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神器使いの子鼠  作者: ホルス
1/1

初仕事 そして

あれ、連載要らねえじゃん。

  多機能ギルド、オルディアゴーの朝

 玄関すぐのリビングのソファで寝るファントリー姉弟がまず最初に起きて着替える。

「おはようお姉ちゃん」

 寝ぼける弟リルストが眠い目をこすりながら起きる。

「おはよう、リルスト」

 姉レイラは先に別室で着替え済みだ。

「別室で着替えたら、ガイラスおじさんを起こしに行ってくれるかしら」

「ふぉーい」

 リルストはあくびをしながら着替えるために別室に向かう。

 レイラは朝食の準備を始める。レイラがギルドに来てからというものの毎食とはいかないが当番を任されている。ギルドマスターのケドラス、そのせがれのガイラスにとってレイラの郷土料理は珍しいのだろう。

 今日の朝食はレイラが地元で朝食として食べていた一品だ。行商で行きかうリトニスにはレイラの地元で使われる食材がいくつか手に入る。

 レイラは食べていた味を思い出しながら料理する。

「いい香りだな」

 たくましい声の主はガイラス・ガーマルド。このオルディアゴー一番の稼ぎ手でレイラとリルストが入団した翌日に帰って来た。

「おはようございます」

 レイラは元気に挨拶する。

「レイラはもうオルディアゴーの看板娘だな」

「娘って私以外いないじゃないですか」

「そうだな。レイラはいい嫁になるぞ」

 レイラはホッと顔が赤くなる。

「わ、私はガイラスさんとはなる気は・・・・・」

「俺とじゃない。リルストとだ。血は繋がってないんだろ」

 レイラは恥ずかしくなってそっぽ向く。

「そ、そっちでしたか。恥ずかしい」

「呼んだ?」

 ガイラスとは時間差でリルストが戻って来た。

「呼んでない。外掃除してきて」

「大人の話だ。子供は入っちゃいかん」

 リルストは少し興味が有りそうな顔をしながら外に出た。


 朝食の準備が終わり、ケドラスが席に着く。

「今日もレイラちゃんのご飯食べれるわい」

「それは良かったな親父」

「「「「頂きます」」」」

 今日のオルディアゴーが始まる。


 今日はレイラの初仕事である。リルストは仕事以前に勉強をしなければならないのだが、

「お姉ちゃんが一緒じゃなきゃやだ」

 と言うのでレイラと同行することになった。

「見ない顔だね。新入りかい?何年ぶりかな」

「はい、一昨日オルディアゴーに入ったレイラ・ファントリーで、こっちは弟のリルストです」

「こんにちは」

 レイラの初仕事はキャラバンの手伝いだ。

「私はキャラバン長のガラン・ゲランだ。この人は妻のジェリー、この子は娘のドリーだ」

「初めまして」

「こんにちは」

 ジェリーとドリーは親子なだけあってよく似ている。

「私たちキャラバンナンバー4075923は親父の代から続いてて、昔はよくオルディアゴーにお世話になったものだよ」

 ガランは軽く昔を思い返した後仕事に入る。

「すまんすまん、君たちには関係ない事だったね。依頼内容について話をしようか」

「お願いします」

「お願いしたいのは旅先で仕入れた品を販売することだ。品物は傷つけず丁寧に扱ってくれ。分からないことがあったら妻かドリーに聞いてくれ」

「分かりました」

 レイラの初仕事が始まった。


「ほらほら、異国の地でしか取れない食材や工芸品だよ。珍しいから買ってみな」

 レイラとドリー、一部のキャラバンメンバーが売り子をして、ジェリーとリルスト、そして数人の男たちが品物を店頭に運ぶ。

 ガランのキャラバンは結構人気があり、来るのを楽しみにしている人も多くいた。

「キャラバンって楽しいですか?」

 人が空いた隙にレイラがドリーに聞いた。

