【4】冒険に
えーと、残酷表現とちょっとえっちなのがあります。
慎重に計画を進めます。
冒険者とは偶然といった感じで会っています。
接触は短く。立ち話を短時間です。
準備はほぼ出来てるとか、他に要る物はないかなどを例え話風に会話に織り混ぜながらします。
冒険者も何かを感じてるようでこちらに合わせてくれてます。なんだか楽しそうにしてるのは面白いですね。
市場に来る時は、両替商に寄るのも忘れません。もうパターン化してる感じです。
実は金貨を少しずつ宝石などに変換してます。
両替商は宝石の換金も行ってるので、宝石もあるのだから、金貨をそれに変える事も可能ではと持ちかけてみたのです。
出来なくはないのですが、宝石は別部門らしのです。
が、僕が「綺麗だね」と無邪気に言ってみたら、多分足元を見られてるとは思うけど了承してくれました。
全てを場所を変える事なくここで変換作業が出来ます。
しかし、この見た目はパッとしないけど、若く見えるのはいい作用をしてくれたようです。
目減りは覚悟してました。出来るだけ身軽にしたかったのです。お金も持ち出すつもりでしたが、金貨は重い。極力減らし、他国でも換金出来る物にしたかったのです。
そして、それらは預かってもらっているのです。
冒険者がそろそろ旅立つような話をしています。
隣町にあるダンジョンに向かう予定だとか。そのままダンジョンを渡りながら、旅をすると。
準備は出来たので先行して隣町に行って待ってるという事です。
元々が流れ渡り歩いてる冒険者だったのに、こんなにひと所にいたのは初めてだと笑っておられました。
「お会いできて楽しかったです」と握手しながら、よろしくと握り直しました。
帰りにお菓子をどっさり買います。
これまでのお礼込みです。
冒険者に会った日はなんだか激しい夜になります。
やはり見張られてる気がします。余所者との接触は許されないのでしょうか。
罰ならそうと言ってくれればいいのに……。
覚悟を決めて待ちます。
領主さまとの行為は慣れはしないのですが、最近なんだか変な感じがして、戸惑っています。
胸がチクチク、もやもやします。
きっと慣れない行為のせいです。情夫などという仕事は、僕には合ってないのです。
領主さまに触られる事を考えると身体の奥が熱くなって来て…恥ずかしくなります。胸の奥がジリジリとします。
これでは僕が領主さまと…そういうのをする事を待ってるみたいじゃないですか。
お仕事です。
ブンブンと頭を振って変な考えはどっかにやってしまいます。
今日はちょっと面白い物を買ってきました。
『エッチ用のスライムくん』
大人の玩具が売ってるところに行ってみました。
初心者にも安心、とってもいい作用があるそうです。
お風呂上がり香油を全身に塗り込めました。貧相な身体なので、香りだけでも良いものをと、丁寧に擦り込みます。
『エッチ用のスライムくん』を出します。
自分でも流されはしていますが、努力はしてます。でも、領主さまのお手を煩わせてるような気がしていたので、良い買い物が出来たと思っております。
手の平にぷるんと乗っています。
ピンクの色合いが、ちょっと可愛いですね。
ツンと突いてみます。
ぷるんと反応が返って来ます。
ぷにゅうんと手から膝に落としてしまいました。
掴もうとして失敗。
ベッドの上で、身体にまとわりついてくるスライムくんと格闘してる内に奥に入って行ってしまって……。
ズズー、ズズゥゥゥ、ズブブゥ…
「ん? んん??? な、なにぃ? はぁ、はぁん、え? やだぁぁ…」
なんだかお腹が熱くなってきて……全身燃えるように熱くて!
気持ちいい??
スライムから何か出てるのでしょうか?
ベッドで悶えてるところに領主さまがやって来られて、もうなんだか恥ずかしやら、情けないやらで身体を小さく丸めてプルプルと震え、引き寄せ抱えた枕に顔を押し付けて、隠れたい気分です。
流石に隠れられるサイズではないのですが。
抱えてる枕が領主さまに取られてしまいました。
僕的にはしっかり掴んでいたつもりですが、全然力が入りません。
「どうした?」
僕は、領主さまの問いに、サイドテーブルにある『エッチ用のスライムくん』が入っていたケースを震える指で指し示しました。
息が切れて、上手く喋れません。
領主さまはケースを一瞥して「余計な事を…」と言っておられます。
もうダメな感じです。
途端に申し訳ない気分でいっぱいになって、「ごめんなさい」と何度も謝り、涙もポロポロと流れて、情けないです。
いい年をしたおじさんが泣いてるには本当に情けないです。いくら童顔とはいえ、おっさんです。
身体をなんとか動かして、領主さまに抱きつきます。
自分から抱きつくなんて今までした事はありませんが、早く領主さまの疲れを癒してあげなくてはいけないのです。
若く見られるとはいえ、平凡顔のおじさんのこの行動は、なんという不敬罪!
