後談】精霊たちの騒めき(終)
騒めきの後始末です。
よろしくお願いします。
始まりの場所。
ココにエミルは自分の血を撒いたと言っていた。
その血を綺麗にする?
どうしたら?
燃やす?
焔で薙ぎ払うか?
以前焼き払ったが?
頭に衝撃が。
周りには何もない。精霊も物理攻撃が出来るのか。
どうやら、違うようだ。
困った。
私が使える魔法は、炎系のしかも攻撃系統が殆どだ。
浄化魔法といってもどこまでを浄化したら良いのだ。撒いた血はもう土と一体化してしまってるではないか…。
そうか…。
この戒めは、私だけではなかったのだな。土を汚したエミルにも科せられていたのか。
眠るエミルを抱えながら、途方に暮れた。
その場で座り込んだ。
日が暮れる。
ぼぉぅっと周りが光ってる。
地面から光の粒が蛍の光にように浮き上がって、空に向かってゆっくり昇り、霧散して消えていく。
コレが雪ぐ?
エミルを見遣った。
エミルの光属性がなんらかの作用を起こしてるのだと思った。
ズゴイじゃないか!
コレ…は?
髪の色が徐々に暗くなっている。
「エミル? 何が起きてる? 起きてくれッ。エミル!」
最後の光だろうか…。
小さな光りがふわふわと昇っていく。
ポワッと消えた。
エミルの身体が冷たい。
呼吸はしているが、生きてはいるが、、、
周りが輝いている。
焔が包んでいる。
熱くはないが包まれていた。
力が戻った火の精霊のなにかかもしれない。
エミルの魂を繋ぎ止めていてくれてるのだろうか。
ここから出さないように結界を張ってくれてるようだ。
彼を見送るのか?
やっと還ってきてくれたのに、また私から離れてしまうのか?
逝くなら一緒がいい。
唇を合わせた。
冷たい唇。
身体の奥の焔の塊を燃やす。
二人だけを焼こう。
森には迷惑はかけない。
精霊が囲ってる。この中だけで完結するはずだ。
愛しい者と共なら怖くはない。
茶というよりも黒に近くなってしまった髪を梳き撫でる。
寒いのは嫌だろうから、温めてやろう。
唇から魔力を注ぐ。全身で燃やして温める。
若木を依代にしてる彼は木その物の性質を持っているように感じていた。
土属性の彼とは親和性が高かったが、火属性の自分とは、相性が悪く。違和感に互いに困っていた。笑い話のように話していたが、コレは、私と逝く為の仕様だったのか?
私が育ててやっと還して貰ったのに、私の手で地に還すのか……。
エミルが目を開けた。
何か吸われてる感覚がある。
魔力を欲しがってるのか?
腕が上がり私に絡んだ。
エミルが燃えているのを感じる。
ぎゅっと抱きしめた。涙が止まらない。口づけも。
愛おしい。愛おしいエミル。
愛おしさが溢れかえる。
ふと水の匂いが強くなった。
希望の薫りだった。
木は灰になり、水が捏ねて土と共に混ぜ合わせ、エミルに定着した。
水を感じる。これは精霊の力?
エミルの加護か?
感謝しかない。
土なった灰は水が混ざり合ってエミルを形作っていく。火に炙られ定着していく。
混ぜ合わさる間、苦しそうに、私にしがみついて耐えていた。
私は魔力を渡すことしか出来なかった。励ますように魔力を注ぐ。
燃やす事などもう頭には無かった。助かる希望の欠片がここにあるのなら縋りたかった。
愛が彼を白くしたのかもしれないが、還ってからの白さは、森のへの業の深さ、闇の深さが起こしていたのだ。
今なら解る。
光が強ければ、闇が深くなり、闇が深くなれば、残った光は負けじと強く光り輝く。私たちの愛が光を強くし、それを可能にしたのかもしれない。
彼の世の中を美しいと愛する柔らかな性格も要因になったかもしれない。
常に均衡を保たねばならない摂理は守られていた。
浄化に使われた光は闇に呑まれながらも、引き連れて空に消えていった。
髪が黒に近くなったのは反動か。
作り変えられる身体と同時に茶色に発色していく。
土に還かけていただけだったようだ。危なかった….。
呼吸が落ち着いてきてる。
「エミル?」
そっと呼びかけた。
薄っすらと開く目。離れで挨拶してくれた時の瞳の色だ。月明かりに照らさせた顔が微笑んでいる。
「ヴィクトルさま、目が真っ赤……」
掌で涙を拭ってくれる。
「僕ね、この赤い瞳が好きなんです。初めて見た時、こんなに美しい色がこの世にあるんだって。一目で大好きになってしまいました。心奪われたんですね、あの時…」
もう離すまいと互いに固く抱き合い、再び口づけを深く交わした。
森は静かに、月明かりに照らされ、そこにあった。
この話はコレで終わりです。
罰は全て償えはしないけど、区切りがつきました。
これからは、露店したり、冒険者のヴィクトルと一緒にダンジョンの中で、ワーキャーしてたりとか。
グラントリーの話もあるかな。
そんな感じのを予定しております。
何か書きたくなったら、もしくは、書いて?というような要望が有れば、投稿しようかなと思ってます( ̄▽ ̄;)
では、それまで暫しノシ
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