【第十六探検話】実体の人工知能
第十五探検話(第五話)の続きです。
【カタン】
と音がした。
誰も触っていないダンボールの山が、ゆっくり崩れ落ちた。
全員がそちらを見る。
次の瞬間……
ブツン、と表示装置の画面が暗転した。
「消えた!」
ネウラが声を上げる。
「通信断絶を確認」
クリが即座に報告する。
さっきまで映っていた人工知能の顔は、跡形もない。
代わりに室内の奥――物資棚のさらに奥側、壁だと思っていた部分に細い光の線が走った。
「壁が……割れてる?」
横一文字の継ぎ目が、ゆっくりと開いていく。
中から白い蒸気が流れ出た。
油と熱と、焦げた金属の匂い。
「臭!」
レーズが嘆く。
蒸気の向こうで、重い駆動音が鳴った。
――ギィン。
――ギィ……ン。
機械的な音。
やがて、影が一歩前へ出る。
人型。だが人間ではない。
全身が金属装甲で覆われ、胸部には古い研究機関の紋章。腕は通常の倍は太く、指先は工具のように変形した多関節構造になっている。
頭部のレンズが赤く点灯した。
【システム……起動】
機械音声が直接室内に響いた。
「管理者からの命により、排除モードへ移行します」
「うわ、なによこれ!」
ネウラが後ずさる。
「さあ、分かりません。ただ、攻撃をしようとしています」
クリが冷静に言う。
次の瞬間、機械人形が床を踏み砕く勢いで踏み込み、一直線にレーズへ突進した。
速い。見た目の重量を裏切る速度。
「うわ!」
レーズは横へ転がる。
拳が空気を裂き、背後の表示装置の外枠を粉砕した。
金属片が飛び散る。
「サイマ!距離取れ!」
「あぁ!」
サイマは咄嗟に棚の陰へ滑り込んだ。
ネウラが叫ぶ。
「弱点はどこなの!?」
クリのセンサーが高速で走査する。
「胸部中央……やゝ左寄り。動力制御核の反応あり」
「人間と同じゞゃん!!」
機械人形が腕を変形させた。
前腕が回転し、内部から刃の付いた円盤がせり出す。
「うわそれズルい!」
円盤が射出された。
レーズが銃で撃ち落とす。
火花とともに弾かれ、壁に突き刺さった。
「うぉ!危ねぇ、弾で墜とせねぇのか……」
機械人形が二撃目の突進。
床が割れる。物置の荷物が吹き飛ぶ。
「クリ!さっきのデータ装置は!?」
「まだ修復中です……あと少し」
ネウラが箱を投げつける。
当たるが、びくともしない。
「硬っ!」
「時間を稼いでください」
「簡単に言うな!厳しいんだよ!」
レーズが構え直す。
「……よし、良い子だなぁ……」
銃口が赤いコアに向く。
『ドンッ』
銃声が狭い部屋で響く。しかし機械人形は弾を弾いた。
「めっちゃ良い音なったのに」
レーズはそう言いながら機械人形の攻撃を転げ避けた。
「仕方ない……」
そう言いレーズは鞄からスナイパーを取り出した
「サイマ!また使うねー」
「あ!持ってたのか……」
(忘れてたー……)
レーズはスナイパーの照準を機械人形の胸へ向けた。
赤い照準用レーザー装置が機械人形の胸に当たる……
「耳ぃ塞げー!……」
『ス゛カ゛ァ゛ン゛』
ものすごい轟音が響き、耳がズキンズキンする……
三人が機械人形を見ると胸が黒ずんでいた……だが、まだ動くようで、また刃の付いた円盤を腕から生やし、レーズ目掛けて振り飛ばした。
レーズは交わしたが、持っていたスナイパーが真っ二つにちょん切れてしまった。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛」
サイマの雄叫びが響き渡った。
その瞬間辺りが
「ビカビカ」
っと光り、機械人形が倒れた……
「何だ……今の光は……」
機械人形の隣には、先程まで静かにしていたクガがぐったりとしていた。
どうやら、クガは出力最大の電気を機械人形に放ったようだ……
「大丈夫か……クガ!」
突然、表示装置から砂嵐が流れ始めた。
第十六探検話をご拝読ありがとうございました!
次の話は22:00に投稿いたします。




