激戦を終えて
■激戦を終えて
夜宵が戻ってくると、一同は次々に賛辞を送った。
土屋「さっすが夜宵だぜ!」
玲奈「なかなかやるじゃない」
蒼紫「……ああ」
紅莉「夜宵ちゃん、かっこよかったよ!」
澪「うん!」
夜宵「当然ね」
夜宵は満足そうに頷いた。
盛り上がりが一段落したのを見計らい、灰原が前に出る。
灰原「今回のクラス対抗戦は1607対1600でA組の勝利だ」
A組から大きな歓声が上がった。
灰原は少し間を置き、表情を引き締めて続ける。
灰原「今回集団戦で脱落した者や、代表に選ばれなかった者は現状を嚙み締めろ」
その言葉に、土屋剛は悔しさを押し殺すように拳を強く握った。
灰原「来年、期待している」
灰原のその一言で、生徒たちの胸に再び火が灯った。
講評が終わり、皆が寮へ向かおうと歩き出す。
そのとき、白馬が蒼紫に声をかけた。
白馬「ギリギリだけど勝ててよかったね。僕は、この7点差は湊くんのおかげだと思ってるよ」
白馬「集団戦で湊君が紫条さんに、火力を上げるよう指示したのが大きかった」
蒼紫「……みんなのおかげだよ。……それに、もっとみんなで連携していれば早く倒せただろう」
蒼紫自身、集団戦での敗北を重く受け止めていた。
白馬「それにしても、団体戦は見応えがあったよ。来年は僕も出ようかな」
蒼紫「……その方が面白くなりそうだ」
蒼紫がそう言うと、白馬はふっと笑い、寮へ向かって歩いていった。
蒼紫が続いて寮へ戻ろうとしたとき、ふと、一人佇む少女の姿が目に入った。
蒼紫「戻らないのか?」
紅莉は振り返らず、小さく答えた。
紅莉「わたしも勝ってみんなの役に立ちたかったなぁ…」
紅莉の目には涙が浮かんでいた。
蒼紫「集団戦では助けられた。それに……団体戦では、神崎さんから勇気を貰った。」
蒼紫の言葉で、紅莉の表情は少し柔らかくなった。
蒼紫「……みんな待ってる。戻って祝勝会をしよう」
しかし紅莉は、まだその場を動こうとしなかった。
紅莉「少しだけワガママ言ってもいい?」
紅莉は甘えるように言った。
蒼紫「……なんだ?」
紅莉「わたしも、湊くんのこと……名前で呼んでいい?それで……わたしのことも、名前で呼んでほしい!」
蒼紫「ああ、紅莉」
紅莉「これからもよろしくね!蒼紫くんっ!」
紅莉は弾むような声を上げ、涙の跡を拭いながら笑った。
二人は並んで歩き出し、校庭を後にして寮へ向かっていった。
■祝勝会
二人が蒼紫の部屋に入ると土屋、玲奈、夜宵、澪が部屋で待機していた。
玲奈「ちょっと遅いわよ!アンタたち!」
土屋「もう腹ペコだぜぇ~」
澪「おかえり!」
夜宵「待ちくたびれた」
机の上には、特大サイズのピザと炭酸飲料がずらりと並んでいる。
紅莉と蒼紫が床に座ると、土屋が咳払いをして声を張る。
土屋「……コホン。それでは、A組の勝利を祝して、かんぱ~い!」
一同「乾杯!」
玲奈「それにしても、B組はなかなかクセモノだったわね」
蒼紫「夜部幻斗に黒崎影太……面白い戦い方だった」
澪「勝ったと思ったのにな~!」
夜宵「黒鞭、防御をすり抜けるの……反側」
土屋「蒼紫と暁の試合、あれは盛り上がったなぁ!」
紅莉「蒼紫くん、すごくかっこよかった!」
玲奈「ちょ、ちょっと紅莉!いつの間に名前呼びになったのよ!」
紅莉「蒼紫くんとの”一線”超えちゃった!」
玲奈「い、一線!?」
蒼紫「……超えていない」
蒼紫が否定すると、玲奈は紅莉に食ってかかる。
土屋「中堅戦は美少女二人の対決が見れて眼福だったなぁ。なぁ蒼紫?」
そのキラーパスに、場の空気が一瞬凍りついた。
蒼紫「……いい戦いだった」
土屋「だよな〜。蒼紫はこういうの興味ないからなぁ」
紅莉が興味深そうに尋ねる。
紅莉「蒼紫くんは、どんな女の子が好みなの?」
蒼紫は少し考えてから口を開く。
蒼紫「……優しい子……かな」
微妙な沈黙が流れ、土屋が話題を戻した。
土屋「結局、佐々木茂がどんな魔法を使うか分からなかったな」
夜宵「佐々木茂。私よりも強い可能性……」
一同は「ないない」と首を横に振った。
軽口を交わしながらピザをつまむうちに、炭酸飲料のペットボトルも空になり、
いつの間にか夜も更けていた。
玲奈「……そろそろ戻らないと、明日に響くわね」
紅莉「またみんなで集まろう!」
澪「うん、楽しかった〜!」
夜宵「おつかれさま」
土屋「また明日な!」
蒼紫「……また明日」
名残惜しそうに片付けを終えると、紅莉たちはそれぞれ自分の部屋へ戻っていった。
こうしてクラス対抗戦は、A組の勝利で幕を下ろした。
6月が終わり、蒼紫は新しく訪れる季節の気配を静かに感じていた。
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