【第十一探検話】生きる渓谷
第十探検話(第十話のこと)の続きです。
レーズ達が居座っていた浮島が突然地上へ堕ちた。そして、その場に渓谷ができ、全員渓谷の底に取り残されてしまった。
「ヤベェな………どうやって上がるか…」
辺りを見渡しても一面岩の山…
岩が少し動いて見える。レーズは…
「なんか……動いてないか?」
二人に問いかけた。
「うん確かに」
二人とも、レーズと同じように岩が動いているように見えていた。
実際、この渓谷の岩は動いていた。というより、この渓谷自体が生きていて、それ故に動いていた。
岩肌がぬるりと形を変えた。
さっきまで角ばっていた突起が丸くなり、別の場所から新しい岩柱がせり出してくる。
「……今、伸びたよな」
レーズが指差した先で、壁がゆっくりと成長していた。
「動いてるんじゃない。増えてる」
サイマが手を触れると、岩は脈打つように温かい。
「これ……生き物だ」
「うお!?渓谷が!?マジか!」
ネウラが一歩下がる。
地面から細い石の根のようなものが生えて、また地中へ戻っていく。
「何なんだこれは……」
レーズがそう言いながら岩を登り始めた。
「さっさと上がって次の場所に行こう!ここは危険だ」
レーズが物凄い速度で渓谷の崖を登り始めた。だが……
「お前全然登れてないぞ」
「え?」
サイマに言われて下を見ると、数センチも登れていなかった。ていうか、段々と下へ下がっていっていた。
「てか何でこの渓谷は脈を打ったんだよ……」
「あれ…知らないの?」
サイマが得意げに語り始めた。
どうやら地異大高原にある渓谷は、全て生きてるらしく、渓谷から吹く風は、渓谷が息を思いっきり吐いてるかららしい。
「……じゃあ何でこの渓谷は息を吹かねぇんだ…?」
「そりゃあまぁ、俺らを歓迎してないんじゃないの?」
レーズは開いた口を咄嗟に塞ぎ
「歓迎されてないなら、どうすりゃ歓迎されるんだよ」
レーズが岩壁を軽く蹴った瞬間、足場がにゅるりと沈んだ。
「うわっ、気持ち悪ッ!」
「刺激に反応してるな……攻撃的な動きは逆効果っぽいな」
二人は色々と考えた。後ろからネウラが…
「生きてるんなら、電気ショックとか食らわせたら動きが鈍るんじゃないの?」
ネウラが名案を出した。
「そうか!えぇと、クガ頼めるか?」
クガは得意げに胸を張り、【ビリッ】っと電気を放った。
岩肌の一部が固まり、動かなくなる。
「よし、これで登れるぞ!」
レーズは固まった岩肌を足場に、一気に崖を駆け上がった。
後ろからサイマとネウラも続き、クガが上空を旋回する。
「急げ!また動き出すぞ!」
下を見ると、さっきまで固まっていた岩が再び脈を打ち始めていた。
「うわマジかよ!」
三人は最後の段差を飛び越え、渓谷の縁へ転がり出た。
「はぁ、はぁ……助かった……」
息を整えながら顔を上げたレーズは、目の前の光景を見て固まった。
地面は黒く結晶化し、空には逆さまに流れる雲。
遠くには、上下が反転した塔のようなものが何本も突き刺さっている。
「……なあ」
レーズがぽつりと言った。
「ここ、どこだ?」
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