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グリーン・アフターエンド  作者: 卵かけ定食
【第二章】擬態の森
6/14

【第六探検話】擬態の森にご用心

第五探検話(第五話のこと)の続きです。

「そんなことはどうでもいい、中へ入ろう」

絡繰の話を押し倒すようにズンズン前へ進むレーズ。

森に足を踏み入れた瞬間、空気が変わった。

風が止み、音が消え、気味が悪い。

「なんかぁ静かすぎない…?」

木々の幹はどれも同じ形に見えた。まるで量産された柱のようだった。

数歩進んだところで、小屋が見えた。

苔と蔦に覆われているのに、扉だけが妙に新しい。

「誰か…いるのか?」

レーズ一行は顔を見合わせ、小屋の中へ入った。

奥の部屋から老婆の叫び声がする。

「ぐうぇあああああ!不法侵入じゃー!不法侵入じゃー!」

「「うわっ!?」

奥の部屋から、中華鍋を振り回した老婆が飛び出してきた。目はガンギマリで、背中は曲がり、なぜかズボンだけ放射線防護服を着ている。

「なんだぁ探検隊か…お前らは運がいいのぉ、へっへっへぁっくしょん」

老婆の鼻水が絡繰にかかった。

「わしゃ俗に言う魔女ってやつじゃ…」

「魔女…?」

「魔女を知らんのか?ならほら国語辞典」

老婆はそう言って数学の参考書を取り出した。

「魔女っていうことは薬を調合できたりするのか?」

「そんなの容易い御用じゃ…待っとれ、今良い物をやろう…」

老婆が隣の物置部屋へ入って謎の薬を持ってきた。

「ほらお前さん達ゃ、擬態の森を抜けるんじゃろて、コギ変草が近寄らなくなる薬じゃ…」

「コギ変草…?」

コギ変草とは有機物になら、何でもコピーすることができる植物で、それはDNAをもそのまんまコピーしてしまう。なので性格も記憶も魂も、全部持っていかれる。しかもコピーされた本人はそのことに気づかない。元の体は溶けて消えてしまう…恐ろしい植物だ。

老婆はレーズ一行にこのように説明した。

「ほほう…」

「ほら、とりあえずお飲み。」

レーズ一行は老婆に従い薬を飲んだ。

「あっ言い忘れていたがこの薬は、擬態された者が飲むとドロドロの溶けてしまうんじゃよ…」

とても万能な薬をもらって有り難みを覚えたのも束の間…

「あ…あぁ……」

何かの唸り声が聞こえ辺りを見廻すと、レーズの隣にいたネウラの足がドロドロに溶けていた…

「!?…ネウラ!大丈夫か?」

「い、痛い…ウゥ………」

段々とネウラは溶け、最後にはドロドロの肉塊になった。それがまだ脈を打ってて気味が悪い。

「あちゃぁ…擬態されてたかぁ、このワシでも気づかんかったわい…ハハハ」

「え?ちょこれどうすんの?帰ってくるのか、あいつは」

突然のことに漠然とするレーズだったが

「安心しな…元の体の肉塊が残っていれば再生する…だから多分生きとるはずじゃ」

「確率は!?」

「知らんがな」

「は?いや知っとけよ!」

レーズは思わず声を荒げた。

「ぬぁあうるさいなぁ。とりあえず探しに行きな、そこらへんほっつき歩いてると思うからのぅ…確か記憶はそのままのはずじゃ…」

「あぁ!わかったよ。あんがとさん」

『ドンッ』

レーズは切れて扉を思いっきし叩き閉めた。

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