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お仕事研修

よろしくお願いします

「では、カエデ様まずはお掃除の説明からしていきますね」


「はい!よろしくお願いします!」



 俺は緑髪美少女ララさんに敬礼する

 ララさんが言ったように俺は今から部屋の掃除の仕方の説明を受ける


 俺が連れてこられた部屋は暖炉があり、その上の壁にはいかにも高級そうな絵画が飾られており、他にも棚の上には高級そうな調度品

 俺のすぐの横にも花が飾られた高級そうな花瓶、とりあえず高級なそうなものばかりがある部屋だった


「ここは応接間になります、この部屋は特に極めて貴重な調度品が多いので気をつけてください」


 あ、やっぱり高級なものだったのですね

 やはりブルジョワの気持ちがわからない、貴重なものならわざわざ飾らなくてもいいじゃないか


「特別な魔法金属が使われているものが多いので、一つ一つ専用の薬品などを使います」


 そう言ってララさんが色とりどりの液体が入った霧吹きを俺に見せてくる



「例えばこちらの花瓶ですが、この花瓶はこちらの紫のものを使います」


 そう言ってララさんがシュッシュッと霧吹きで花瓶を濡らして布で綺麗に磨く


「ちなみに間違えると溶けてしまいますのでくれぐれも気をつけて下さいね」

「わ、わかりました...」


 溶けるのかよ、確かに向こうの世界でも決まったやつを使わないと溶けるとか聞いたことがあるけど


「あの、もし溶かしてしまったらどうしましょう?」

「弁償ですかね、ですがカエデ様が一生かかっても働いても償えないほどの弁償額になると思いますが」


 どんだけ高価なものここに置いてるんだよ!!


 とりあえず溶かさないように細心の注意を払わないといけないな...



 その後ララさんに特定の薬剤を使う貴重品の説明を聞いた。結構細かく決まっているので覚えるのに大変だ。そして床や窓などは水拭きでいいらしい。明日からはひとりで掃除していくから気をつけないとな



「カエデ様、こちらの紙にどれがどの薬剤を使うか書いてありますのでこれを確認しながら拭いてください」


「ありがとうございます!!」


 俺はララさんから天からの授かりものをいただく



 そして折られた用紙を開く!!


「...ん?」



 読めない!!


 

 文字が汚すぎて読めない!!



 これはどこの楔文字でしょうか?ってくらい汚いないのだけど...


「どうしましたか?なにか間違いでもあったでしょうか?」

「いえ、全然!全然ありませんよ!?」

「ふふふ、ならよかったです」


 言えない!!この素晴らしい笑顔を前にして「汚くて読めないんです。」なんて言えません!!


 仕方ないからあとでアイリスに見てもらうとしよう、なんとなくアイリスなら読めそうな気がするから


「では、とりあえずこの部屋の掃除をしましょうか、カエデ様は窓をお願いします。私は床の方をしますので」

「わかりました、頑張ります!!」


 とりあえず今日は貴重品の手入れとかはしないで済むみたいだ。よかった、よかった



 そして水雑巾とカラ雑巾で窓を拭き拭き



「お疲れ様です、では次はお洗濯の説明をしますから移動しましょうか」



 ということで緊張のお部屋掃除は終わる

 あれがあと6日もあると思うと胃に穴が開きそうな気がしてきた...



 そしてララさんのあとについていき屋敷の庭へと出た




「では、洗濯はこちらで行います。シャツなどの普通の衣類はこの石鹸を使ってこの洗濯板でお願いします。また普通の衣類とは別に染物などはこの専用の洗剤でお願いします」

「あのー...染物ってどんなものとはどういったタイプのものでしょうか」

「そうですね...例えば...このメイド服とか」



 メイド服?流石にそれは俺でも染物だとは思わないんですが...



