24話 終幕
「そうか、親父さんが……」
俺も母親の女手一つで育てられたからな。
今母親が倒れたら……
俺は自分で言うのもなんだが、人一倍貸し借りにうるさい。
たぶん、まだ何一つ育ててもらった恩を返せていないことを激しく後悔するんじゃないだろうか。
「とりあえず、俺の方の話を聞いてくれるか?」
「え、はい」
「俺さ、実は大きな胸にトラウマがあるんだ。それが安達と付き合えない理由なんだけど……」
「胸……ですか?」
「昔さ、うちの近所に元セクシー女優って触れ込みの人が住んでたんだ。俺が11歳の時、その人の家に回覧を届けに行ったんだ。その時に、ちょっと色々あったんだよ」
当時の光景は今でもはっきり脳裏に焼き付いている。
回覧を届けに行くと、その女は昼間から酒と香水の匂いをぷんぷんさせてバスローブ姿だった。
だらしなく肌蹴たバスローブの胸元からは、女が女優だった時の代名詞でもあった巨乳が惜しげもなく曝されていた。
なんとなく嫌な予感がして、すぐに回覧を渡して帰ろうとしたが、強引に家の中に連れ込まれた。
俺をその女はロープで縛ると、レースのショーツだけになり、まだ子供だった俺に、「興奮するでしょう?」といってその巨大な白い胸を押し付けて迫ってきた。
俺が嫌がって叫ぶと、平手で殴られた。何度も何度も殴られた。
女は、俺が何の反応も示さなくなると、飽きたのか酔いが回ったのか、ソファーで寝入った。その隙にどうにか逃げ出したのだ。
俺はそのことを誰にも話せなかったが、その後、その女は引っ越してしまいそれっきりだ。
「そんなことが……」
安達は俺の話を聞き終えると、自分の胸を見下ろしながらぽつりとつぶやく。
「ああ。それ以来、巨乳を見るとめまいと吐き気が襲ってくるようになった。だから、安達のことは本当に嫌いじゃないんだ。むしろ普段の性格とか顔立ちとかはすごく好きだ。でも……」
「高野君」
俺の言葉を、安達は笑顔で止める。
どうしたのだろう。俺の言葉のどこかに笑顔になる理由があっただろうか。
「私の胸だけが障害なんですよね? 他は特に問題ないんですよね?」
「え、まあそうだな。他はまあ正直かなり好きだよ」
俺の言葉を聞いて、安達はさらに笑顔になって顔を赤らめる。
「じゃあ、大丈夫です! 手術すれば解決です!」
「……え?」
安達は満面の笑顔で衝撃的な発言をする。
「もしかすると、すぐには受けられないかもしれないですけど…… 高校を卒業すれば大丈夫だと思うんです」
「いや、まあ確かに胸が小さくなれば解決なんだけど……そんな手術あるのか?」
「ありますよ! 私も自分の胸のこと気になってたんでネットで調べたことあるんです」
「でも、俺の為に手術だなんて…… 世間じゃ持て囃されるものなのに」
「ふふ、大丈夫です。私は高野君がいれば……」
安達がそれで構わないのなら、俺も特に問題はない。
……無理心中未遂まで発展しながら、こんなあっさり解決していいんだろうか。
「高野君…… 私の胸が小さくなったらもう一度、告白させてもらえませんか? たぶん1年後ぐらいになると思うんですけど……」
「いや、今度はさすがに俺からするよ。その、美月」
「え、あ、はい」
急に名前で呼ばれたことに戸惑う美月の目をしっかりと見て、俺は想いを伝える。
「俺のことをそんなに思ってくれてありがとう。俺とちゃんと付き合ってくれ」
「その……今からでいいんですか? 1年後じゃなくて」
「もちろんだ、その……そっち方面は手術が終わってからってことになると思うけど……」
俺は立ち上がって、美月の傍まで移動すると、美月の腕を取って立ち上がらせる。
「これくらいなら」
「ん……」
こうして、俺、巨乳嫌いの高野勇介は、巨乳の安達美月と初めての口付けを交わし、恋人となったのだった。
フラグとか色々ぶっちぎって無理やり終了させました!
すみませんでした!




