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勇介君は巨乳が嫌い  作者: 諏部たぬき
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14話 スパランド平川・プール

 俺・長谷部太一は、今、水着でプールにいる。


 ここ複合娯楽施設スパランド平川のメインの一つであるこの温水プールは、夏場は冷水の普通のプールとして使用でき、冬場は温水プールとして利用できる。ちなみに季節は秋で少しばかり肌寒くなってきているため、現在は温水である。

 この辺りは近くに源泉があるため、温泉施設もあるのだがそちらはどちらかというと休みに行く場所であり、遊ぼうと思えばやはりこちらのプールになる。


 いやー、おとといの夜、誘いに乗ってほんとに良かった。

 持つべきものはモテる友達だなあ。それにしても……


「勇介、お前結構いい体付きだな」


 並んでプールサイドに座っている勇介の体を見ながら感想をつぶやく。


「何だ、気持ち悪い。……まあそれなりに運動はしてるからな。でも腹筋が6つに割れてるやつに言われてもなあ」


 確かにずっと部活をしていた俺に比べると劣るが、サッカーをやめてから4年以上も経つというのに、意外としっかりした体を維持しているのに驚いた。


「まあな、ほれほれ」


 そういって大胸筋に力を入れ動かす。


「おー、すごいな」

「ははは、ちょっとなら触ってもいいのよ?」


 そんな馬鹿をやっていると、横から他の手が伸びてきた。


「え」

「うわ、すごい。弾力あるんだねえ」


 そう言って手の持ち主は俺の胸をいじりまわす。


「あ、ちょっと」

「なあに? 触ってもいいって言ったじゃない」


 白い手の持ち主は、川原渚。

 元女子サッカー部の主将で、一時は年代別の日本代表にも選ばれたことがある。

 日焼けした肌と短めの髪は、活発な彼女の印象をより強くしている。俺が男子サッカー部の主将だったこともあり、普段から割とよく話すし、彼女の明るい性格も気に入っている。気軽な友人といったところだ。


「ほらほら、美月も触ってみなよ。すごいよ!」


 川原は後ろに声をかける。

 後ろには艶やかな黒髪と整った顔が印象的な女性がいた。


 女性の名前は安達美月。

 長く艶やかな黒髪と整った顔が印象的な美少女だ。だが今の彼女にはそれもオプションとなってしまう。彼女を見てまず目が行くのはやはりその圧倒的なバストだ。特に今は水着ということもあり、制服という檻から解き放たれた存在感は威圧的ですらある。遠慮がちではあるのだが周囲からの視線も感じる。


 俺の大胸筋を触るように促す川原に「え、でも……」と安達さんはさすがに戸惑っている。


「ほーら、いいから」


 戸惑っていた安達さんの手を強引に俺の胸に押し付ける。


「わ、ほんと、ぴくぴくしてます……」


 最初は赤くなって遠慮がちだったのだが、だんだん積極的に好奇心を満たし始めた。


「あ、あの2人とも! ちょっと!」


 水着の女子高生二人に胸をいじられまくるこのシチュエーション! なんなんだ!


 さすがに耐え切れなくなり、プールの中に退避した。

 2人はクスクスと笑い合っている。


 ふん、水着の女子2人にからかわれるなら本望というものだ。


 プールの中から2人の水着をチェックする。


 川原はトップはボーダーのビキニで下は膝まであるショートパンツタイプである。ボーイッシュな川原によく似合っている。日焼けした腕のツートンカラーがスポーツ少女を印象付けている。もしかしたら足の日焼けの境界を隠すためのパンツタイプかも知れない。


 一方、安達さんはフリルの付いた花柄のビキニで、下は短めのパレオを巻いている。まあとりあえず目が行くのは胸だ。剣道で引き締まったくびれとの対比も素晴らしい。


 水の中から二人の水着姿を見つめながら心底思った。

 ほんとに来て良かったー。


 そういえば、勇介は巨乳嫌いだった。安達さんのこんな姿を見たら……

 案の定、勇介は水着の安達さんを見ようとせずどこか遠くに目線を向けている。


 しかし川原からは、安達さんの水着姿が眩し過ぎてまともに見れない純情BOYに見えたようだ。

 安達さんを勇介の腕に強引に絡みつかせる。

 当然、勇介の腕には安達さんの胸が押し付けられ……あ、本格的にやばそう。

 とんでもなく羨ましい状況だというのに、みるみるうちに勇介の顔色が青くなっていく。

 近くにいる安達さんたちはまだ気付いていないが、少し離れたこの位置からならよく分かる。


 本当に巨乳がダメなんだな……

 しょうがない、助けてやるか。


「おーい、3人ともイチャイチャしてないでせっかくだから泳ごうぜ」

「そ、そうだ! 泳がないとな!」


 勇介はそういうと勢いよくプールにダイブした。

 女性陣2人は何やら不満そうであるが仕方なく後に続く。

 俺にとってはすごく楽しい時間になりそうだが、勇介にとってはどうなんだろうか。

 贅沢な奴だな、まったく。

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