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第七話

 「ちょっと、本物のナバトじゃないの、何でこんなトコロにやって来てんのよ?」


 サチ姉は動揺しながら、こっちに耳打ちをしてきた。


 「知らないけど、最近、良く様子を見にやって来てくれるんだよ」


 そういうとサチ姉は一旦、自分から視線を外し…。


 「アハハ…」


 と一礼する。 


 「気をつけてよ、日本語理解しているから…」


 一応、そう耳打ちをして、サチ姉に注意しているとナバトは言った。


 「ああ、初めまして、私はフリオニル・ナバトと申します。


 というより、知ってますか?」


 ハッハッハッと軽快に笑いながらジョークを飛ばす、このステイツの大統領だったが…。


 隣にいるローリィさんの通訳越しなので面白みが全然がない。


 「ああ、ええ、こちらこそ隣に住んでる」


 だからこそわかるものがある。


 無視されたことは相当、気にしているようだった。


 「ええ、こちらこそ隣に住んでる田中 サチです。


 すいません、話に盛り上がってて、つい…」


 「いや、気にはしてませんよ。


 無視されるなんて、大統領になって、初めての事ですがね…」


 通訳越しだが、自分の胃が痛くなるのを感じる。


 自分達の行いで日米の外交が悪くなるのかと思いもすれば、一際痛くなる。


 「ねえ、サトル、これジョークなのよね、そうよね?」


 サチ姉もコレを感じているのだろうか、『助けて』とばかり視線を投げ付けてきたので、自分も含めて助け舟を出す事にした。


 「そ、そういえば、あの約束をした例のモノを持ってきてくれました?」


 ローリィさんが通訳して、ナバトは思い出したかのようなリアクションをして、カバンの中をから何冊か資料の入った封筒を取り出していると、サチは再度、耳打ちをした。


 「ねえ、サトル、さっき日本語理解してるって言ってたけど通訳使ってるって事は、ホントはわかんないんじゃないの?」


 「だから油断すんなって、ウチの父さん、日本語で怒られてんだから…?」


 「マジで!?」


 「おかげで次の日には『呑みに行こう』と誘われる始末で、会社ではウチの父さん、二階級特進なんだから」


 「アンタの父さん、死亡扱いされてるわね…」


 するとナバトは一冊の封筒の中身を丁寧に広げて見せた。


 「写真…?」


 「はい、サトル様からきってからの要望で歴代のホームステイをした家庭の写真があるなら、見せて欲しいと申してましたので、お取り寄せしました」


 「なんでまた、こんなのが?」


 「だって地底人といっても、ギギがホントに人間と一緒なのか気になってさ」


 サチ姉は納得したのか、歴代の地底人の写真を見る。


 自分も続くような形ではあったが、その写真は国籍は違えど、自分でもわかるほど有名な画家の隣に立っていたり、ギギが言うように…。


 「コレ、ウチのひいお爺ちゃんらしいぞ」


 有名な科学者と一緒に写真に写っていたりなど、後は面々がよほどの人物だと思い知らせるのには十分な写真だった。


 「安心したか、私は人間だという事は理解できたか?」


 そしてギギは字幕を流しながら自分にそう言うように、地底人と言われてる人達は、みんな自分と同じと言っては失礼かもしれないが、人間だった。


 「ところで、ギギ様にもこれを…」


 するとローリィ自身がそう言って割り込んで来た。


 そして、もう一枚封筒をナバトが取り出して、三枚の写真を重ねて触手に貼り付けて渡していた。


 それは狙っていたのだろうか、そうでないのだろうか、その写真は自分と同じくらいの歳の男と、後の二人は女の子だったのが見えた。


 「何それ?」


 サチ姉は聞いて来たが、ギギはまるでシュレッダーのように飲み込んで行く。


 「まあ、明日にでもなればわかります」


 ナバトの通訳をローリィさんは呟くだけだった。


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