黄金の姫
「、、、それでおずおずと逃げ帰ったわけ?」
「ダサい。ダサいわ!見損なったわ」
「白銀ってこんなものなの?」
金の女王は光の中、白銀の王に話すが返答はない。
「仕方ないわ御姉様。黒猫がいるのだもの」
金の女王を御姉様と呼ぶのは黄金の姫だ。黄金の側には青年が控えている。
周りの王や女王は綺麗に着飾っているが青年だけみすぼらしい格好をしていた。
「黒猫がいるのは確かに誤算だったわ。でもね、アリスや御子柴の人間がいたのに誰も連れてこなかったことに私は腹をたてているの」
「折角落ち着いてきたのにまた苛ついてきたわ。
、、、それよりも何時までその奴隷を持っているつもり?」
「御姉様、彼を奴隷と呼ばないで下さいますか。私、彼に名前を付けました。『瘋』と今後は御呼びください」
みすぼらしい格好の青年、瘋は黄金が言い終えると同時に金に頭を下げた。
「瘋、、、ね。良いんじゃないかしら」
「、、、黄金!さりげなく話題を反らさないでよ」
「御姉様が瘋を奴隷と御呼びになるからいけないのです」
「それは元々奴隷でしょ。それを何故か貴女は気に入って側においとくから」
「御姉様が側に居てくださったら良かったのに、、、」
「私は貴女と違い忙しいのよ」
「アリスたちにいつも倒されて療養してるからです!」
「療養の何が悪いのよ。何時までたっても目的を果たしてない。それで消されたらどうなるのよ!」
「目的を果しても消えるのよ、御姉様」
「どうせ消えるのなら目的を果たしてからがいいわ」
「きっと他の王や女王もそう思ってるはずだわ」
それだけ言うと金の女王はスッと消えていった。
「そうなの、、、?」という顔で黄金の姫は他の王や女王を見た。
白銀の王は光の中だから顔は見えない。だが、白と黒の王以外は「そうだ」と頷いた。
そこから、会議を進めることは出来なかった。
会議は1人でも抜ければそこで止めになる。それに、会議を進めようにも議題が無くなってしまえばそれで終わり。
王や女王たちがいた場所にはもう黄金の姫しか残っていなかった。あれから1人ずつ居なくなっていった。白銀も白も黒もみんな、黄金以外全員、、、
黄金の姫は寂しくなって今にも泣き出しそうな顔をした。溢れそうになる涙をグッと堪え、黄金の姫という立場を守ろうと必死になった。
だが、それでも涙は止まらない。彼女はまだ成人もしていない幼子なのだから、、、
瘋はそれをそっと抱き締めた。
遠い昔、誰かがしてくれたように、、、
黄金の姫がまだ黄金でも姫でもなかった頃、彼女は清楚で可憐な娘だった。その時に1度、たった1度だけ瘋に会っていた。瘋はひどく落ち込んでいた。何が起きたのかわからない。でも、彼女は彼を見過ごすことが出来なかった。今、彼が彼女にしているように彼女が彼をそっと優しく抱き締めた。小さな体で励ました。
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「、、、ひどく懐かしい夢を見たわ」
「私が私じゃないくらい昔の夢。」
「貴方の笑顔、何処かで見た気がする」
「何処かしら、、、」
「くすぐったい。止めてほしいけど、止めないで」
「もっと撫でてほしい」
「わがまま言ってるのはわかってるわ」
「こうしてると昔に戻ったみたい」
「ねぇ、何か話して」
「、、、無理よね。今まで一緒にいて貴方の声を聞いたことがないもの」
「、、、貴方の表情で話したいことがわかる気がする」
「謝らないで」
黄金の姫は瘋の膝の上で気持ち良さそうに眠った。
「、、、です、姫」
そう呟くと瘋は黄金の額に優しくキスをした。
黄金の姫と瘋の年齢差は10~15です。
15歳差っておおきいですね、、、