「分からない。私が物心ついた時にはキャラバンで旅してたから。そうゆうレイラはどうしてオルディアゴーに入ったの?」

「私自身出稼ぎで街に来たんですけどある事情でなかなかギルドに入りづらくって、入れてくれたのがあそこだったもんですから」

 レイラの回答にドリーが笑う。

「お爺ちゃんが良く言ってたんだけど、あそこの人たちって訳ありの人が多いらしいからレイラちゃん一人くらいいたって別に珍しくないよ」

「そうなんですか」

 ドリーの笑顔を見てレイラも笑顔になった。

「これください」

「「まいどあり」」


 今日の仕事が終わり、配給がされる。

「今日はレイラちゃんもリルスト君もよく頑張ってくれたから報酬とは別にこれをあげるよ」

 ガランがレイラに渡したのは数枚のお札だ。

「これは?」

「またこの街に来たときに君たちにお願いする約束の証だと考えてくれればいい」

「僕には?」

 リルストが自分の分がないのかガランに聞く。

「君にはこれを渡そう」

 ガランがリルストに渡したのはさっき販売していた野菜である。

「これを調理してマスターたちと仲良く食べてくれ」

「分かりました」

 レイラとリルストは報酬を受け取り、ギルドに戻った。


「「ただいま」」

 元気よく二人はギルドのドアを開けた。

「レイラちゃんのご飯が恋しかったぞい」

「・・・・って、まだ一食しか抜いてないだろうが」

「じゃあ、夕飯考えますね」

 レイラは荷物を置いて夕食を考える。

「おいおい、せっかくだから今日は休め。親父も冗談交じりで言ってんだ本気にするな」

「ではお言葉に甘えて。リルストが持ってる野菜を使ってくださいね」

「分かった」

 

「そういえば、この野菜報酬で買ったのか?」

「いや、ガランさんが報酬とは別でくれたんです」

「また街に来たら僕たちにお願いするって」

「ほお、次回からはご使命というわけか」

「何もともあれ、成功して良かったな」

「はい」

 今日のオルディアゴーは暖かな空気で過ごされた。


  翌日


 今日はガイラスが二人が戦闘に関して未熟なので教える日だ。

 三人は街の外の開けた場所に来た。

「今日はお前らが戦闘面に関して未熟だと親父が判断したから俺が指導する。いいな」

「「お願いします」」

 ガイラスはハンマー、レイラは双剣、リルストは短剣と種類が違うのでガイラスは間合いなどについて教えることにした。

「武器ごとに間合いはがある。間合いは武器ごとに違うが、武器のリーチで間合いが決まる」

「おじさん」

 リルストが手を上げ質問する。

「何だ?」

「リーチって何?」

「そこからか・・・・・」

 ガイラスは頭を抱えた。

 ガイラスはリーチの意味を教え、レイラとリルストに木の枝でチャンバラをさせてみる。

  バシッ

「痛いっ」

 叩かれるのは毎回レイラだ。

「お姉ちゃん、真面目にやってよー」

「う、うん」

 二人はすぐ再開しまたレイラが叩かれる。

「止めっ」

 ガイラスが号令をかける。

「ちょっと休め。無理は禁物だからな」

 号令をかけられたので二人は休み始めた。

「すみません。訓練を中断させてしまって」

 レイラがわざわざガイラスに謝りにくる。

「休憩は初めから入れるつもりだった。それに痛々しい女の子を見るのはこっちも辛いしな」

 レイラにはリルストに叩かれてできたあざだらけだ。

「それにうちは多機能ギルドだ。戦闘にこだわる必要ない」

 ガイラスはレイラを休ませ考える。

(レイラは戦闘に関してからきしだな。対してリルストは盗賊をしてただけあって振り方は無茶苦茶だが感覚的にできているな)

 それがガイラスの二人に対する評価だった。

 その後チャンバラを再開し、結果レイラはリルストに二・三回当てるだけで終わった。


   半年後

 

