御子柴家に伝わるもの
昔、祖父の家の蔵で見つけた古い伝書は双子の心を躍らせた。
祖父はミステリー作家として愛する妻を亡くしてから読者を物語の中に引き込ませられるような魅力を棄てた。
祖母は大和撫子のような人だった。才色兼備、八方美人それは祖母のような人を指す言葉だと子どもながらに思っていた。
古い伝書は祖父も若い頃見つけ祖母と現代訳したと10年経った頃教わった。それは唯一祖父が書いたミステリー以外の小説だった。
《かつて大地はひとつだった。それを空から観ていたのは始まりの神と呼ばれる神だった。ある日、海の主と山の主の機嫌がとても悪く大地は2つ、3つにわかれた。大地がわかれると神が増えた。始まりの神は増えた神たちの親となった。増えた神たちは自分たちでルールを造りそれを破ったものは空にいられないようにしようと決めた。それを知らない始まりの神はルールを破り堕ちた》
御子柴一族に伝わる現代に残った伝承である。
祖父の名は御子柴直次、作家名:御子柴源十郎
亡き祖母の名は御子柴直子、享年65
双子が祖父母の家を訪れたのは産まれてまもない頃と祖母が亡くなった6歳の時、そして17歳になった現在の3~4回だけだ。
何故こんなに少ないかというと両親の仕事の忙しさ故だ。父の御子柴直人は脚本家として大活躍していた。母の御子柴遥香も女優として各番組に引っ張りだこであるからだ。双子の妹、奈保も女優として活躍し始めたことや双子の兄、直保も生徒会の仕事や部活動で忙しいこともあった。ただでさえ両親の都合で滅多に行けないというのに、双子の都合も入ってきてはもっと行けなくなる。
まあ、祖父はうるさいよりも静かの方が好きらしいから良しとする。
双子が通っている学校は三戸学園という数少ない芸能科がある学校だ。
直保は普通科に、奈保は芸能科に通っている。成績は学年トップと学年10位の頭が良い。三戸学園は様々な分野に特化した生徒が入る学校として名を馳せている。世界的な彫刻家、画家、ノーベル賞を授賞した生徒もいる。普通科の生徒も何かしら特化したものがあるのだが、本人が自覚していなかったりまだ才能が目覚めていないからだったりする。
直保が普通科にいるのは上記の理由の他にも都合上普通科の方がいいという理由だったりする。直保は1年生の時から生徒会長を務めている。理由は後々分かるだろう。生徒会の仕事はとても多く、毎日のように来るマスコミの対応、仕事と偽り休もうとする生徒、スキャンダルを起こした生徒への処罰などの仕事がある。
「会長、お祖父様からお電話です!」
ある日、生徒会の仕事中にかかってきた祖父からの電話によりこれからあの伝承にまつわる冒険をしなくてはならなくなるのはまだ知らなかった。