僕のお仕事なのですが、慣れません。
領主さまの体重がかかって来ました。
あっという間にベッドに押し倒されて、いつも行為へ。
あとはさっさと終わらせて、寝て欲しいのです。
ところが。。。
「やぁあぁぁ……」
終わりません。
僕も何がなんだかよく分からない状態で、叫ぶやら何やらで、喉が痛くなってしまいました。
こんな変な声なんて聞きたくないだろうにと、自分の腕に食いついて塞ぐと、外され、指を突っ込まれて、口が閉じれなくされました。声は抑えられなくなりました……。
領主さまに気持ち良くなって欲しかっただけなのに、どうして、僕がこんな事態になってるんでしょう…。
お腹の中が熱くなります。
感触にゾワゾワとして、ふわふわして。
領主さまをぼやける視界にとらえると、赤い瞳が爛々と輝いています。綺麗です。
乱れた髪も精悍で、捕食される動物の気分に慄きながら、悦びに震える自分もいて……感覚思考がめちゃくちゃです。
「領主、さ、まぁ…」
もう無理です。と言いたいのに、クタクタで…。
顔が近づいてきたなぁと思ったら、唇に柔らかいものが当たっています。
ん?
何度も唇に当たります。
ん!
これがキスなのだと気づいた時には、もう深い口付けで。
唇が離れた時には、ぐったりと息も絶え絶えでした。
口は空気が吸いたくて、はぁー、はぁーと吐いては吸ってを繰り返してると思うのですが、朦朧としております。
初めての口付けは、なんともハードなものでした。
領主さまと初めての口付け。
何度も身体を重ねておりましたが、唇を合わせた事はなかったのです。
余談ですが人生初です。
確かに粘膜接触が一番癒し効果が得られるのでしたら、この行為も一つの手段ではあります。
男の僕では抵抗もおありだったのでしょう。ただ今になって何故されたのか…。男との行為に慣れたのか、思いついたのか。
僕もこの方法は今気づきました。
身体の重なりが先行でしたので、そちらが当たり前過ぎて、気づきませんでしたよ。
そう言えば、教会で巡行と言ってたのは、こういう行為も含まれてたのでしょうか……。
自分に出来るかどうかは……無理っぽいですね。
領主さま限定でよかったです。
胸の真ん中の左寄りに焼き付けられた印。
後発発現の者に付けられる印だそうです。
魔法で痛覚が麻痺していたので、拳大のサイズの焼き印に痛みは無かったのですが、臭いは…。自分が焼ける臭いと分かってもね。
心臓に焼きつき闇を抑える印なのだそうです。
これは光属性保有者を意味する物らしいのですが、他の人もつけられてるのでしょうか……。
『奴隷印のようだな…』と頭を過り、治癒魔法を操れもしない、どうなるか分からない者というのだから、印をつけておくのは必要なのだろうと深く考えないようにしました。
火傷はケロイドになって、身体に馴染んで、自作の傷薬でも薄くならないから、この模様自体に何かあるのかも知れないですね。
その胸の辺りに唇を感じます。
胸の上に領主様のダークブルーの頭があります。
また焼印に口づけをしてるのでしょうか。
あちこちに啄まれ、くすぐったいです。
あまりに執拗で擽ったくなって、領主さまの頭に触れてしまい、視線が絡んだところで、慌てて手を離したのですが、掴まれてしまいました。
熱が一気に冷めていきます。
領主さまのされるままに従わなければならないのに……。
逃げる事も出来ず、身体を固くして縮こまっていると、もう片方の手を掴まれ、顔の横のシーツに押さえつけられ手が離れ……。このままという事?
腿に手が掛かり身体を押し付けられます。
まだ終わりそうにありません。
領主さまの口角が上がるのを見たと思います。
あまりの激しさに叫んだのを最後に、記憶が…ありません。
冒険に出れませんでしたが、準備は出来ました。
次回!(^◇^;)
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