ごめん
帽子屋が去った後、直保以外ボーッとしていた。
やがて奈保が口を開く。
「直保はいつから知ってたの」
「、、、2回目にこのセカイに来る前」
直保は斜め下を向き言った。
「2回目、、、?」
「あぁ、お前(奈保)が間違えて連れていかれたときに帽子屋に会い、祖父の家へ連れていかれたんだ。その時に、、、」
「直次の家、、、?」暗い顔をした黒猫が顔を上げ呟いた。
直保は頷き、「黙っているつもりはなかった」と続けた。
「なんで、話してくれなかったの!?」
「、、、話を聞いたとき俺は、帽子屋がその創造の神さまだと直感で解った。そしてそのことを帽子屋が言いたくないことも。だから俺は一番知られたくないアリスと黒猫に言うまいと」
「帽子屋は私と黒猫に知られたくなかったの?」
直保は静かに頷く。
「、、、俺は残りを捜す。アリスは黒猫から絶対に離れるな。奈保は自分の好きにしていい。但し、またアリスと間違われて今回のようになったら、、、」
直保は走り出した。朝日が射し込む森のなかを。
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黄金の家の扉が開き真っ赤な女と金の女がやって来た。
「御姉様!」
黄金の姫はその金の女、金の女王に抱き付いた。
「黄金、落ち着きなさい。貴女はもうすぐ私と同じ王女になるのよ」
ピクッと誰も知らないところで瘋が反応した。
「王女になるの?私は誰と、、、」
知らない人と一緒になるのはイヤ、と言いたかった。でもそれを金と赤の女王の目が阻止した。
2人の目は「私は知らない人と一緒になったわ」と語っていた。「だから貴女も知らない人と一緒になりなさい」と、、、
赤の女王が近付く。
「貴女は、一緒になりたい方がいるの?」
赤の質問に黄金は戸惑った。それを一度も考えたことがなかったからだ。でも、一緒にいたい人ならいる。一緒にいる期間は短いけれど、黄金は瘋と一緒にいたかった。
「、、、瘋、私は瘋と一緒にいたい」
黄金のその答えに赤は微笑みを浮かべたが、金は戸惑いの色をみせた。
「黄金、今貴女何を言ったのか分かっているの?貴女はそこにいる捕虜と一緒になりたいと答えたのよ」
「ええ、御姉様。私は瘋と一緒にいたいと答えました。確かに私は瘋と一緒にいる期間は短いわ。知らないことも多い。でもね、瘋の側にいるとホッとするの。それだけじゃだめ?」
恋をするというのはどういうことだかわからない。金の女王は恋をしていないから。決められた相手と一緒になる。 それをしたから、恋、本当の恋を知らない。
黄金の姫はそれを知っている。本人が自覚していないだけで知っている。
瘋は少し黄金たちと距離をおいた場所で会話を聞いていた。
黄金の姫が自分と一緒にいるとホッとすると言っている。それは自分も同じ。
瘋は黄金の姫に惚れていた。
敵なのに、、、
瘋は黄金に惚れた。
この間、瘋は黄金が寝ているのを確認すると頬に軽く口付けをし、自分の気持ちを呟いた。それだけでよかったんだ。
「瘋?なにしているの」
いつの間にか話は終わっていて、黄金が瘋の側に来ていた。
「瘋は私のこと、、、好き?」
潤んだ瞳で上目遣いをし瘋を見つめた。
瘋は優しく微笑み、黄金の頭を撫でた。
「子供扱いしないでよ、、、!私は本気で聞いてるの」
だから、答えてよ。消えかけの声で言った。
瘋にとって黄金は大事な恩人でお姫さま。それ以上でも以下でもない。そう自分に言い聞かせた。そうやって頑張っても黄金は心のなかに踏み込んでくる。




