表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇介君は巨乳が嫌い  作者: 諏部たぬき
1/24

1話 高野勇介

2013/07/17 今後のUPペースを考え、分割しました。

2013/11/29 どれがどの話か分からないのでサブタイトルを付けました。

2015/02/13 他の小説を参考に体裁を整えました。

 俺は巨乳が嫌いだ


 俺が巨乳を嫌いである理由はひとまず措いておき、とりあえず現状を知ってほしい。


 高校最後の夏休みが明け、しばらくした秋の日。制服の衣替え週間といっても、まだまだ残暑の厳しい放課後の教室に俺はいる。夕日で赤く染まった教室は、「いかにも」な雰囲気である。俺の前には1人の女生徒。頬が朱色に染まって見えるのは、恐らく夕日のせいだけではないだろう。


 女生徒は俯いたまま口を開く。


「高野君。今……付き合ってる人とかいますか?」


 さて、これはどうしたものか。告白されているんだよなあ、多分。漫画とかだと、「友達に頼まれたから」ってなパターンもあるけれど……


「もし、今いないんでしたら私と付き合ってもらえないでしょうか」


 違った!まじ告白だ!

 い、いやまて、付き合うといっても意味は複数ある。


「それは男女の交際という意味で?」


 彼女はますます赤くなったが、しっかりと頷き、俺の言葉を肯定した。


 彼女の名前は安達美月あだちみつき

 確か剣道部。全校集会で表彰されていたのを覚えている。腰の辺りまである艶やかな黒髪が印象的だ。

 かなり整った顔立ちで、結構な美人だと思う。

 同級生に対しても敬語を使うところに育ちのよさも感じる。


 しかし、なんでそんな美人が俺に……。

 クラスも違うし、俺は帰宅部だし、接点はほとんど無い。話したこともほとんどないはずだ。

 何かの罠かと疑ってしまう。まあ、罠だろうと何だろうと、彼女に対する俺の台詞は決まっている。制服の上着の極端な膨らみを目にした時から。


「ご」


 俺の口から漏れた音に反応して安達は顔を上げる。

 同時に極端な膨らみがたゆんと揺れる。


「ごめん!」


 思ったよりも大きな声になってしまった。

 人気のない教室には、部活に精を出す生徒の声がかすかに届くのみで、響いた声はいつまでもその場を漂っているように感じた。

 どんな思いが彼女の脳裏によぎったのだろう。顔を上げた安達の目には涙が浮かんでいた。


「……もしかして他に好きな人がいたんでしょうか?」

「ごめん」


 溢れた涙が彼女の頬を伝う。

 俺はただ謝罪の言葉を口にし、逃げるように立ち去る。なぜなら……


「高野君!」


 背中越しに安達の声が聞こえるが、振り返らずに教室を後にする。

 なぜなら君が巨乳がだから……

 なんて言えるわけねえーー!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