頭の切れる
噺を聞き終えた俺は疑問に思ったことを言った。
「ルイスは俺たちの、、、先祖なんですか?」
「察しがいいな。流石、私の孫」
やはり。直保はそう思った。この考えに至ったのは一度〈ハザマの國〉へ行く途中に自然に使った能力、祖父が奈保と一緒にいるときは気を付けろと言ったこと、伝承の噺を聞いているとき。
「直次、君のお孫さんは隠れたヒントを読み取っていたみたいだ」
「、、、予想もしました。ルイスは完成した絵本をどうしても少女とウサギに読んでほしかったんじゃありませんか?」
帽子屋が驚いた顔をした。祖父も同様に同じような顔をした。祖父の方がすました顔だった。
「直保の予想は当たっているよ。ただ、もう一度行く方法は思い付かなかったみたいだね」
クスッと笑った帽子屋を見てると危険な奴だと思う。
「方法はね、創造のかみさまだよ」
「そうですか」
なんの捻りもない解答だった。
もう少し捻りがあってもいいんじゃないかと思うほどにまっさらだ。
「あれ?もう少し驚くところじゃないのかな」
「ヒント、ありましたよね。これにも」
「あったね、ヒント。過去の人はそれすら気付かなかった。それよりも創造のかみさまを殺したんだ」
「始まりのかみさまと喧嘩したのは2番目のかみさまたちですからね。創造のかみさまから始めなかった。2番目のかみさまが出たぐらいから創造のかみさまは名前すら出てきませんでしたからね」
祖父はいつの間にか寝ている。俺はそれにブランケットをかけた。
「、、、噺を戻そう。直保、君はなぜルイスの前に創造のかみさまは現れたと思う?」
少し考えた。
「そうですね。〈ハザマの國〉は創造のかみさまに見えなかったと仮定してもいいですか?」
帽子屋は静かに頷いた。許可を得たと解釈し続けた。
「創造のかみさまから見えなかったと仮定すると、ルイスは唯一、始まりのかみさまを見つけるカギだということになります。2番目のかみさまたちと喧嘩し、追い出されたことを知った創造のかみさまは探すことに決めたんでしょう。創造のかみさまは始まりのかみさまが興味を抱いていた地球へ行ってみれば何か分かるかもしれないと思い降りる。そこで見つけたのは始まりのかみさまと関わったルイス。ルイスは始まりのかみさまと出会った〈ハザマの國〉へ行きたかった。創造のかみさまはルイスの願いを聞く代わりに一緒に行くと言った」
お茶を飲み、渇きを潤す。
「ルイスはそれを聞き入れ、創造のかみさまの能力を使い〈ハザマの國〉へ向かった。そこで幸せ、かどうかは分からないけど過ごしている始まりのかみさまを見つけた創造のかみさまは帰るように説得するが無駄、、、」
「無駄じゃない!」
「最後まで話、聴いてください。無駄じゃなくても説得は失敗したんでしょ?そうでもなきゃルイスが生きていた時代に〈ハザマの國〉は終わっていた」
直保の抱いている疑問、予想は段々と確実になっていく。
「そうだな」帽子屋は絞り出すように言う。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アリスは黒猫とはぐれ、1人森のなかをさ迷っていた。
「どうしよう、、、1人で森に入ってはいけないのに」
〈ハザマの國〉では『1人で森に入ってはいけない』と言われ続けている。
神隠し、それは〈ハザマの國〉でも起こっていた。
一方、アリスと間違われ捕らえられていた奈保も森にいた。
「全く、なんなんだろ、あの人たち。私のことをずっとアリスだと勘違いしてたし、挙げ句のはてに森に置き去りにするし!」
いつもは温厚な奈保が怒っていた。
森を真っ直ぐ、光の指すほうへ歩いていく。
「おい!偽物アリスはどこへ行った!?」
「途中ではぐれたようです!」
「神隠しにあった訳じゃないですよね?」
アリスと間違い奈保を捕らえていた奴らこうなっていた。
「どうすんだよ~。親分に何て説明したら、、、」
親分に間違えたことを伝えた彼らは怒られ、ちゃんと帰してやれと命を受け、送っていた最中だったのだ。顔を見られたくないがために奈保に目隠しをしていたのは云うまでもない。




