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【3】出発まで


閉じ籠りは身体に悪いのは確かなので、自分で薬を処方して、出歩く事にしました。


道具を手入れして、ゴーリゴーリと薬を調合します。

やはり落ち着きます。


まずは、バルコニーで日光浴から始め、庭を散歩してる内に、なんとなく庭の隅で土いじりを始めてみたりして過ごすようになりました。


太陽の光は健康への第一歩。


お茶菓子をいただいてると、今までと違った風味。

小首を傾げてると、茶の準備をしてくれたメイドさんが今流行りのお菓子だと教えてくれました。

王都へも広まってるようで、お土産としても買い求められてるとか。


へー、と気のない返事をしてしまいました。

ここって観光もしてたんだ思いながら、香りがいい紅茶を口に。

この茶葉も取り寄せじゃなくてこの近くの産地の様です。

取引先も新規開拓したようです。

そのうち領地でも栽培したりしちゃうかもね。してるのか?


そんなこんなで、市場(いちば)にも興味は出てきて、お出掛けする気が起きました。


手元の金貨を眺めています。

金貨を渡されても困るんですよね。随分と貯まってしまいました。

高額硬貨に困ってしまいます。元々慎ましやかに暮らしていたので、使い道に困るのです。


取り敢えず、何枚かお財布に入れてお出掛けです。


はてさてと悩みつつ、目的地に向かいます。

街の市場に到着しました。


使えるようにするにはどうすれば良いのかは分かっています。

両替するか、高価なお買い物をして崩せば良いのです。


野草採取に鞄や道具が必要だと思いつき、購入する事にしました。

屋敷の裏手に広がる森が気になってるのです。

お給金なんですから使っても良しと自分に言い聞かせて、採取に必要な道具を一式揃えました。


ここの市場は充実してます。

僕の前に営んでたお店の付近もいい感じだったのですが、更にこちらはよろしいようです。


さすがは領主さまお膝元の市場です。


行く先々の店主と色々話してみたら、ここ最近市場は活気付いてるようです。

物も頻繁に入ってきてるようで、こちらの地域の商品も高値で取引され、流通は活発なようです。

領主さまさまだと皆さん笑顔です。

我が事のように嬉しいものですね。


お釣りでお屋敷で働くメイドさん達皆さんにお茶請けを買う事にしました。

ちょっと摘めるクッキーなど宜しいかと。


多いに越したことはないと色々な種類をどっさり買って帰り、僕の身も周りを気にしてくれる執事長さんに『皆さんで』と渡しておきました。

あとはよろしくしてくれるでしょう。


ご挨拶が遅れてしまい申し訳ないのですが、僕もこのお屋敷に勤める一員ですからご挨拶は重要でした。


ここ暫くの僕は、どうかしてましたね。


それからしばらくして、森に入ったりして、領主さまが帰られる頃には戻る生活をしておりました。


採取してきた植物を図鑑で確認したり、採取場所の記録をつけたりして森の地図も随分できた頃、森奥で見つけた泉の近くで冒険者と出会いました。


怪我をされてるようで、泉の水で洗ってるようです。

ここは魔獣は出ないようですが、それにでも襲われたのでしょうか。

もう少し奥の森はどうか分かりませんので、もしかすれば、いるのかも知れません。


難儀をしている旅人は助けるのが当たり前。

田舎の常識がむっくり持ち上がり、冒険者に声をかけて、傷薬を処方してあげました。


冒険者と色々とお話ししました。

外に人との触れ合いは久しく、楽しいですね。店を営んでいた頃を思い出します。どうやら自分はこういう触れ合いが好きだったようです。


冒険者さんが、こういった薬がダンジョン近くで売ってたら助かるのになどと、冗談と言いながら、冗談に聞こえない口調で話し、笑って帰っていかれました。


僕の薬が気に入ってくれたのでしょう。

お店を持っていたら、いらして下さいねと言えるのでしょうが。


今の僕は別のお仕事の身です。


ダンジョン近くで露店……。

悪くないお話です。

問題は、戦闘力のない薬師が出来る事ではないという事です。


帰宅が遅れた日に限って、帰りが早かったりするんですよね。こういう事ってなんで重なるんですかね。

慌てて汚れを落とす為にバスルームへ。


その日の領主さまは何かが違いました。

不思議に思いましたが、乱暴な行為も受け止めてました。




動ける時は、市場に向かいます。

僕はある計画を実行にする為に準備をする事にしたんです。

領主さまは悪くは有りません。これは自分の問題なのです。

回復要員としての自分の役割も分かっております。お仕事だと分かってます。でも、ここに居られません。


聞いてしまったのです。


庭の隅でしている土いじりの為、腐葉土を回収に屋敷裏手に行った時、たまたま若いメイド達が話していたのです。


『奥さまは良い人ですよね』

『早くこちらでご一緒にお暮らしになれば良いのに』

などなど楽しそうにお話ししておりました。


なんて事でしょうッ!

お嫁さんは既に居られたのです。

僕はお邪魔虫です。保護対象が現れてしまった事で輿入れが遅れてしまったのかも。

胸がチクリとします。

これは…奥さまに対する罪悪感でしょうか。

回復癒しの為とは言え、男とこういう行為をしてるのは、奥さまに対して悪いです。

ああいう行為は奥さまとするべきです。

なので、仕事を放棄するのは不本意ですが、ここを去る事にしたのです。


でも、ここで問題です。

僕は保護対象です。監視対象です。

逃げるのは御法度です。


なので、僕は国外に出る事にしました。

ちまちま動いてみたところで捕まり、領主さまが監督不行き届きで罰せられるでしょう。それはよろしくありません。


要は監視対象が捕まらなければ、逃げた事に公が気づかなければ、罰せられる事もないはずです。


さすれば、領主さまに迷惑はかかりません。


旅支度に何がいるかリサーチしながら、計画を練っていきます。

僕は旅の経験のないので、よく分かりません。

そして、出会いました。

泉で会った冒険者でした。

その時、閃きました。


冒険者に旅支度をお願いしてみました。自分は旅行は初めてで、植物採取を目的にしてるので、出来るだけ身軽が良い事を言添えました。

お安い御用と引き受けてくれました。軍資金を渡します。引き受け料は、この前のお返しという事で受け取ってくれませんでした。

綺麗に治った傷を見せてくれ、笑ってます。

自分の成果が見えるのは嬉しいものです。


その日も手酷く扱われぐったりしているところに、突如片耳に痛みを感じて身体が跳ねました。

痛みで痺れる耳朶に触れると……異物の感触。


「私からの贈り物だ」

艶のある声が降ってきます。


「ありがとうございます」

もやもやした気持ちを抱えて、謝辞。


耳朶に小さな石が埋め込まれたようです。

血は出てないし道具も使われていない…。

領主さまは火属性が強いお方です。

熱で耳に穴を開け、石を埋め込んだようです。


それからは、耳朶の石を事あるごとに触られます。

僕には意味が分かりません。


領主さまの耳にも小さな石が嵌っています。瞳の色と同じ色合い。綺麗な赤い小さな石。綺麗です。

片耳に嵌っていた物が自分の耳に移ったようです…。


これは、ペットに首輪でもつけたつもりでしょうか。


ーーーー監視下にあるという事を改めて考えるようになりました。


冒険者は危機には聡いので回避してくれるでしょう。

問題は、自分が誰かと接触、否、どこで何をしているのか知られているのではという事です。

石が付いてからは、特に思うようになりました。本当に首輪の気分です。


自分はここから逃げたい。

そんな風にも思うようになりました。





次回冒険に向けて!


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