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一歩

よろしくお願いします

「カエデ、準備はできたか?」


「うん、俺はいつでもOKだよ」


「そうか、では行こうか」


 俺は頷いて、アイリスのあとを追って山小屋から出ていく。扉を閉じる前に「お世話になりました」と一言礼をしてから出ていった。まぁ無断に色々なもの使わせてもらったり、2日ほどここに滞在させてもらったわけだからね


「アイリス、バレンナまではどれくらいかかるんだっけ?」


「この山を下るのに2日で、そのあと10kmほど歩けば街につく。少なくとも1度は野宿することになるな、まぁ幸いなことに寝袋とかは山小屋に置いてあったからな」


「まぁその寝袋もこの山小屋に置いてあったやつなんだけどね」


 本当にこの山小屋様々である


「それよりカエデ本当にあの夢を叶えるつもりか?」


「あー、やっぱりダメだったかな?」


 ちなみに俺が作った目標はずばり!!


『ハーレムを作ること』


 である!!これをアイリスに言った時は爆笑されたけど、やっぱりねやり直した人生だったらでかい夢の一つくらいは作っておいた方がいいと思ってね



「いや、ハーレムは作ってくれて大いに結構だ。数人の女も囲めないなど男の器ではない。しかしだな、女の嫉妬というの恐ろしいものだという事はわかってるな、カエデにそれを管理できるかな?」


「そ、それは何度も言われてるからわかってるけどさ」


「もちろん私だって、嫉妬するんだぞ...?」


 アイリスの細くて綺麗な腕がするりと蛇のように俺の首周りにまとわりつく


「も、ももも、もちろん!わ、わかってるよ!アイリスのことを蔑ろにするわけは、ないだろう?」


「ぷっ.....くすくす...こんなのでどもってるようじゃ、ハーレムなどはまだまだだな。とりあえず私で女に慣れろ」


 くそ何も言えない。今でさえ心臓がバクバクしてるんだ。確かにこんなんじゃハーレムは作れない


「...それにカエデが私をないがしろにするなんてことは考えてない。こうやって......ちゅっ...はぁ...こうやってしてくれれば私は満足だからな」


「アイリス...」


 くそっ!うちのお姉さんは魔性すぎる!!

 しかしそこが魅力的なんだよ、うん


「とりあえず、街に向かおうか。そしてら二人でゆっくりできるだろう?」


「ゆ、ゆっくり...」


 まさかあんなことや、こんなことをアイリスとゆっくり?や、やばい鼻血が出そうだ


「ふふふ。あ、そうだ、この山、狼とか出るから気をつけろよ?」


「...あのいきなり何をおっしゃってるんでしょうか?」


「だから狼だ、あとは熊とかだな。私の目にちらほら見える。避けることも可能だが避けるのはやめる」


「...理由を聞いていいでしょうか?」


「そんなの簡単だ、カエデの修行のためだ。お前は弱すぎる、今のままでは全然ダメだ。戦いを見に置いたらいの一番に死ぬぞ」


「あの...別に戦いに見に置く必要はないんじゃないんでしょうか...?」


「ダメだ、戦場が私たちを求めているんだ。それに傭兵として金を稼ぐと決めたじゃないか」


 くそぉ!元は銃なだけにかなりバトルジャンキーなお姉さんだ。しかも俺が反論しようとすると目をとろんとさせて俺に近づいて甘えてくるんだよ。まぁあれはあれでいい経験でしたけど


