破界
「黄金ぇ!」
2人はその声で振り返る。その目に映ったものは釜のなかへ消えていく黄金の姿だった。
「姫!」
瘋はわずかに見えた黄金の指先を掴もうと必死に手を伸ばしたが届かなかった。
「あ、、、あぁ、、、」
「、、、能力を使わないのか?」
そうやって無意味に泣いても無駄だ。そう言ってるように聞こえた。
「能力を使ったって姫は戻ってきません」
「そうか?やる前から諦めても、、、」
「やだぁ、ィャー!」
奈保とアリスの叫び声が聞こえる。
「奈保!?俺は諦めない!」
そう言って直保は設置されそうになっている奈保を助けに走っていく。
「諦めてるのか、私は、、、」
『瘋』
「!?、、、幻聴?まさか、いや、、、」
『欲しいものがあるならもがけ!』
「兄、、、様?」
『頑張れ!』
、、、これは幻聴だ。
『生きながらに死ぬのだけはダメだ』
分かっているよ、兄様。
使っても良いかな、【破界】の名を。
なにが起こるか誰にも分からないこの能力を、、、
瘋は静かに目を閉じた。
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直保は深く息を吐いた。
「奈保を離してもらおうか」
黒い部分は奈保の首に鎖みたいなものをかけていた。それはアリスの首にある同じものと繋がっている。
それは禍々しい光を放ち、あの釜へ力を注いでいるように見える。
「ぅ、、、ぅぁ、、、」
「んぅぁ、、、くっ、、、」
釜へと注がれている力は奈保とアリスから奪っているようで2人は苦しそうな表情と声を出している。
直保は剣をよりいっそう強く握り黒い部分、鎖を斬ろうと走りとび剣を降り下ろした。
「ぐはっ、、、」
剣は黒い部分にも鎖にも届かずに壊され、その破片と鎖の攻撃で直保はダメージを負った。
「チッ、、、汚い。なにこの血、、、赤褐色みたいだ。見てみろよ釜の色を。綺麗な赤い色だ」
「黄金、、、の血、、、か?」
「そうだよ♪綺麗な、、、え?何??」
黒い部分は嬉しそうに言っていたが、途中から混乱し始めた。
「?」
「なんで、、、?」
直保を攻撃している鎖の動きが止まり、禍々しい光が弱くなっていく。
黒い部分が混乱している隙に直保は服を使って止血をする。
痛みで声が出そうになるが、気付かれたくないので我慢する。
傷のわりに出血が少ないのが少し気になった。




