ふわふわな小動物が生まれた世界は、空高い神の世界だった。
ある雨の日の空には綺麗な虹が架かっていた。
人々はその虹をみて微笑むけれど、段々と色は薄れ静かに消えてゆく…。
「「マーマ?」」
か弱い声音が2つ。
虹の架かった瞬間に生まれた2匹の小さな動物。
1匹は白い身体に黒い模様のある白虎。
もう1匹は白い身体で耳の長い白兎。
どうやら種類の違う2匹が生まれたようだ。
虹には生命を生み出す力がある。
そしてその力はとても強くて美しく、鮮やかな光を放つ。
そんな虹を作り出すのはこの世界で選ばれた7人の神である。
神にはそれぞれ7つの魔力があり、その力こそが命を生み出す素となるのだ。
7つの魔力とは…
*未来を見ることのできる『運命』
*エネルギーを生み出す『光』
*水を生み出す『泉』
*命の時を司る『生命』
*動植物を護る『自然』
*癒しの力を持つ『癒し』
*闇の力を操る『影』
その7つの魔力を持つ神々が揃い1つになったとき、新しい命が生まれるのである。
生まれた命の形や力はそのときによって異なり、新たな神(後継者となる者)が生まれることもあれば、生命力が高く何千年もの長い年月を生きる動物が生まれるということもある。
今回生まれたのは動物だった。
しかも2匹。
動物が生まれることは稀であり、とても貴重なのである。
大体は次期の神(後継者となる者)が生まれ大事に育てられるのだ。
それが今回は神が生まれなかった為、7人の神は次の虹が架かるその日まで神座の入れ代わりは自然と先送りにされるのであった。
7人の神に囲まれていた生まれたばかりの白虎と白兎。
「… …キュゥゥ~」白兎は上機嫌である。
「… … …ケフッ」白虎はとても眠たそうだ。
2匹は異なった態度を示していた。
7人の神はこの愛らしい2匹に思わず微笑む。
白兎は上機嫌なまま、ひとりの神をじーっと見つめはじめた。
その神は『癒し』の神、メア・プラティーナ。
どうやら白兎に気に入られたようだ。甘い声で何度も鳴いている。
一方白虎はウトウトとしながらも周りの視線に警戒していたのである。
といっても少し怯えているというくらいであり、神が手を伸ばせばゆっくりとその伸ばされた手を舐める。
どうやら白虎も気に入った神を見つけたようだ。
その者の名はギル・ロアート。男神である。
彼の持つ力は闇の力を操る神『影』。
神の中でも特に強い力を持ち、周りからも一目置かれる存在であった彼は見た目は可愛らしい幼子だが青年期の男性らしき風格を身に纏い、何処か恐ろしさも秘めていた。
その為、とても幼子には見えないのである。
白兎がな懐いた神も同様であり、唯一違うといえば性別。女神であったのだ。
そして彼とは異なる可愛らしさと美しさ、それと優しさを持っていた。
神とは下界の人間や動物が生きる時間とは異なり、とても長い年月を神として過ごす。
その中でも幼少期と青年期の期間がとても長く、容姿が自然と幼子となってしまうのだ。
彼らの様に周りの神も見た目は幼子であるが中には青年のような姿である者もいる。
『泉』の神"オズ・ブライド"と『生命』の神"アリス・ネヴィア"は見た目は青年であるもののとても長い年月を生きていた。
泉の神も生命の神も長期の間後継者となる神が生まれなかった為、神の座に今も座っている。
その他の神々は…
『運命』の神"レイティナ・ローズ"
『光』の神"レグナルド・ホルスティー"
『自然』の神"フレイア・ハル"。
何れの神も見た目とは異なる年月を生きている。
今7人の神が揃うこの場所は"虹の奇跡"。
100年に1度開かれ、7人の神が集まる。
神の力は生まれた時から決まっていて、それぞれ住む場所も異なる。
神の住む国は魔力の色が国名とされている。従って能力の形により住む国が決まるのだ。
「Rosso」(運命の神国)
「Rosa」(癒しの神国)
「Giallo」(光の神国)
「Verdura」(自然の神国)
「Acqua」(泉の神国)
「Arancione」
(生命の神国)「Viola」(影の神国)
各国は7人の神の魔力によって護られている。
そのため、国民の殆どが国から出ること無く一生を過ごす。
だが、時には冒険者など旅人が国から出ることもあるが、その人数は少ない。
国から出ない理由は他にもあり、国から出た世界は魔力を持つ者でも危なく、危険なのだ。
周りは雲で覆われ、飛獣や龍などが飛び回っている。
神界は下界の在り方とは異なり国々が空に浮いている。
それぞれの国が円形の形をしていて、7つの国が輪となりその中心に"虹の奇跡"が存在する。
国とは別に森も空に浮いており、そこには飛べない動物や獣などが生息している。
森に生息する生き物達は生命力が高く、神と等しい程の時を生きる。その為、賢くあり能力も強いのだ。
故に魔法が使える能力者であっても襲われれば危険極まりないのである。
それがあってか神や冒険者、旅人などでない限り国の外へ出ようとするものはいないのだった。
"虹の奇跡"で生まれた2匹は神国へと向かうため、お互いが懐ついた神に抱き抱えられたその時、2匹が同時に泣き出したのである。
周りの神が2匹に振り向く。抱き抱えた2人も目を丸くする。
びっくりするほどの泣きっぷりなのである。
生まれてから初めて2匹が泣く姿を見て神々はある結論に達した。
"どうやらこの2匹は片時も離れたくないのだろう…"
この状況にギルが溜め息を漏らした。
2匹が離れないとなると想像しなくともどうなるかが分かったのである。
2人のうち、どちらかが片方の国へと行かなくてはならなくなるのだ。
困っている神々を気にせず泣きじゃくる2匹はある意味、最強なのではないだろうか…。
この度は「あの虹の向こうで大好きなあなたが笑っていたなら…」を読んで下さった読者様、ありがとうございます。はじめまして、作者のMeguです(*´∀`)
この物語は私が初めて書いた小説です。なので内心不安でいっぱいです。
小説自体、書いたことがありませんでした…(´-ω-`)
今回、この物語を書こうと思ったきっかけが
私の大好きな小説でした。小説を何度も読み返している内に私も"私の物語を書いてみたい‼"と思ったからでした。
物語を想像するのはとても楽しく時間があっという間に過ぎていき、とても驚きました!
初心者なので読みにくい部分などあるかとは思いますが、お許しください。
最後に「あの虹」を読んでくださった読者様に少しでもホッコリしていただけていたら、とても嬉しく思います。