「見てください、このようにこの特殊な洗剤を使えば、ほら」

「おぉ!」


 洗剤でゴシゴシ洗っていたら選択に使っている水がだんだんと赤く染まってきた



「......赤?」


 あれ?メイド服なのに赤?なんか異世界的にメイド服の素材が魔法反応を起こして赤いなにかを発生させたりする素材なのだろうか?


「とりあえず、基本的にシャツ以外はこの専用洗剤を使ってくれればいいですね。間違えて使っても特に問題はないですから。気をつける事はシャツみたいなものを染物と一緒にして色をつけないことですね」


 よかった、今回は問題はないのか。ならあまり緊張せずにできそうだ。とりあえず気をつける事はシャツ系のものと染物系を一緒にしないことだな


「洗った洗濯物はそこのスペースで乾かします。それでは洗濯を行いましょうか。私が染物とシャツ類を選別しますので、カエデさまはそれを選択しつつ分別の仕方を覚えてください」


「了解しました!!」



 そしてララさんが分別して、俺が洗う

 途中からはララさんも分別が終わったので俺と一緒に気持ちいい青空の下で洗濯桶で洗濯物をゴシゴシ洗う


 のどかでいいですな、この世界に来て来て初めての安らぎかもしれない


 考えてみれば勝手にどっかの世界に転生されて監禁されて、そしてぼこされて肋骨折ったりしたし、その後はアイリスが人間になってて幸せ!とか思ったけどその後は王城から逃げるので精一杯、そして王城から抜け出したと思えば山小屋で治療、その後は山下りと称したアイリスのスパルタ特訓


 うん、よく考えてみればここまで健康的でのんびりした生活は初めてかもしれない


「では、すべて洗い終わりましたので乾かしに行きましょうか」

「はい!!」



 平和って素晴らしい!!


 まぁ我が家にはバトルジャンキーなお姉様がいるんでこの平和も1週間の命な気がするけどね、あはは...




「これで洗濯はおしまいです、明日の朝に取り込みましょう」

「はい、わかりました」

「では、少し時間が余りましたのでお茶にでもしましょうか」

「いいんですか?」

「はい、カエデ様は頑張っていらっしゃいますから」


 ララさんが女神の笑顔を浮かべる。とても可愛いですね、僕はそれだけで疲れがとれていきますよ




 そして俺はメイド室でララさんが紅茶を入れてくれるのを待つ


 なにか俺もお手伝いしようかな


 俺がそう思ったらタイミングよくお湯が沸く音がする

 ララさんはちょうどお茶の葉の用意をしてい所だ、だったらポットは俺がこちらに持ってこよう



 俺は火を消してポットを持とうとする


「あつっ...」


 いかん、いかん持つところも熱で熱くなっていた。ちょうどいいところに布があったのでそれでくるんでポットを持つ



「あっ、カエデ様、私がやるので大丈夫ですよ」


 ララさんがこっちに気づいてやって来る



「いやいや、これからはやりますよ......っておわっ...!?」


 俺は何も無いところでつまづいてしまう


 そして手に持っていたポットが手から離れていく。俺の目の前でポットからこぼれた熱湯がララさんにかかっていく



「ララさん!!」


 あんな熱湯浴びたら大火傷なんて言葉じゃすまない



「ふふふ、まったくカエデ様はあわてんぼうですね。メイド服が濡れてしまいました」

「いや、メイド服が濡れたっていうか...ララさんは大丈夫なんですか?」

「はい?べつに私は特に問題ないですけど?」


 キョトンと首をかしげるララさんを見て俺はある大事なことを再び思い出す


 そうだ、ララさんたちはサイボーグとかそういったものなのかもしれないのだと。あまりにそうは見えないので忘れかけてたけど、目の前の光景をみて俺は確信してしまった。熱湯を浴びて何も思わない人間は超人か、または熱いなどの感覚を持たないロボットみたいなもののどちらかだろう


