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20. 娘を心配する父親じゃないんだから

光ったものが何だったのかは分からなかったけど、今日と明日食べる分だけミニトマトを獲らせてもらって、食材をたくさん貰って宿に戻る。


「どうしたんだそれ?」

宿について第二王子殿下の部屋に向かう。

殿下は薬を煎じて飲む必要があるので小さなキッチンがついている部屋を借りている。

この状況の報告とともに、キッチンを貸してもらうことにした。

部屋に行くとシャワーを浴びたての第二王子殿下が出てきた。

3人で夕食を食べ、殿下の分はテイクアウトしてくるつもりだったので、食材を持って帰ってきた姿に驚いている。

状況を説明すると殿下が呆れた声を出す。

「この間もそんなことをしていなかったかこの街は」

「国王に報告しますか?」

「あぁ」



「さぁ、じゃあ作りますから少し待っていてくださいね」

「「「え?」」」

私が腕まくりすると3人が同じ様な反応を見せる。

「え?何?」

「お嬢様がお作りになるのですか?」

「うん。簡単なものしか作れないけど」

「いや、俺が作りますよ」

「本当?マーク料理できたの?」

マークが作ってくれるならそれがいい。面倒だし。

「いや、できないんだけど立場的には俺がやるしかないかなって」

マークは気まずそうに顔の横をかく。

まあ、王子とその側近に頼むわけにもいかないし、そう思うのが普通だよね。


「メイドとして無理を言って連れてきて貰ってますから私が作ります。ジュリアスとマークはシャワーでも浴びてきたら?」

元からそのつもりだったので、鍋を出して準備を始める。

「そうか!じゃあ、お言葉に甘えて」

「私は少し仕事をしてきます」

マークとジュリアスは自分たちの部屋へ一度戻る。



少しだが分けてもらった調味料の匂いを一つずつ嗅いで舐めていく。

塩と、胡椒、お砂糖と・・こっちはハーブ。

「本当にできるのか?」

心配そうに第二王子が覗き込む。

「簡単なものだけですけどね」

貰った食材をみて、作れそうなメニューを考える。


使う食材だけを取り出したりしていても第二王子が心配そうに後ろで見ている。

振り返りと思ったより至近距離に黄緑色の瞳があった。

「うおっ」

「なんですか?見ていてもいいですけど、もう少し離れてください」

「おぉ、、あぁ」

両手を小さくあげて後退りすると近くの椅子につまずく」

「うわぁ!」

椅子が倒れ、慌てた様子で立て直す。

その様子が私がユイの時にはじめて料理をした時の父の反応と似ていた。

「・・ぷっあはは!」

「な、なんだ」

「娘を心配する父親じゃないんだから」

私が笑っていると苦笑いしながら第二王子が頭をかく。



無事にカルボナーラと具沢山スープとサラダができた。

途中からジュリアスがこちらに来て第二王子と話し込んでいた為邪魔されることは無かった。


「「「おぉ」」」

食卓を見た3人が同じ反応を見せる。

「どうぞ召し上がれ」

いただきますと口々に言っていく。

「うまいっ」「おいしいです」

恐る恐る食べていたマークとジュリアスの食べるスピードが上がっていく。

「本当!?良かった」

隣に座る第二王子もスープに口をつけると美味しかったのか食べ進めていってくれている。

「公爵家って料理の教育も受けるんですね!」

「いや、私はあまり聞いた事ないですけど」

「ねぇ、、どうしてできるんでしょう?いくつかのメニューの作り方は覚えているんですけど、そもそもなんで料理できるかは覚えていないんです」

って事にしとこう。

結構いろんな話で盛り上がり、楽しい食事の時間だった。




食べ終わり、マークとジュリアスは自分の部屋へ戻り、私は引き続き片付けを終えた。


第二王子はテーブルでウイスキーを片手にずっと私を見ている。

正直気になるけど、自分の部屋でガチャガチャしてたら落ち着かないよね。

「殿下、少し朝ごはんの準備してから失礼してもいいですか?」

「あぁ」

「野菜もベーコンもおいしかったですね。やっぱりこの街のごはん食べたかったなー」

ミニトマトを手に取って眺める。



「情勢が落ち着いている様なら帰りにまた寄ろう」

「本当ですか!?」

「あぁ、でも・・君の作った物も美味しかった」

「ありがとうございます。よかったです」

第二王子が照れながら言うもんだからなんだかこちらまで照れ臭い。


そうだ。ルナちゃんのこと相談してみようかな。

メイドってどうやってなるんだろう・・?

ニールさんところのルナちゃんとのやり取りを思い出す。

持っていたミニトマトを頬張るとあまいチョコレートの様な味がする。

「ごほっ!うえっ」

半分は吐き出し、半分は飲み込んでしまった。

「これ・・」

「大丈夫か!?」

足の力が抜け、倒れ込む。

「おい!どうした!」

第二王子が駆け寄ってきて声をかけてくれるがどんどん声は遠くなり、私は意識を完全に手放した。


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