最後の呼びかけ
「瘋、帰ろう」
優しく笑う。警戒心を解くのが狙いだ。
「ハイジョ、ハイジョ」
【破界】はその言葉を口にしただけでなると分かった。それと、【破界者】になるとハイジョしか言わなくなることも。
こんな時、黄金の姫がいたら何かが変わっていたと考えてしまう。しかし、黄金の姫はいない。神さまは人を生き返らせることは容易ではない、と言っていた。偽物はやがて本物へと変化する。本物を一から作ることは無理だ。本物なんて偽物があるから存在するわけで黄金の姫を生き返らせる(作る)としてもそれは必ずしも彼が愛した黄金の姫ではない。なんかしらのズレが生じる。神さまはそれを踏まえた上で俺に生き返らせてみるか、と聞いた。
俺は考えた。それを行って彼は満足するのだろうか、満足してもその後はどうする。【破界】が止まったとしてもまたああなるだろう。俺はなんとしてもそれだけは止めたい。
だから俺は神さまの提案を断り、自分の力でなんとかすることにした。
両手を広げ優しく語るように何度も声をかけた。
「瘋、帰ろう」
初めは「排除」としか言わなかったが呼びかけるうちに涙を流し始めた。
「瘋、一緒に帰ろ」
「、、、助け、、、排、除、、」
涙は片眼から流れる。
「帰ろう。、、、現実に」
出来るだけ刺激を与えないように語る。
「現実、、、かえ、、、る、、、ハイ、、、ジョ、」
「そう。帰ろう、現実に。瘋」
「黄金は、、、?」
『もう届く』
俺はその神さまの声を聞くと決意するように目を閉じる。数秒してからその目を開く。
「黄金は死んだ」言うな!
「だからもう会えない」【破界】に戻すな!
「あ、あ、ああ゛ぁ゛ぁ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
叫ぶ。瘋が息が終わってもそれでも出なくなった声を出して叫ぶ。
「ぅあ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁ!」
認めたくない。認めたくない。認めたくない認めたくない認めなきゃ認めたくない認めたくない認めたくない認めたくない認めなきゃ認めたくない認めたくない認めたくない認めなきゃ認めたくない認めたくない。
認めたくない。けど、これは現実に起こった。起こっていることだ。と理解をさせ自分の中で奮闘している。
瘋はこのままだと狂って戻れなくなる。今はまだ戻れる位置にいる。
「でも、俺らは生きてる!生きてるから!これを終わらそう!黄金もお前の兄さんもこのセカイも!すべて終わるけどそれでもそれだから俺らは、生きてるんだ!」
瘋の肩に手をかけ呼び掛ける。認めさせるために受け容れるために。
色々な事がいっぺんに動いて変わり、終わる。そろそろ全てが、終わる--
――俺の意識は途切れた。
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「全く、無茶をする」
「本当だよな。人間のくせに」
神さまみたいに万能じゃないからな、人間は。だから無茶をするんだ。頑張る。挫折する。
「ふっ。これからどうするんだ?」
どうしよう、、、やる事は終わったしな。このセカイの終を見るかな。奈保はアリスと頑張っていけるだろう。
「アリス、、、」
奈保、、、
「2人とも大好きなんだね」
奈保は街で必ずと言っていいほど声をかけられるんだ。不思議なオーラがあるみたいで大抵それが告白なんだ。
「大変そうだな。アリスは無実の罪で國中を逃げ回って知り合いが多かったな」
無実の罪って、、、
「おー。なんか分からないが意味のわからん罪擦り付けられたってさ」
それ本当か?
「嘘にしたってなんでついたのか分からないしな」
本当でも嘘でもどちらでもいいさ
「そうだな」
瘋がやっと戻ってきた(?)曖昧なところで直保の意識とぎれるんだから、、、
50もいかないうちに終わるんじゃないかな。




