ひまわり~クリムト「ひまわり」より~
【心を打つ絵に出会った時、言葉が溢れて詩になります】
名画を詩にしてお届けします。著作権フリーの場合は、絵画の画像も掲載します。
素敵な絵も、どうぞお楽しみ下さい。
Gustav Klimt|Sunflower|1907
うなだれて
俺は途方に暮れている
何が いけなかった?
直球しか投げられない自分に
ひょろひょろ 遠回しな答えが返ってきて
いくらキャッチボールを続けても
君の気持は拾えなかった
とっくにゲームオーバー
俺が気づかなかっただけ
伝わっていると思い込んでいた
言葉にしなくとも
見つめる眼差しで
髪を撫でる仕草で
細い体を抱きしめる力で
君が好きだと
君の微笑み
嬉しそうに赤らめた頬
腕の中で震える 細い体
「あなたが好き」
愛を紡ぐ 紅い唇
思い出が
びっしりと頭に詰まっている
たとえ蒔いたとしても
あの日の花を見せて枯れるだけ
実など結ばぬ むなしい種
後生大事に抱えて
まだ 俺は突っ立っている
ひと夏 咲かせて
終わりにするつもりなど なかったよ
破れた恋の終わりには
ひまわりが残るだけ
★ ★ ★ ★
読んで下さって、有難うございます。
「ひまわり」といえば、ゴッホ。
でも、クリムトの描いたひまわりの方が、私は好きです。
どーんと一本きり。まるで、うなだれた人のように見えました。
ここで、第一篇目の「接吻」と見比べてみて下さい。
Gustav Klimt|The Kiss|1907
シルエットが重なるでしょう?
愛し合う二人と、一人きりになってしまったひまわりが。
クリムトがどんな思いで描いたのかは分かりません。この「ひまわり」は、彼の愛した女性、エミーリエ・フレーゲなのだという説もありました。
でも、こっちの方が面白いし。
野太い茎や、わさわさ茂った幾枚もの葉。
どちらかというと男性の逞しさを感じます。
ということで、綺麗に落ちが付きましたので、「名画の詩集~クリムト~」は、これにて完結と致します。
神話から「アダムとイブ」「ユディト」の2篇。
妊娠と誕生、「希望」「赤子」の2篇
そして、恋と、恋の終わり。「接吻」「ひまわり」の2篇。合計6篇の詩集です。
自分のブログサイトには、以下の詩も載せています。
ドラローシュ「レディ・ジェーン・グレイの処刑」
ミレイ「あひるの子」
モネ「アルジャントゥイユのひなげし」
マネ「フォリーベルジュールのバー」
ルドン「不思議な花」
ぜひ、サイトを見に来て下さいね。
【バンナイちゆる小説ブログ】です。
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※「講談社NOVELDAYS」にも同作品を投稿しています