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人嫌いの転生記  作者: ラスト
第一章
30/56

消えゆく灯火

「クソッ!どこだ!?どこにいるんだ!?」


 空は既に夜の様相を見せ始め、太陽の温もりの無い寒気すら感じる中で、フレッドは一人、既に誰も居なくなった川に入って必死に何かを探していた。

 水温も昼間に比べてかなり低くなっているであろうに、そんな事は意にも返さず、見え辛くなる視界の中で水面に顔を付けんばかりに近付けて、一心不乱に探し回っていた。

 何を探しているのかは明白だ。そもそもこの川で探すような物なんて、考えられるのは一つだけだ。


 魚。そう、フレッドはイルマの為に魚を獲って来ようとしているのだ。ガリガリに窶れた顔を見て、何か食べれば元気になると思っての事なのだろうが、未だに一匹も発見出来ていない。

 それはそうだ。ここ数日周囲数キロに渡ってヨダ村の人達が探し回ったのだ。付近には一匹たりとも魚はいないと言って良いだろう。


「おいフレッド。念の為聞いておくけど、お前こんな所で何やってんだ?」

「魚を探してるんだよ!飯さえ食えば、イルマも元気になる。見てないでお前も手伝えよ!」

「この辺にはもう一匹もいないと思うけどな」

「そんなのは探してみなけりゃ分かんねーだろ!」


 フレッドはそう言っているが、レイにはそれが分かっているから言っているのだ。既に探知魔法で周囲に魚らしき反応は無いのは確認済みだ。どれだけ頑張ったって見つかる事は無い。

 これ以上付き合っていると自分まで親に怒られると、レイはフレッドを置いて家に帰る。念の為途中でフレッドの母親であるポーラに密告しておいたので、暫くすれば引き摺られてでも家に帰るだろう。


 ーーー


 次の日も、その次の日も、フレッドはイルマの為に暇さえあれば川に行って魚を探した。余程イルマを助けたかったのだろう。

 後にレイが聞いた話では、一度家の麦をこっそり持ち出そうとまでしたそうだ。勿論ポーラに見つかって叱られたそうだが、それだけ必死だという事なのだろう。

 しかし他の村人達も躍起になって探しているが、ここ数日は一匹も獲れたという話を聞かない。次第に川に向かう人も減る中、フレッドは毎日川へ行っては魚を探し続けた。全ては異常な程に痩せ細った友人を助ける為。今度こそ、友人を死なせたりしない為。


(まあ、結局は無駄である事に変わりは無いんだけど)


 この近辺の魚は獲り尽くされたと言って良い。そして近くにいる魚は危険を感じて、毎日のように人が集まる騒がしい場所から離れて行く。戻って来るには人が来なくなってから暫く掛かるだろう。お蔭で暫くは堂々と焼き魚を食べられそうに無いのが最近のレイの不満である。

 村人達にも困ったものである。少しは種の保全とか、長期的に獲れる工夫とかを考えて欲しい。

 そんな事を考えながら畑に向かって歩いていると、森の近くで数人の村人達がもめていた。


「今からでも考え直せ!村の掟を破ったら、この村に居られなくなるぞ」

「うっせー!このまま食い物の取れねー畑耕してどうなるってんだ!このままじゃ冬は越せねー。魚ももう見つかんねー。だったらもう森に入るしかねーだろ!」


 如何やら集まった若者達は食料を求めて帰らずの森に入るつもりらしい。それを親達が止めようとしているという構図のようだ。


「猟師の連中だって森に入ってんだろ!だったら俺達だって」

「馬鹿言うな!猟師の奴等だって死なない訳じゃ無えんだぞ」


 この村の猟師は村が出来た頃から代々伝わる森の知識と長年の経験によって、獲物になりそうな動物や魔物等の危険な獣が近くに居るのか、森を歩く時に何に気を付ければ良いのかといった事がおおよそ把握出来るらしいが、それだって絶対では無い。

 実際、猟師の死因の九割近くが森に入った切り戻って来なくなる事だ。少なくとも森に入った事の無いズブの素人が下手に踏み込んだ場合、帰って来る確率は絶望的だ。


「じゃあ俺達にこのまま死ぬのを待てって言うのかよ!」

「そういう訳じゃ……」

「兎に角、俺達は行く。このまま何もしないで死ぬなんて嫌だからな!」


 若者達は親達の制止を無視して、武器代わりに木の鍬や鋤等の農具を持って森の中に入って行った。


「やれやれ。また森に入る若者が出てしまったか」

「ヒー婆さん…(居たのか)」


 いつの間にかレイの横にヒアリーが立っていた。あまりに突然だったので素で驚く所だった。


「いつもいつも、村の食料が少なくなると、村の若いのが森に入って行くんじゃよ。そしてその殆どは、そのまま帰って来ない。帰らずの森の所以じゃ」

「でも殆どって事は、何人かは帰って来たって事になるけど」

「確かに帰って来た物は居ったさ。じゃがそれで冬を越せたと言う話は無い。それでまた森に入って、結局帰って来なくなる。あたしの聞いた話でも、森に入って二回よりも多く帰って来れた者は居らん」


