表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

~果てのない運命に終幕を迎えるために我々は戦う~

作者: 霜月

―――貴方に触れたい…。だけど世界が…運命がそれを許さない。何故、何故なの?


―――何か私が私達が罪を犯したというのなら、神よ教えて下さい。理由もわからずに同じ運命を繰り返すのはもう、嫌なのです。


―――もう何度、あの人が絶望に満ちた表情を浮かべ死んでいくのを見たでしょうか。何百、何千、何万…私の手であの人を殺さなければならないのですか?


―――何度、あの人に無謀な戦いをさせるのですか?満身創痍の身体で私に立ち向かうその姿を観て神は楽しんでいらっしゃるのですか?


―――あの時、姿を身分を偽り貴方と出会わなければ、こんなに苦しい想いを抱き続ける必要はなかったのにと、貴方との出会いを恨んだこともあります。貴方と出会わないようにしようとしたことも。ですが運命の強制力がそれを許しませんでした


―――貴方はどう思っているのでしょうか。同じ運命を繰り返していることを知っているのでしょうか。おそらく知らないでしょうね…知っていてほしくないです


―――この苦しみを感じるのは私だけでいい、私だけが苦しみ足掻き続ければいい。そしていつの日か貴方の手で…勇者である貴方に破壊の主である私を殺してほしい


―――そしてこの世界に平和と繰り返すことのない運命を創りあげてほしい


―――だから私はそれまで貴方を何度でも殺します。貴方が運命の強制力から外れるその日まで、私の手で…


―――いつかこの「ゲーム」を終わらせてくれると信じて


*****


―――君は一体なにを思っているのだろうか。無様な僕の姿を見て絶望しているのだろうか


―――何度も何度も無謀な戦いを繰り返す僕に怒りを覚えているのではないだろうか


―――だけど抗おうとしたも運命が僕が道から外れることを許さないんだ


―――可笑しな話だろう?僕もそう思うよ。でも本当なんだ。何かいつもと違うことをしようとすれば身体を乗っ取られ決められた道へと強制的に戻されてしまう


―――この世界で僕は決められた役を決められた通りにこなすことしか許されていないんだ


―――君はどうなんだろう。君は同じ運命を辿っていることに気づいているのかな。気づいていないといいな…。他の人たちと同様に自分の運命に疑問を抱かず生きているといいな。だって、もし君が同じ運命を繰り返していると知れば耐えられないだろう。君は優しいからね


―――あの日僕は気づいていたんだよ。森で出会った女性が破壊の主であることに。君だと気づいていたのに剣を抜けなかったんだ。だって…君の優しさに触れてしまったから


―――最初は君を殺そうとしていたよ。この世界を終わらせるために。そして自分の為に。だけど気づいてしまったんだ。君が僕を殺す時の表情を見て。僕と同じなんだって。決められたやくを無理矢理演じさせられているだけなんだって


―――だから僕は君を救うと決めたんだ。何をすれば君の救いになるかはわからないけれど、僕は運命に抗い続けると決めた。何度でも何度でも。いつか僕が決めた道へ進めると信じて


―――だから待っていてくれないか。少しでも早く君のあの哀しみに満ちた表情を笑顔に変えるために。君が望む運命を辿ることができるように僕は…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