ロンドン橋
ごめん、ごめん。と直保は心のなかで謝った。意味がないと分かっているのに、、、
何処からか歌が聴こえる。
「♪London Bridge is falling down,Falling down,Falling down.
London Bridge is falling down,My fair lady.
Take a key and lock her up,Lock her up,Lock her up.
Take a key and lock her up,My fair lady.」
耳をすまさないと聴こえない小さな小さな歌。
「この曲はロンドン橋、、、」
また、聴こえてきた。
「♪ロンドン橋が落ちまする落ちまする
落ちまするロンドン橋が落ちまする
聖母様 聖母様
人柱をささげましょうささげましょう
ささげましょう人柱をささげましょう
聖母様 聖母様」
「今度は日本語訳、、、」
声の主はこの近くにいるような、そんな気がする。
「俺が英語を分からないとでも思ったか!」ニヤリと直保は笑う。
見付けた、と呟き直保は今いる場所から遠く遠くの光に向かって走り出した。
直保の他に誰か側にいるようで、足音が3つある。
ロンドン橋を歌っていたのはその2人だろう。
直保はロンドン橋をヒントだと考えた。
ロンドン橋が何を指すのか分からない。でも、人柱は多分、、、アリスと奈保だろう。アリスがこのセカイのカギだと言っていた。そして、アリスそっくりの奈保も、、、
直保はそこに自分が含まれていないことに苛立ちを覚えた。奈保と直保は双子なのに、、、奈保だけが選ばれた。
それを本人たちは気付いていない。
、、、多分、気付いてはいけないんだ。
「、、、そっか、そういうことか」
確信を持てないはずなのに何故か分かった気がしたんだ。
ロンドン橋は始まりの神さま(黒猫)のことで、聖母様は、、、駄目だ。どっちか分からない。創造の神さまか2番目の神さま、どちらかが聖母様だ。ランクで言うなら創造だけど、、、
今は走るしかない。情報を手にいれよう。
さっき見えた光が近付くにつれ、それが家だと分かるようになった。
赤い屋根の白いおうち。家って言われたらこんなのを想像するな、、、
呼吸を整えてから家にはいる。
「いらっしゃい」
帽子屋にいくらか似ている青年が迎えた。
「俺っちは仕立屋。仕立ててほしいのがあるのかぃ?」
「歌を歌っていたか?」
「歌?、、、もしかしてこれのことかぃ?」
そう言って取り出したのは音楽再生機器。それを再生すると、さっきのロンドン橋がながれた。
「、、、それだな」
ロンドン橋は英語と日本語訳を交互に再生している。
「君はこの曲を知っているのかぃ?」
「あぁ。マザーグースのひとつ、ロンドン橋落ちまする」
「そこまで知っているんだね。直保君」
「、、、」
「あれ、驚かないのかぃ?」
拍子抜けした顔で言う。
「帽子屋で同じことがあったからな、別に驚かない」
あぁ、と仕立屋は納得した。
「あんたも、、、創造のかみさまのひとつか?」
「、、、そうだよ。帽子屋の方が創造に近いかな」遠くを見ながら言う。
「マザーグースの歌はヒントなのか?」直保は窓に近づき聞いた。
「うん、、、君は頭がとても良いね。憎くなるほど」
そこで、直保の意識はなくなった。