 つまり、二度目は成功させたが、三度目は失敗したという事になる。そんな三度目の正直は誰も欲しがらないだろうに。

 そしてそんな場所にほぼ毎晩行っては帰って来ているレイは、やはり村では異常なのだろう。黙っていて正解である。


「レイも、くれぐれも森に入ってはならんぞ。と言っても、レイは既に森の恐ろしさは身に染みて分かっておるじゃろうがな」

「まあね」


 かつてウルフに引き裂かれた腕を軽く見せながら言う。


「分かっておればそれで良い」


 そう言ってヒアリーは残された親達の方に歩いて行った。どうしようなどと話し合っている様だが、特に興味は無いのでレイは畑に向かった。

 もう直ぐ畑に成った野菜が無くなりそうになっていても、それによって仕事が無くなる訳じゃ無い。次の種蒔きに向けて土を均したり、男衆の集まりで話し合われた方法を実施したりと、仕事が無くなる事は無い。特に今回は飢饉から一刻も早く脱出する為に皆必死だ。藁にもすがる思いで頑張っている。

 今回提示された方法は『草木の育つ場所から土を持って来て畑に混ぜる』という物だった。作物が育たないなら、別の場所の植物が生える場所の土を畑に混ぜれば少しは良くなるんじゃ無いかという考えらしい。


 因みにこの考えは、食事中に漏れたレイの投げやり気味な呟きをランドがそのまま提案した事が原因だったりする。勿論レイもその事に気付いているが、別に糾弾する程腹も立っていないし、次の年も飢饉が続くよりはマシなので特に何も言わなかった。

 強いて文句を挙げるならば、離れた場所にある土を何度も往復して畑に運ぶのは面倒だという事くらいだ。適当に汚れても良い容器に土を入れて運ぶにしても手間が掛かり過ぎる。せめて猫車くらい開発されていて欲しかったと思わずにはいられない。


「レイ様、大丈夫ですか?」

『大丈夫では無いな。これまでの畑仕事の中でも一番疲労が溜まってる』


 畑仕事の筈なのに、やっている事は土木工事に近い。身体強化のお蔭で何とかなっているが、生身だったら確実に半日も保たなかっただろう。

 こんな事なら食事中に変な事を口走るんじゃ無かったと後悔の念すら湧いて来る。


『本当、口は災いの元とは良く言ったもんだ』

「どういう意味なんじゃ?」

『不用意な発言は不幸をもたらす事があるから迂闊に喋るなって意味だ』

「そうなんだ。相変わらずどこから知ったのか分からないけど、為になる言葉だね」


 精霊達はレイが産まれてから殆ど一緒に居るので、レイの謎知識の情報源が分からない。レイも前世の知識と言っても変に思われるかもと適当に誤魔化しているので、いつも間にかレイだからと納得するようになっている。

 その言い方には若干不本意に感じるレイだが、それを言うと結局情報源についてとやかく聞かれるので目を瞑っている。


 持って来た土を畑に撒く。こうして見比べてみると、畑の土は色が悪いのが一目で分かる。植物が育つのに必要な栄養が足りて無い証拠だ。


「これは麦が育たなくなる訳だ」


 この方法が上手く行けば、今後は麦の育ちが悪くなる前に、畑に栄養のある土を加えれば飢饉の予防に繋がるだろう。


(まあ、その効果が目に見えるレベルになる頃には、俺はもう村には居ないだろうけどな)


 秘密基地の拠点化は順調に進んでいる。食料生産の目処も立ち、生活に必要な物も殆ど作り出せた。上手く行けば、冬を越えるのを待たずに村を出られそうだ。


(今の内に村を出る口実でも考えておくか)


 あまり不審に思われず、且つ自然な感じで抜け出せるようなのが望ましいのだが……今の所あまり良い感じの物は無さそうだ。村を出るまでには、何かしら考えておいた方が良いだろう。暫く暇な時間はそれで何とかなりそうである。


 ーーー


 時は経ち、陽は傾き、時刻は夕方になった。今日も仕事を終えて、ランドと共に家へと帰る。慣れない事をしたからか、ランドの足取りはやや重めだ。


(そう言えば、今朝森に入った連中はどうなったんだろうな)


