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17.反対?私が?なぜ

シャイリマール嬢を部屋まで送る。

ズボンの裾がズルズルと床に擦っている音をたてる。

部屋を出る前に裾を引きずってズボンをダメにしてしまうからと脱ごうとする彼女を止めた。



一歩分斜め後ろを歩く彼女を横目で見る。

自分のカーディガンを羽織らせて、シャイリマール嬢が全身自分の服を着ている。


今でも十分そそられる格好なのに、ズボンを脱がれたら自分の理性を保てる自信などない。

密室でそれも自分の部屋で、自分のシャツ1枚でいられたら確実に自分が自分でなくなる。

しかも相手は自分と同じ香りがした。

シャンプーを使ったのだ。

普通使うか?

軽く灰を落とす程度だと思って油断した。

普通の令嬢は自分で髪は洗えないと聞いていたが、彼女の周りでは一体何が起きているのか。


ズボンを脱がずともあと数十分一緒にいたら獣と化す。絶対。自信がある。

どんなに鍛錬を積んでいても抑えられないだろう。



ジュリアスとマークが一緒だとしても、こんな事で本当に一緒に領地まで行けるだろうか。

薬草園でだって、号泣するシャイリマール嬢を抱きしめてしまいそうでどうにかなりそうだった。


「わっ」

シャイリマール嬢の声と共に足を止めると腕に重みを感じる。

「すみません、歩きにくくて」

「いや、構わない」

構う!構わないわけがない!


「ありがとうございます。もう大丈夫です。行きましょう」

昼間メイドのミアに言われたことを思い出す。

そうだ、妃教育に来てくれているのにエスコートしなくてどうする。

幸いにも彼女は自分に触れることを怖がってはいない。

それに今の様に突然触られるより良いだろう。



「気がつかずすまない」

「え、あ、ありがとうございます。助かります」

自分の腕を差し出すと何の躊躇もなく腕に手を乗せてくる。

心臓がギュッとなる。

目を瞑り、バレない様に深呼吸をする。

「殿下?」

「行こう。これ以上遅くなっては困る」



無事に部屋に送り終え、足早に自室に戻ると

ついさっきまでシャイリマール嬢が居た形跡のある部屋に膝を崩す。

この部屋で過ごす彼女を思い出し、床に拳を打ちつける。

「なんだって言うんだ」

ここ数日自分に何が起きているのか。

このままでは浮かれて調子に乗りすぎると今回領地に戻れる機会を好機と思っていたのに。

一緒に行く?


やはり断ろうか。

・・いや

朝日が昇ったらジュリアスのところに行こう。

一度でも反対されたら連れて行かなければいい。




「おはようございます、ジャック殿下」

まだ寝巻き姿のジュリアスが顔色を変えずに出迎える。

居ても立っても居られず、朝日が昇ると使用人部屋まで来てしまった。

「朝早くにすまない。緊急辞退で」

「いえ、私の部屋で恐縮ですがどうぞ」

「え・・いいのか?」

「もちろんです」


椅子にハンカチをひくとそこに座る様に促される。

「いや、すぐ失礼するからこのままで」

「なにがあったのです」


シャイリマール嬢との事を洗いざらい話せばジュリアスが目を見張る。

ジュリアスの表情を変えるとはさすがだな。彼女は。

「・・突拍子もないご令嬢ですね」

「・・そうだな」

考え込むジュリアスに反対される事を願う。


「分かりました。ある程度の手配は私が」

「え。連れて行くのか!?」

「そういうお話ではないのですか?」

「いや、てっきり反対されるかと」

「反対?私が?なぜ」

何故って反対する要素しかないと思ったが・・

ジュリアスは長く仕えてくれているが、未だ何を考えているかわからない。



「問題はメイド服や城下に出るための洋服の調達ですね。行きは急がねばなりません」

「それなら行きは母のを着てもらうのはどうだろう」

母は城下に遊びに行くのを趣味としていた。

城下に溶け込める服をいくつか所有していて、今だに残してある。

「あれは大切なものなのでは」

「そんな大層な物ではない。古いものだし逆に城下で浮く様な事があれば報告してくれ」

「承知しました」



ジュリアスの部屋をあとにする。

もう覚悟は決めた。

極力彼女とは2人きりにならない様にしよう。


近い将来、自分の理性が音を立てて崩れていくことを彼はまだ知らない。

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