「あと言っておくが、ここは元いたような平和な世界ではない、自分を守ることができる実力は欲しい」


「うん、わかってる。だから文句は言えないよ」


 そう、ここは日本じゃない。法の秩序が完璧に機能してるわけではない世界だ、どんな危険があるかわからない。そのために自分を守れる力は最低つけておきたい


「銃の腕前はあるんだ、あとは体力や筋力だな。今日からみっちりやってくぞ」


「はぁ...わかったよ。それじゃあいこうか」


 もっと楽にそしてエロく異世界で生きていきたいよ


 ◇


「カエデ11時の方向だ!!」


「わかった!」


 俺は「ツインズ」から白と黒の弾丸を放つ


「キャインッ!?」


「よしっ!!」


 俺が放った二発の弾丸は狼のような何か(・・)の横っ腹に直撃する


 そう、狼のような何かなのだ。だってさ


「口が二つついてる狼なんて初めて見たよ。ねぇ、アイリ...「バンバンッ!!」っ!?」


 俺はゆっくり後ろを向くとアイリスによって撃たれた緑の弾丸によって絶命したもう一匹の狼みたいな何かが転がっていた


 自分の体から一気に血の気が引いていくのを感じる


「油断するな、私がいなかったら頭から噛みちぎられてたぞ」


「あ、ありがとう。...というかアイリスはやっぱすごいな」


「まぁこれくらいならな、犬との戯れはなかなか楽しかったぞ」


 アイリスが腕についた血を(あれは狼を殴った時に浴びた狼の血であるが)を妖艶にぺろりと舐める


 アイリスの周りを見れば狼の化け物の死体が7体転がっていた。とんでもないな、うちのアイリス姉さんは、こんな狼の化物を犬扱いしてるし


「この狼みたいなのは何なんだろうね」


「そうだな...やはり狼なども普通ではないのかもしれないな。魔法などの摩訶不思議なものがあるほどだ、口が二つあった狼もそう思うと普通なのかもしれない、とりあえず私たちの常識だけで考えない方がいいということだな」


「なるほど、確かにここは違う世界だからね。俺たちの常識に当てはめようとする方がおかしいか」


「まぁ魔物と考えておけばいいだろう。ほら、行くぞ。次は油断するなよ?」


「うん、次はもっとをつけるよ」


 そしてこのあとも何回かさっきと同じ口が二つの狼のような魔物の群れと遭遇したり、腹に大きな口があるクマの魔物と戦ったりした、基本的にはアイリス無双なんだけどね


 そして山を下り始めてから3時間くらいたち、お昼をとってからしばらくした時だった


「む、あれは...」


「どうしたの?」


「いや、向こうの方で女が30人ほどの男に襲われている」


「え!?今すぐ助けないと!!」


「しかし4kmほど離れた所なんだ...」


 4kmって、だから俺には何も見えないのか

 目がいいアイリスだからこそ、気づけたってわけね


「そうだな、カエデお前が助けてあげろ」


「俺が?」


「あぁ頑張れよ」


 そう言ってアイリスが銃化する、これは俺がここから狙撃して助けろってことか


「アイリス、4kmは流石に届かないんじゃないか?」


『いや、この姿なら射程はおよそ8キロメートルだ、充分届く。後はカエデの腕だけだ、ほら助けたいなら早くかまえろ』


 8kmってもうチート級じゃないか...


『ほら、早く覗け』


「あ、あぁうん」


 俺は急いでアイリスを構えてスコープを覗く

 本当だ、女の人が襲われ...ちょっと待てよ...

 アイリスの倍率をもう少し上げる


「超美人じゃないか...」


 金髪、そう、髪を染めたギャルの汚い金髪ではなく天然のブロンド髪の毛、しかもそのブランドの髪の毛の持ち主は超がつく、アイリスにも負けない美人な人だった



『カエデ、ジロジロ見てる暇はないぞ』


「そ、そうでしたね!すいません!」


 いかんいかん、そうだ。今はあの人を助けないと


 俺は倍率を少し下げて全体を見れるようにする。ざっと女性を囲む男達の人数は30人ほど、格好は山賊のような野蛮な格好


 俺があいつらを狙えば......


「お、俺に撃てるかな...」


 別に人を撃つことにためらいはもうなかった。問題があるとすれば本当に4kmなんて距離を俺が狙えるかってことだ。もし万が一女の人に当たってしまったら...


『落ち着けカエデ、ゲームの時のようにやればいい。いつも通りだ。ほら、しっかりしろ』


「そ、そうだな、しっかり、いつも通りに...」


 俺は深呼吸をして心を落ち着かせる


 いつも通りに...