 朝に森に入って行った村の若者達が本当に生きて帰って来るのなら、恐らくここ等がタイムリミットだろう。

 長時間森に入っていると鼻の効くウルフに臭いを辿られる危険があるから、村の猟師達でもほんの数時間程度しか森に入る事は無い。

 若者達が森に入ってもう直ぐ半日。この時点で猟師が森に入る時間を軽くオーバーしている。少なくとも何人か死んでるか、既に全滅していると考えた方が良いだろう。木の農具でウルフを撃退出来るのなら話は変わって来るが、余程の実力でも無い限り普通の村人では不可能だろう。

 まあ別に森に入った若者達が全滅しようが、レイには全く関係無いのだが。

 そんな事を考えていると、前の茂みからガサガサと物音が。


「…何だ?」


 ランドや近くに居る村人達が訝しげに見る中、茂みの中から一人の若者が飛び出して来た。確か森に入って行った若者の一人だ。


「ウオォォォーーーーー!!!」


 茂みから飛び出した若者は歓喜の雄叫びを上げてその場に崩れ落ちた。その手にはリンゴのような果物か一つだけ。


「やった!やったぞ!帰って来れたんだ!ハハ、ハハハハハ!!」


 まるで地獄から生還して来たかのような喜び方だった。そしてその反応だけで、森の中で何が起こったのか理解出来た。


 結果は誰もが思った通りだった。最初は食べ物を見つけたら直ぐに帰還しようとしていたのだが、暫くして食べ物となる果物を見つけた時、あまりにもあっさりと見つけられた事から慢心した彼等は、更に食べ物を探して森の奥へ奥へと進行。両手と腹に一杯の食べ物を抱えていざ帰ろうとしたその時にウルフに襲われたそうだ。

 ウルフに食い殺される仲間を見て、生き残った彼は仲間を見捨てて一目散に逃げ出し、そして大部分の食べ物を落としながらも命辛々帰って来たという訳だ。

 そして成果は果物一つ。何と言うか、実に典型的な失敗の仕方である。この世界の教養の無い村人にリスクだ何だと説いても無駄なのは分かっているが、もう少し慎重に行動出来なかったのかと思わずには居られなかった。

 後にその若者は再び森に入ったきり行方不明になるのだが、それは詳しく語る必要も無いだろう。






「とまあそんな事があった訳だ」


 帰りの途中にイルマの家に立ち寄ったレイは、ベッドに横になったイルマに今日の出来事を聞かせていた。

 因みにフレッドの件は話していない。お互いの為にも話さない方が良いだろうという配慮……では無く、単純にそれによって起こるであろう面倒事を嫌っての事だ。実に利己的であるが、それで余計な心配や亀裂を作る事も無いのだからそれで良いのだろう。


「そっか。皆大変なんだね」


 まるで他人事のように言っているが、恐らくこれまで話した内容のどの不幸話よりも、現在のイルマの状況の方が明らかに深刻な状況だろう。森に入った若者に至っては自業自得なのだし。


「村の状況が状況だからな。良い事よりも辛い事の方が多いのは仕方ないだろ。寧ろまだ飢え死した奴が出てないだけマシだと思えるな」

「じゃあ私が死んだら。最初の飢え死になるんだね」

「いやお前のそれはどう見ても病死だろ。その痩せ方は明らかに普通じゃ無いし」


 実際ここ数日レイは毎日イルマの様子を見に来ているが、一向に良くなるどころかどんどん悪くなっているのが何と無く分かる。

 それにしても、本来イルマを元気付ける為の物の筈なのに、いつの間にか暗い話題ばかりになっているのはレイの性格の問題だろう。


「随分と辛いみたいだな。目の下が黒くなってる」

「辛いのは本当だけど、夜はちゃんと眠れてるよ。そんなに酷い顔してる?」

「そうだな。三日間寝てない人の顔みたいだ」

「そんな人見た事無いよ」


 この村では徹夜をする程忙しい人は居ないだろうから、見た事が無いのは当たり前である。


「でも…そっか。私そんなに酷い顔になってるんだ」

「自分じゃ確かめようが無いもんな」


 寧ろその方が良いのかもしれない。今の姿はとても見せられた物では無い。下手に自分の姿を見て落ち込むよりは、想像にお任せした方が良い。知らない方が良い事も世の中にはある。


「……時々思うの。私、後何日こうしてるんだろうなって。後何日、こうしていられるんだろうなって」

「………」

「こうしてレイと話せるのも、後何回出来るのかな」

「さあな。お前が死ぬか、俺が村を出て行かない限りは大丈夫だろ」

「うん。私が死ななければ…」


 そこで一旦言葉が途切れた。声が震え、何かを堪えるように小さく嗚咽が聞こえる。しかし僅か数秒後、それは直ぐに決壊した。


「死にたく…無いよ……!」


 ここまで溜め込んでいた物が決壊し、涙と言葉になって溢れ出る。普通ならもっと早く泣き叫んでいただろうから、寧ろ子供にしては良く堪えた方なのだろう。


「……そうか」


 レイは一言そう言った。既に何日も頑張っているイルマに『頑張れ』と言うのは、何か違う気がしたのだ。

 そしてそうなると、レイから言える事はもう無かった。


 ーーー


「ハァ……ハァ……」


 家への道を歩くフレッド。その足取りは重く、表情も暗い。

 今日も魚は一匹も取れなかった。長時間川に入っていた所為か、手の感覚が朧げで、一歩歩くごとに鈍痛がするが、フレッドにはそんな事は気にならなかった。それよりも魚が獲れなかった事の方が、フレッドにダメージを与えていたのだ。

