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グリーン・アフターエンド  作者: 卵かけ定食
【第四章】朽ちた村の秘密
12/16

【第十二探検話】損失したデータ……

第十一探検話(第十一話のこと)の続きです。


〈後書きに造語の解説が記載されています〉

地面は黒く結晶化し、空には逆さまに流れる雲。

遠くには、上下が反転した塔のようなものが何本も突き刺さっている。

「……なあ」

レーズがぽつりと言った。

「ここ、どこだ?」

「現在地は静岡県松崎町です……」

「いやどこだよそれ!」

レーズが即座に突っ込んだ。

「クリ、お前まだ調子悪いのか?」

「内部データ、破損率三十八パーセント……位置情報ログが混線しています……」

クリの声はいつもよりノイズが混じっている。

サイマが腕を組んだ。

「さっきの充電、応急処置だったからな。完全には戻ってないんだろ」

「復旧方法は?」

「バックアップ媒体の回収を推奨します……」

「どこにある?」

「この周辺に、旧型記録媒体の反応……カセットテープ形式……」

「なんでそんなアナログなんだよ」

「破損時でも読み取り可能なようにするための物理保存です……」

ネウラがニヤッと笑った。

「つまり、探せば直るってことだね」

レーズは銃を肩に担いだ。

「よし、テープ探しだ」

黒い結晶の大地を踏みしめ、三人と一羽と一機は歩き出した。

「でもよ、どこにあるんだ……」

「その辺の建物を見て廻ろ〜」

そうして一軒一軒、隈なく調べた。

最後の一軒……

錆びたトタン屋根から濁った水滴が途切れ途切れに垂れてくる。

「ここが最後だ……」

辺りはもう暗くなっていた。

「とりあえず明日調べよう。今は飯が先だ」

レーズが夕飯の支度をしていると、

「今日は私が作るよ」

とネウラが言い、レーズから調理器具を取り上げた。

「そうか……じゃあよろしくな」

レーズは夕飯をネウラに任せると、クリに内蔵されている懐中電灯を使い、逆さまの塔を調べた。

「これは何なんだ……」

「解析しています」

クリが解析を始めてから三分が経過した……

「解析完了……解析結果……」

【解析物 : 電波塔】

【詳細 : 電波を送信・中継することができます】

【状態 : 優良】

とクリの腹部モニターに表示された。

「ふーん電波か……」

この時レーズは地下洞のテレビ局へ向けて現状を配信したくなった。

「この電波塔を使って、地下洞へ現状を配信する事はできるのか?」

「可能です。が、この電波塔が地下洞まで繋がっているかは不明です……」

なんて事をしてると、

「ご飯できたよー!」

キャンプ地からネウラの声が聴こえてきた。

レーズとクリがキャンプ地へ向かうと、机の上にダークマターを乗せた皿が三枚と食パンが一斤あった。

「こ、これは何?」

レーズがダークマターを指差して言った。

「これは卵焼きだよ!」

ネウラは胸を張って言った。

「嘘だろ、形が……」

レーズはダークマターをぐるぐる見廻した。

皿の上には、卵焼きとは思えない黒光りする物体が鎮座している。表面はつやつやしていて、ところどころ小さく泡立っていた。

「ちゃんと卵から作ったもん!」

「どんな工程踏んだら卵焼きがこうなるんだよ」

「えっと……まず、割るでしょ……っしたら岩の上に乗せてグチャグチャしながら固まらせてぇ……」

ネウラが説明してるところをレーズが割り込んで、ダークマターを口にした。

「うん……………ウッ……」

そのままレーズは倒れた……

「エッ……ちょ大丈夫?」

そして翌朝……

レーズは吐き気と共に目を覚ました。

「ウ゛ッ゛、気゛持゛ち゛悪゛い゛」

レーズは川を見つけると、そこで嘔吐した。

レーズがキャンプに戻るとサイマの姿がない……

「あれ、そういえば昨日の夜から見てないな……」

レーズはサイマを探すために声を出して名前を叫んだ。

その声でネウラ達が目を覚ました。

第十二探検話をご拝読いただきありがとうございます。この後の20:10に続きの第十三探検話を投稿いたします。もし宜しければ、そちらもご拝読ください。


——————造語一覧——————

機構記録媒体 : 情報および機構システムを復元するための保存媒体。


旧型機構記録媒体 : 初期世代の機構記録媒体。耐損傷性を重視した物理保存方式で、カセットテープ形式が主流。


(登場していない)新型機構記録媒体 : 最新規格の機構記録媒体。USB互換形式で高速読み取りが可能。


クリの腹部モニター : クリの腹部に内蔵された表示装置。各種解析結果や状態情報を映す。表示方式は有機ELらしい。

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