『風速などはすべて私がモニター化する、ほら、後はカエデ次第だ』


 アイリスがそういうと覗くスコープから情報が出てくる。これはアイリスの目が観測したものか


 もう一度深呼吸をする


「いつも通り...よしっ!目標は4316m、動きは無し、風速は東に4km/s...」


 俺は2、3度、指をクイッと曲げて弾丸を放つイメージする


 よし、いける


 俺は息を止めて集中して引き金を引く


 銃音が響き、緑の弾丸が撃ち放たれスコープに捉えた男の頭が弾け飛ぶ


「よしっ!!当たった!!」


『流石だぞ、カエデ。男たちはどこから攻撃されたかわかってない。くくく、ほら見ろ、慌てふためているいるぞ』


 スコープ越しに見ていると確かに女の子も含めてその場にいる者たちは口を開けて驚いている。約4キロ離れたところからの狙撃だ、何が起こったかわからないはずだ


「さて、次は......ってなんだあれは?」


 襲われている女の人の手元が赤く輝き、紅の玉が男たちに放たれ、男たちが吹き飛ばされていく


『あれが魔法か、実に興味深い。私や「ツインズ」の弾丸と似た性質だな』


 なるほど、あれが魔法なのか。初めて見たたけど、魔法というよりはエネルギー玉だな


『カエデ、ほら、お前もやるんだ』


「あ、うん、よしっ...」


 そして俺は一度イメージして、再び引き金を引く


 さっさと同様銃音が響き、少しの時間差で男の頭が弾け飛ぶ


『いいぞ、次は右だ』


「OK、右ね......」


 俺は既にどんどん集中力が鋭くなっていっていた。ゲームの時の感覚が蘇ってくる


 引き金を引く、男の頭が吹き飛ぶ


 少し銃口を左にずらして、躊躇わずにノータイムで引き金を引き、別の男の頭が吹き飛ぶ


『いいぞ、カエデ、その調子だ』


 気づけば女の人の魔法と俺の狙撃で男たちの生き残り1人となっていた


 俺は躊躇わずに引き金をまた引く


 そして最後の1人の頭が吹き飛ぶ



「......はぁぁぁ......」


 一体どれくらいの間息を止めていただろうか。あまりに集中しすぎてよく覚えていない


 一応スコープをもう一度覗くが他に撃つべき相手はいなかった。襲われていた女の人がこちらを不思議そうに見ている



「まさか、俺が見えてるのか......、いや、まさかな」


 流石に4km離れた場所を見てるなんてアイリスでもない限り無理だ。たぶん弾道から予測してこちらを見ているのだろう、まぁそれだけでもすごいけどね


「やはりいい腕前だな」


「どわぁ!?いきなり戻らないでくれよ!?」


 俺が「アイリス」を構えた状態でアイリスが元の姿に戻ったので俺がアイリスの上に乗って寝転がっている状態になっている


「ほら、カエデ、カエデに対する御褒美と私に対する御褒美だ、わかるな?」


 カエデがそっと俺の首に腕を回してくる


 俺に対する御褒美とアイリスに対する御褒美か、ということは...


「あぁアイリス...」


「ふふ、それでいい......ちゅ...ん...っ...」


 俺たちはその体勢のまま唇を合わせる

 これがお互いの御褒美ということだ、アイリスのは魔力のチャージも含まれている。

 微かに緑に輝くアイリスとキスを続ける

 どうしてだろう、これまでで1番アイリスが愛おしい、アイリスの唇を貪りたいと感じる


「...ん......っ...ちゅ...ん...っ...はぁ...んちゅ......っ......はぁ、はぁ...なかなか情熱的じゃなかったか...」


「あはは、ごめん、なんかわからないけどいつもより興奮してて」


「いや、求められる事は気持ちのいいことだから構わない。たぶんいつもより興奮してたのは私を撃っていた時の余韻が高揚感として高まったのだろう。ふふ、嫌だ嫌だと言っておきながらもカエデも私と同じ側の人間だ」


「それは喜んでいいのかな、あはは......あ、とりあえずどくね」


「あぁ、ありがとう」


 俺とアイリスはお互いに立ち上がり土埃を払って落とす


 アイリスを撃っていた余韻が高揚感にか...

