そんなとこから
しばらく俺は盗賊の1人と帽子屋を捜していた。だが俺は帽子屋がどんな人だが知らない。
「直保、帽子屋を捜す時のコツは帽子みたいな所を見つけたら声をかけることだ。返事したらいるってことだからね」
帽子みたいな所と言われてもそんなところは、、、
「帽子屋ー!」
盗賊は直径10センチほどの空き缶を見つけ呼んだ。
「んー。ここには居ないみたい」
そこに人がいたら駄目だろう。よほどの変人もしくはかなり身体が柔らかい人だ。身体が柔らかくても入ってはいけない。
俺は試しにそこら辺に転がっていたシルクハットのような箱に声をかけた。直径20センチほどだ。
「呼んだー?」
(嘘だろ!?)
俺は思わず後ろへ下がった。
直径20センチほどのシルクハットのような箱から頭を出しへらっと笑っている青年は謎だ。
どうやって入ったのか分からないがそこは気にしたら負けのような気がする。
「貴方が帽子屋ですか?」
箱から完全に出てきた青年に聞いた。
青年は気だるそうに「そうだよ」と言う。
「俺は直保と申します」
お辞儀をして自己紹介を簡単にした。
するとさっきまで気だるそうにしていた帽子屋は驚きの顔をみせた。
「嘘だろ!キミが直保だなんて!直次の所に行ってないだろ!やり直しだよ!」
大声を出し俺の胸ぐらを掴み前後に揺らしたと思えば拳をつくり地面にあてはじめた。
「やり直しだよ!直次の家の玄関前に戻すから、、、片割れはどこ?」
片割れというのは奈保のことだろう。
「奈保のことですか?双子の妹」
「奈保というのか。そうだよ」
帽子屋に奈保がいなくなったという事実を伝える。それと奈保の特徴も一緒に伝える。
「もしかしたら後ろ姿はこんなじゃないかな?」
帽子屋が取り出した写真を見て驚いた。その写真には豪華なドレスを着た髪の長い奈保によく似た少女が写っていた。
「奈保によく似ている、、、」
それが奈保でないという確信はない。しかし俺には奈保によく似た別人だということが何故か解った。
「この写真の少女はアリスという。現在、城を脱走して捜索中である」
お姫様ってところか。それにしても脱走中とは、、、さぞかしおてんばな姫なのだろう。奈保とは大違いだ。
奈保は人見知りをする。芸能界に入ってからだいぶよくはなったが昔はいつも誰かの後ろに隠れていた。それでも俺が近くにいるとずっとそばにいる。
「それで奈保が拐われたのはきっとアリスと間違われたからだ。それを前提とすると犯人は奇術師ということになる」
「ちょっと待て。奈保がそのアリス姫とよく似ているのはその写真を見れば分かることだが、何故その誘拐犯が奇術師と断定する。憶測でものを言わない方が身のためだ」
「すまない。アリスはこの國、セカイの重要な歯車だからな、、、」




