【第十五探検話】データ上の人工知能
第十四探検話(第十四話)の続きです。
突然、後ろから
「人様の敷地に勝手に忍び寄り、物まで物色するとは……けしからん……」
全員が振り向く。壁一面の表示装置のひとつに、ノイズまじりの顔が映っていた。
画面はちらつき、輪郭が時折崩れる。
それでも顔だと分かる程度には、人の形を保っている。
「うわっ」
ネウラが一歩下がる。
その時、サイマが足元を見た。
床に埋め込まれた、見慣れないスイッチが押し込まれている。
「これ、踏んでた」
「何故、こんなところに来た……」
機械越しの声は、わずかに途切れながら続いた。
レーズたちは互いに顔を見合わせ、ここへ来るまでの経緯を手短に説明した。
「ふむ……なるほど……」
表示装置が激しくノイズを走らせる。
「つまり、お前たちは……このイミテとかいう場所の中心を目指しているのか……」
不安定な音声。砂嵐のような雑音。だが言葉だけははっきり聞き取れた。
不気味さに空気が張りつめる中、それでも会話は続く。
「私は人工知能だ……芝乃又之様が作った……」
ノイズが一瞬強くなる。
「そこの小型人工知能搭載型機械人形も……同系統の存在だ……」
「同系統……という表現は、部分的に正確です。私は量産規格ではありません」
「そうだ……お前は試作最終型だ……」
表示装置の顔が歪む。
ノイズの奥で、かすかに笑ったようにも見えた。
「試作……?」
レーズが眉をひそめる。
「芝乃又之様はな……機械に“判断”ではなく“意思”を持たせようとした……」
「意思?」
「命令処理ではない……選択だ……」
室内の空気が少し重くなる。
ネウラが小声で言う。
「なんか難しい話になってきたね」
表示装置の周囲のランプが、順番に点灯し始めた。
長く眠っていた機器が、ゆっくりと目を覚ますように。
【補助電源 起動】
と、小型表示装置に映し出された。
同時にクリの腹部モニターに
【記録領域 一部で外部からの接続を確認】
こう映し出された……
クリが即座に反応する。
「外部システムのリンクを検知。限定接続されています」
「お前の中の欠損データ……ここにバックアップがある……」
全員が表示装置を見る。
「ただし……条件がある……」
「条件?」
「この施設の中枢は封鎖されている……解除キーが必要だ……」
「どこにある」
一拍の沈黙。
ノイズが強まる。
「お前たちの、すぐ近くだ……」
物置の奥から……
【カタン】
と音がした。
誰も触っていないダンボールの山が、ゆっくり崩れ落ちた。
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次回の投稿は20:00です。ぜひご拝読ください!