 確かに俺の手の中にはまだ「アイリス」を握って撃っていた余韻が残っている、それは決して不快なものではなかった


 しかしまさかこんなところでアイリスと抱き合ってディープなキスをしちゃうとは、我ながら大胆なことをしたもんだ


 もしかして俺もバトルジャンキーの素質があるのだろう?いやいや!俺はちょっとスケベなひきこもりニートくらいが丁度いいんだ


「さて、私もエネルギーは満たされたどんどんいけるぞ!!」


「あはは、ちょっと休憩させてもらっていいかな、結構疲れてるっぽくて」


「ん?そうか?じゃあ1回ここらで休憩しようか。ほら、あそこの岩の上でも座ろうか」


「そうだね、そうしようか」


 俺たちは15m程先の大きな岩に座る



「まだ俺たち山小屋をでて、数時間だけど結構いろいろとあったね」


「そうだな、魔物のこともいい、そしてさっきの女の魔法は特に興味深い、多分私や「ツインズ」はあれと同じような仕組みで弾丸を飛ばしてるんだな」


 そう言って手元の拳銃が緑の輝きをはなち、そしてバレーボールほどの緑の弾丸と言っていいかわからないが魔力玉のようなものが放たれる


「それに彼女の内に秘めた魔力はすごかったぞ」


「そういえばアイリスはそういうのも見ようと思えば見られるだったね」


 山小屋にいる頃にそんなことを説明してもらった、ちなみに俺はかなりヘボイらしい。まぁ王城で戦闘力「53」と言われた男ですから


「まだ内に秘めた魔力が低いことを気にしてるのか?」


「まぁちょっとはね...あはは...」


 流石に自分がヘボだとここまでわかってしまうと落ち込むものがある


「いや、私なりに色々と考えてみたんだがな、カエデは本当はかなりすごいと思うんだ」


「えっと...慰め?」


「慰めなどではない、これは私の考えだが、通常人は1色又は、多くて2色ほどの魔力しか持たないと思うんだ。王城で見た者達やさっきの女、そして周りの男どもも、大小の違い、色の違いはあれど皆持っている色は一色または二色だった。しかしカエデお前は違う、お前の色は虹......いや、違うな、お前は魔力の色は決まった色は持っていない、すなわちどんな色でもあるってことだ」


「どんな色でも...」


「あぁ、そしてそれが私たちに魔力をチャージできる要因の一つだと私はみた。ほらさっきの私のように「ツインズ」に魔力をためてみろ」


「うん、わかったよ」


 俺は「ツインズ」に順番に魔力を溜める

 黒い方にはしろ輝きが、白い方には黒い輝きが互いに対となって発生する


「そのようにお前は相反する色でさえ操ることができる。そして私の緑の魔力のような色彩を持った魔力もだ。お前自身魔力の量は少ないかも知らないが、お前にはそれ以上の力があると私はお前に言いたいんだ」


「俺に力があるか...」


 俺は銃口を上に向けて、「ツインズ」から黒と白の弾丸を放つ。その音にびっくりしたのかどこかからか鳥が羽ばたく


「だから、そう卑屈になるな。カエデお前には力がある」


「ありがとう、流石に魔力もダメで俺自身もダメダメじゃ本当に自分に絶望してたよ」


「なに、カエデには銃の腕前があるからそんなに悲観になるな。それに大丈夫だ、魔力が必要じゃなくなるくらいに強くなるようにカエデを私が鍛えてやるさ」


「ははは...お手柔らかにお願いします...」


 今の獰猛の笑みを見て俺は少しゾクッとしてしまった。アイリス姉さんはどう考えてもドSだからなぁ


 俺は雲がゆっくり流れる空を見上げる


「はぁ...この世界に来てハラハラする体験しかしてないけど俺は結構この世界が楽しみだよ」


「ふふ、そうだな。二人で...いや、「ツインズ」たちもいたな、四人でこれからこの世界を回っていこう。もちろん傭兵としてな?」


「ははっ、アイリスはぶれないなぁ。あ、あと4人じゃないぞ!ハーレム作るんだからもっと増えてくさ」


「私とキスしただけ顔を真っ赤にする男が何を言うか」


「ぐっ、その事はこれからだって言ってるじゃないか!はい、休憩終わり!行くよ!!」


「まてまて、カエデ。あ、あとそっちじゃないぞ」


「うっ.........」


「ほら、カエデこっちだ。置いて行くぞ?」


「ちょ、待ってよ!アイリス!!」


 こうして、俺たちは新たな世界への1歩を踏んでいった

お読みいただきありがとうございます



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