 一匹、一匹でも魚が獲れれば、それでイルマが楽になるというのに。ジムの時とは違って、今回は助ける為の猶予があるのに、もうあの時のような、友達を死なせるような経験はしたく無いというのに。


「クソッ…!」


 口から出る悪態も力が無い。それ程までに憔悴していた。


「おう、ポーラさんとこの倅じゃねーか。大丈夫か?」


 トボトボと家へと帰る道を歩いていると、先日も出会った村人と鉢合わせした。

 正直な所、今その顔は見たく無かった。この男の所為で川の情報が村に知れ渡り、その所為で本当に必要な今になって魚を獲る事が出来なくなったのだから。


「うるせー…」


 吐き捨てるように言って村人の横を通り過ぎる。一秒たりともその顔を見たく無かった。そうしないと直ぐにでも殴りかかりそうだったから。


「何だよ機嫌悪いな。…そうだ。知ってるか?今日、村の若え連中が食い物を探しに森の中に入ったそうなんだよ」

「えっ?」


 バッと勢い良く振り返る。怒りを忘れた訳では無いが、それよりも森に人が入ったという話の方が重要だった。


「どういう事だよ」

「お、やっぱ知らなかったか」

「良いから早く教えろよ!」


 村人のドヤ顔を見ていると怒りが再燃して来る。しかし帰らずの森は探せば当たり前のように食べ物が見付かる場所だ。フレッドも一度入った事が有るから分かるが、その分とても危険だという事も知っている。そんな場所に入った奴の事は、気にならないと言えば嘘になる。

 だから早い所情報だけ聞きたいのだ。そして早くこの場を去りたい。


「俺も詳しくはねーんだけどよ。何でも、今朝早くに村の若え連中が食い物を探しに森に入って行って、ついさっき一人だけが、木の実を一個のだけ持って帰って来たって話だ」

「たった一人だけ……」


 ふと、レイの言っていた事を思い出した。森に入れば食べ物は見付かるだろうが、十人中九人は死ぬ。奇しくもレイの予想通りの結果だった。




 その夜フレッドはベッドの上で思考に没頭していた。帰って来た時に母親に頭を殴られた痛みが今だ残っているが、それも気にならない程に集中している。

 森。今まで魚を獲る事に熱中し過ぎて思い浮かばなかったが、その手があった。確かに森なら探せば食べ物も見付かる。それは今現在の川で魚を見付ける事よりも確実だ。

 しかし川よりも圧倒的に危険である。それはフレッド自身が身をもって知っている。その時の恐怖が、ウルフの姿が、そしてジムの最期の姿がフラッシュバックして、フレッドを思い留まらせようとする。加えてレイの言っていた事も相俟って、より強力にフレッドに諭すのだ。森に入るのはよせと。


(クソッ…!)


 ふと、自分の手を見る。固く握られた手は暗くて良く見えないが、震えているのは嫌でも分かった。


(クソッ、止まれ、止まれよ!)


 震えが止まらない自分の手に苛立つフレッド。もう片方の手で手首を押さえて震えを止めようとするが、一向に止まる気配は無い。いや、寧ろもう片方の手の震えが合わさって余計に強くなっている気さえした。それが更にフレッドを苛立たせる。


(何でだよ、クソッ!イルマが死にそうだってのに!)


 そういえばあの日、イルマの様変わりした姿を見て以来、イルマを見ていない。家で寝込んでいるからフレッドの方から行かない限り会う事は無いのだから当然だが、それ以上に魚を獲る事で頭が一杯になっていた。少しでも早くイルマに食べ物を届けてやりたかったから。

 果たして、今彼女は大丈夫なのだろうか。今こうしている間にも、イルマは死に向かっている。数日前の時点で既にこれ以上痩せようが無いってくらい痩せ細っていた。今日まで死んだという報らせは無かったが、それが何時まで保つのかは分からない。

 事は一刻を争う。なのに森へ行こうと考えるだけで、石のように体が動かなくなる。


(クソッ……)


 自分自身への怒りを通り越して、悔し過ぎて情けなくさえ思える。

 結局この夜、フレッドは碌に眠る事が出来なかった。

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