 ララさんが前者なはずがないので後者のロボットとかそう言ったもの類なのだろう。アイリスが言っていた事は間違いではなかったんだ


「すいません、カエデ様私は着替えてくるので少しお待ちください」

「あ、はい...その、すいませんでした...」

「いえ、全然大丈夫ですから」


 ララさんは本当に何も無いように俺に笑顔を返し部屋を出る。少し前だったら温かみのある笑顔だったが少し冷たく感じてしまう


「いかんいかん機械だからとか関係ないって自分で言ったじゃないか。ララさんは機械かもしれないけど優しい人だ」


 そうだ、別に機械とかそういうのはどうでもいいんだ。うん、どこかの国の偉人さんも言っていたよ「可愛いは正義」ってね



 ◇


「すみません、カエデ様お待たせしました」

「あ、ララさん。いや、全面的に俺が悪いですから、ホントすいません」

「いえいえ、お気になさらないでください」


 新しいメイド服に着替えてきたララさんが戻ってきた


「残念ながら時間がたってしまいましたのでお茶は明日にでもしましょうか」

「はい、すいません。俺がドジなばかりに」

「いいですよ、気にしないでください。では次はお庭での仕事です。ついて来てください」

「はい!わかりました!」



 やっぱりララさんはいい人だなぁ

 そして「可愛いは正義」って言葉は素晴らしい



「では、この軍手をつけてください」

「はい、わかりました」

「それとこの鎌も」

「鎌もですか、本格的ですね」

「はい、下手すれば大怪我をしますので」

「あはは、またそれは大袈裟な」



 まったく草取りで大怪我なんてあるわけ...



「......はい?」



「ギチチチチチチチチチチ!!」


「......はい?あの、ララさんあれはなんですか?」

「あれはオーガウィード、いわゆる植物型のモンスターですね」


 ......さすがは異世界、雑草までもがモンスターになるのか

 いや、でも大抵は雑草のモンスターってもっと可愛い感じじゃないのかな?

 ちょっと指噛むよっ☆ぐらいのお茶目な感じじゃないのかな



「ギチチチチチチチチ!!」


 いや、あれは噛まれたら指もってかれるよ



「では、カエデ様まずは私がお手本を見せますので」


 そう言ってララさんがオーガウィードという、本当に鬼のようにやばそうな雑草にちかづき


 ぐしゃっ


「ギーーーーー!?!?」


 ぐしゃっ、ぐしゃっ、ぐしゃっ



「とりあえずこんな感じですね」


 いやいやいや!え、なに?そのいい仕事しました!みたいな爽快感のある笑顔は


「このように...「ぐしゃっ」...思いっきり...「ぐしゃっ」...鎌を叩きつけて殺して引っこ抜くだけの簡単なお仕事ですから。あまり近づかなければ危険はありません」


 会話の合間合間にララさんが鎌を振り下ろしてオーガウィードを絶命させていく。かるくホラーだよ、俺のSAN値がどんどん削られていく


「では、カエデ様もやってみましょうか」

「わ、わかりました」



「ギチギチ、ぎぃ!ぎぃ!」


 おいおい、さっきまであんなやばそうな感じだったのにいきなりそんな目で命乞いをしてくるんじゃないよ


 ここは覚悟を決めて...


「南無三!!」


 ぐしゃっ


 俺が鎌を振り下ろしオーガウィードが絶命する


「いいですね、カエデ様その調子で頑張ってください。では私も頑張りますから」

「わ、わかりました...」



 よし、ここは心を鬼にしてやっていこう!



「ふふふ、いけない子達ですね。ただでさえ雑草というだけで邪魔なのにこんなに凶暴になっちゃって。誠に残念ですが邪魔なので消えてもらいますね」


 あ、俺の心の耐久値が限界まで来てしまったみたいです




 ◇



「ふむ、今日のカエデの1日はそんな感じだったのか」

「あはは、本当にいろいろ大変だったよ」

「まぁ知らないことが多いから仕方ないな、とりあえず薬剤の用途が書かれた用紙を貸してみろ私ならわかるかもしれない」

「あ、助かるよ、じゃあお願い」

「本当に汚いな...なんとかわかるくらいだな...」


 アイリスが俺から用紙を受け取ってそれを丁寧な文字へと変換してくれる。アイリスなら読めると俺は信じていたよ!!


