛かる!
ボッサンは男の持っている拳銃をもぎ取って、銃底で男の後頭部を思い切り殴った!男はその場に倒れた!
「什么!现在的枪声!(何だ!今の銃声は!)」
2、3人の足音と声が迫って来た!
「ユオ、逃げるぞ!」
「まったく~!弾当たりそうだったし~!」
ボッサンとユオはマスクを取って走り出した!
階段を降りようとしたら1階から誰か上がって来た!
「 畜生!去了那个家伙们何处!(ちくしょう!あいつら何処へいった!)」
ボッサンとユオは釜の陰に隠れた!
後ろからは、さっき倒した男が首を擦りながら、AK-47を構えた男2人とこっちへ迫って来た!
「在何处上(里)隐藏!出来!(何処に隠れている!出て来い!)」
ボッサンとユオは挟み撃ちにされて逃げ場を失ってしまった!
幸いこの部屋には機械がビッシリと並んでいて、隠れる所は沢山あった。
1階から上がってきた1人は、下着姿で銃を構えながら、ボッサンとユオが隠れている釜に迫って来た!
ボッサンは隠れながら床に手を着くと何かが手に触れた。拾ってみるとナットだった。そのナットを遠くに投げた!
カラカラ~ン
「那边吗!(そっちか!)」
男は音のする方へ走っていった!
「ふぅ~、危ねぇ危ねぇ。ひとまずここをずらかるか。ユオ、援護してくれ」
「やだよ!1人取り残されるのはごめんだから」
「そんな仲間を見捨てるなんて事する訳ないじゃんよ」
「ほんと~?」
「ほんとほんと!信用しろよ」
「神に誓って~?」
「それは出来ない」
「何でよ!」
「神様は信じないから」
「も~!
とにかく、一緒に逃げようよ!」
ボッサンとユオは釜の陰から様子を伺った。通路に1人、AK47を構えた男が背中を見せている。
「ユオ、今だ!行くぞ!」
ボッサンとユオが釜の陰から飛び出した時、ユオの携帯電話の着信音『おじゃ魔女ドレミ♪』が鳴り出した!
男は振り返った!
「 那里吗!(そこか!)」
男はボッサンとユオ目掛けて引き金を引いた!
遅い連射音と共に放たれた弾丸は、ボッサンとユオの行く手を阻んだ!
また釜の後ろに戻ったボッサンとユオ。ボッサンが顔を出すと途端に弾が飛んでくる!ボッサンは銃だけ出して応戦する!
飛んで来た弾が釜や操作盤に当たって火花を散らす!
「あちっ!
くそ!動けねぇじゃねぇか!」
男から奪った銃の弾を撃ち尽くし、自分のガバメントを抜くボッサン。
ユオは立ち上がって釜を見上げた。
「ボッサン、この釜へんな音がして何かおかしいよ」
ボッサンはしゃがんで敵の様子を伺っている。
「そんな事はどうでもいい!団体様でお越しの様だぞ!」
AK47を持った男を先頭に5人の男たちは、ボッサンとユオが隠れている釜へジリジリと迫っていった!1人の男が言った。
「哎!那个锅危险!(おい!あの釜ヤバいぞ!)」
ボッサンとユオが隠れている釜の、上に繋がっているパイプの隙間から蒸気が噴き出していた!
釜の制御盤に弾が当たり、制御不能になって温度が急上昇していた!そしてステンレス製の釜がブルブル震えてあちこちから蒸気が漏れ始めた!
「爆炸!逃跑!(爆発する!逃げろ!)」
5人の男たちは後退りして一目散に逃げていった!
それを見てボッサンは、立ち上がってガバメントをホルスターに仕舞った。
「勝てないと分かって恐れを成して逃げたか」
「ボッサン!後ろ後ろ!」
「あ~?志村けんでもいるのか~?......!」
ボッサンが振り返ると、釜はあちらこちらから蒸気が噴き出して、爆発寸前でガタガタ振動していた!
「やっべ~!逃げろ!」
ボッサンとユオは急いで逃げ出した!
釜のナットが圧力で飛び出して、銃の弾丸のように飛んで来た!
「ヒェ~!」
ボッサンとユオが建物の外に出た途端、地響きと共に爆発が起こった!
2階の窓ガラスが粉々に吹っ飛んで、雨の様に降ってきた!
「うわ~!」
建物の2階は火の海となり、窓から炎が噴き出した!
その建物の地下駐車から1台のベンツが飛び出していった!
運転席にはヒゲの男が乗っていた!
「ヒゲだ!あの野郎何処に隠れていやがった!
奴を追うぞ!ユオ、車!」
「その車だけど、ちょっと動かせそうにないみたい」
ユオの視線をたどると、スギポンに借りてきたフォードのワゴンは、建物の横に止めてあった為炎に包まれていた。
「なんだと~!くっそ~、これまでか!」
このままヒゲの男は逃げてしまうのか!
そう思った時、1台のバイクがボッサンとユオの前に止まった!
真っ赤なDUCATl749Rに股がった黒のレザースーツ姿のドライバーは、フルフェイスのシールドを上げて、燃え上がる建物を見上げながら言った。
「何があったの?それに何なのそのかっこ?まさかあなたたちの仕業じゃないでしょうね!」
ボッサンとユオに話し掛けてきたのは、ロス市警で出会った強盗殺人課の日比野カオルだった!
「あれ~、お前ロス市警のスケバン刑事『カオル』じゃねぇか!」
「誰がスケバン刑事よ!」
「ちょうど良かった!霜月のボスが今逃げていった!後を追いたいが車がない!」
「これから家に帰るところなんだけど...分かったわ!詳しい事は後で聞くわ。後ろに乗って!」
云われるが早いかボッサンはカオルの後ろに股がった!
「ユオ、後は頼んだ!カオル行ってくれ!」
「しっかり掴まっててよ!」
カオルはヘルメットのシールドを下ろすと、フルスロットルで発進した!
ボッサンを乗せたカオルのDUCATlは、あっという間に小さくなって見えなくなった。
炎は建物全体に回り、もうもうと煙を上げながら燃え盛っていた。
遠くで消防車のサイレンが聞こえてきて火の粉がチラチラ降る中、1人ポツンとたたずむユオ。
「『後は頼んだ』って、どうすりゃいいのよ」
ボッサンとカオルは、ヒゲの男の行方を勘を頼りに探していた。
「こっちでいいのね?」
「ああ、俺の勘ではリトルトーキョーに向かっていると思う」
カオルはアクセルを開けた!
ボッサンは落ちない様にカオルにしがみつく。
「キャッ!ちょっとどこ触ってんのよ!」
「あ、わりい。急に加速するから」
「変な事すると振り落とすわよ!」
カオルはシフトダウンするとウイリーしながら加速していった!
「わわわっ!やめろ~!」
ボッサンの声は夜のチャイナタウンに響き渡った。