「お姉ちゃん、耳かきしてー」

 リルストは時の短剣を保持しガイラスとともに仕事に出るようになったがレイラへの甘えん坊は今も続いている。

「いいよ、ほら膝枕してあげるからいらっしゃい」

 レイラは戦うのを辞め、行商や料理店の手伝い担当とギルドの看板娘になっている。

「レイラちゃん、儂にもしてくれんかのお」

 ケドラスは今も健在だが自分の仕事を少しづつレイラに教えている。

「リルストのが終わったらしてあげますよ」

「娘どころかお母さんだな・・・・・・」

 ガイラスはリルストをパートナーにしつつも一番の稼ぎ手は譲らない。

「ガイラスさんもどうですか。してもらうのは意外と気持ちいいものですよ」

「お姉ちゃん、やって」

 リルストはレイラの太ももに頭を乗せ、準備完了だ。

「分かったやるから、じっとしててね」

 レイラはリルストの耳掃除をしながら会話をする。

「ギルドの中で私がお母さんならお父さんは誰なんでしょうね」

「それは儂に決まっておるじゃろ」

 ケドラスが名乗りを上げるが、

「違うね」

「違うと思います」

「それは無いんじゃないか」

 全員一致で否定された。

「私はガイラスさんだと思います。風貌的にも収入的にも。リルスト、反対側」

「はーい。お姉ちゃんにさんせーい」

「儂じゃと思ったんじゃが・・・・・」

 二対一で決定だ。ケドラスは悲しそうだが仕方がない。

「マスターはお父さんのお父さんってとこじゃない?」

「お爺ちゃんね。自分でも言ってますしね」

「足元にすくわれたな、親父」

「とほほ、儂はお爺ちゃんか」

 リルストの耳掃除が終わり、今度はケドラスの番だ。

「若い子にしてもらうのはいいものじゃのう」

「自分が年寄りだという事を明らかに肯定してるぞ」

「ねえ、僕は何なのかな?」

 リルストが当てはまるものをみんなで考える。

「息子だな」

「甘えん坊のね」

「孫じゃな」

「結局どれなのさぁ」

 言葉を勉強中のリルストにとってちょっと難しかったようだ。

「私とガイラスさんとの間の子供、ケドラスさんにとっては孫。同じ意味よ。ケドラスさん、反対側向いて下さいな」

「ほーい」

「間の子供か、ちょっと恥ずかしいな」

「そうですね」


 リルストとケドラスが寝た後、レイラとガイラスはガイラスの部屋にいた。

「意外と気持ちいいものなんだな」

「そうでしょ」

 ガイラスはレイラに結局耳掃除を受けていた。

「痛っ」

「すいません」

「良いよ別に、ご愛嬌ってやつだろ」

「良くお分かりで」

 ガイラスの片耳が終わり、反対側に入る。

「ガイラスさん、これ終わったら私にしてくれませんか」

「他の二人じゃだめなのか」

「リルストは適当そうだし、ケドラスさんもあの人はあの人って感じで」

「俺したことないぞ」

「誰でも初めは初めてでしょ」

「まあそうだが」

 ガイラスの耳掃除が終わり、交代する。

「なあ、レイラ」

「何でしょうか」

「俺を何として見ている?」

「ハハハ、何ノコトデショウカ?」

 レイラはとっさに片言になる。

「ギルドの仲間として見ているのか、異性として見ているのかだ」

「!」

 レイラは顔が赤くなる。

「あくまで聞くだけだ。お前の答えでどうこうするつもりはない」

 レイラはガイラスの言葉でホッとする。まだ顔に赤みが残っているが。

「半々です。仲間として、家族として半々です」

「そうか」

 片耳の掃除が終わり、レイラは身体ごとガイラスの方に向ける。

「綺麗になる耳でよく聞いてくれ。お前の人生はまだ長いんだから焦らず生きろ。だが焦らなすぎるなよ。俺みたいなるから」

「頭の片隅に置いときます」


 耳掃除を終え、寝床であるリビングに戻ったレイラは手紙を書く。故郷を出てから初めて書く手紙だ。


 お母さんへ

 

 私が故郷を出て半年が経ちました。私は元気です。村の皆はどうですか。

 私はリトニスという街のオルディアゴーというギルドで働いています。

 ギルドの人は優しいし、街への道中で拾ったリルストと一緒に頑張っています。

 私の作った料理、皆喜んで食べてくれるんだからね。

 追記

 私はギルドのお母さん的存在に決まりました。みんなお母さんのおかげだよ。


                      あなたの最愛なる娘 レイラより    


リルストをヤンデレのヤンショタは面白そうと思ってる作家ホルスだぜ。

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