 今は今日1日の仕事を終えて俺がいる部屋に集まっての報告会が開かれている

 1日中別行動だったのでなんだか久しぶりな感じがする


「アイリスはどんな感じだったの?」

「私か?私は今日は夕飯の支度、あとは書庫の掃除だな。なかなか興味深い本が数冊あったので少し拝借してきた」

「...それ返すよね?」

「お前は私をなんだと思ってるんだ、読んだらしっかり返す」


 だよね、流石にそのまま持って帰ることなんてありませんよね...


「...ボソッ(読み切ったらだが...)」

「...返すよね?」

「ははっ、返すに決まってるじゃないか」


 だよね!さっき聞こえた不安な言葉は空耳だよね!


「お前の話の中でララ殿の話があったがこちらでも同じようなことがあったぞ」

「同じようなこと?」


 同じようなことって、人間とは思えないような行動があったっていうことかな?


「あぁ目の前でリリ殿の腕が外れた」

「それはまたなかなかなことで...」


 それはなかなかシュールだな、もし目の前でララさんの腕が外れたら俺はどんな反応をしてただろうか


「接続があまりよくないとか言っていたがな、私も特に驚いた反応を示さなかったのでリリ殿も私に詫びだけ言って特に何もないように腕をはめていた。腕の接合部をちょろっと見たがよくわからない構造になっていたな」

「じゃあアイリスが言っていた事は確定だったってことだね」

「あぁそういうことだな、まぁそれ以外は普通の人間と特に変わらないから正直どうでもいいがな、警戒してしまった私がバカみたいだ」

「確かにララさんいい人だったし、機械がどうとかはどうでもいいよ」

「いいこと言った風だが、カエデは顔が可愛ければなんでもいいんじゃないか?」

「そ、そんなことありませんよ!?」


 俺は確かに可愛い子は大好きだけど、別に顔だけで判断してるわけではなくてね?やっぱり中身も大事なんだよ、うん




「ふぁ〜、結構眠いな...」

「慣れないことばっかしたからだろう。ほら、しっかり書き写したぞ」

「おぉ!しっかり読める、ありがとうアイリス」

「かまわん...お礼は......ふふ、わかってるな?」


 狭い部屋の中、若い男女、そしてベッド


 流石に童貞な俺でもわかりますよ、アイリスさんや。ここは覚悟を決めるべきだ



「アイリス...」

「ふふ、雄の顔になってるな...は、んちゅ...ん...っ...」


 今日こそ俺は卒業するんだ、俺はその一心でアイリスの口の中を舌で蹂躙する。アイリスも俺の舌に自分の舌を絡めてくる



「んちゅ...ちゅっ...っ...ちゅ...んっ...はぁ....っ.....ふふ、なかなか積極的じゃないか」

「アイリス...」


 よし、このままベットへとアイリスを誘うんだ


 ふふふ、俺はベッドの上じゃライオンなんだぜ?



「よし、今日はこれくらいだな」

「...あれっ?!」

「何をそんな驚いた顔をしてるんだ?もしかしてまだキスしたかったのか?」

「えっと...いや、したいけど、ちょっと違うというか...」

「ふむ...なるほど、カエデ、言わしてもらうがこの部屋の壁はとても薄い。そして隣の部屋には誰がいるかわかるな」


 壁が薄い、そして俺の隣の部屋にはルミナさんがいる、つまりは...


「そういうことだ、だから残念ながらそこまではできない1週間後までお預けだな。ではいい夢を見ろよ」


 そう言い残してアイリスが部屋を出る

 そして俺は興奮状態からジェットコースターも真っ青なテンションの急降下が起こり1人残される



「そりゃないですぜ...」


 今夜は枕が濡れそうだ...

お読みいただきありがとうございます


カエデの童貞卒業の道は厳しいです

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