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後談】精霊たちの騒めき(3)

エミル視点。

お茶会スタ〜トぉ〜。



うぅぅぅ……

王太子殿下さまと二人でお茶会…。

吐きそう……緊張ちゃうよ。

この人…変だし。


「さてと、アイツも居なくなったし。これからの事とか、アイツの状況を話しておこうか」


殿下がさっきまでの柔らかな表情から打って変わって、真面目な王太子さまなのだと思えるキリリとした表情で語り出した。整った顔だけに冷たい感じがして怖くなる。


精霊の話をざっくりと。

滅多にない事だけど、精霊は気まぐれに個人に付いたり、加護をつけたりするそうなのだとか。

つらつらと語られていく。

僕は聞くだけ。


僕についた加護は生まれた時からかどうかは分からないらしい。一度身体を無くしてるし、加護が人の何につくのかは知らないけど。今はついてると分かるだけなのだそうだ。


僕はオアシスでついたのではないかと勝手に思った。だってあの空間ヌシさまも居たけど、何か居そうなんだもん。とってもキラキラしたのを感じるから。


ちなみに、精霊さんは各々個性的で数がそんなにいないようなんだけど、あちこちとふらふらしてるらしい。


結構いたりして……。なんて僕は思うね。


ちょっと質問!と手を挙げた。


「キラキラした感じの雰囲気のが精霊さんですか?」


ニコニコお答えしてくれます。いい先生です。


キラキラしてる感じがするのは、妖精さんだって。精霊さんの卵みたいなモノらしい。そこから精霊になるかそのまま妖精として生を全うするかは色々だと。殿下もざっくりしか知らないと言うが知ってるだけども凄い。

精霊さんにも感情の片鱗がキラキラするかもだって。


へー、妖精さんや精霊さんも寿命があるんだ。多分長寿だ。ヌシさまみたいな感じがする。

という事は、ヌシさまは精霊?

ーーーーー違う気がする。コレは確実。


で、加護の件は導入部分で、本題は、と始まった。

導入だったんだ……。


ヴィクトルさまと殿下は精霊付きの人間なのだとか。内緒ねって言われた。じゃあ、何故話す。変な人。


付いてくれてる理由は色々なのだけど、その辺は今は関係ないから割愛だそうです。


ヴィクトルさまは森を焼き、魔獣を殺し過ぎたので、ヴィクトルさまについてる火の精霊さんはペナルティを受けてるらしい。

鎖というか、戒めの輪がいくつも、殺した分、嵌って身動きが取れないのだとか。


その戒めを解除するには、回収した魔石を、その魔獣がいた場所で、儀式をして砕いて大地に撒くと、外れるのだとか。


そして、その戒めの残数はあと少しなのだそうだ。


ヴィクトルさまは腹の中にしか興味がなかったそうで、腹を割いて、中を確認したら、次へと向かってたそうだ。

僕を探してたからね……。


魔獣から獲れる魔石は貴重で、回収せずに放置していた所為で、様々な人が手にして方々に散ってしまったらしい。

大半はギルドに持ち込まれ、王室に届けられたので、数年でほぼ解消されたのだが、幾つか戒めが外れてないので、行方を追っているという事なのだそうです。

大変ですね…。


「森を焼き、魔獣殺しまくったら、罰を喰らうよね?」ってにこやか言われましても……。


「僕の、所為ですね…」

頭を抱えてしまった。


魔獣の騒動で、精霊たちが騒めいて、ここから国外に広く波紋が広がってしまってるそうだ。おかげでより多くの噂話が集まってくるようになった。

国内外の様々な様子がアレコレと。


精霊の声がハッキリ聞こえる者は居ないから害はないみたいだねって言ってる殿下。

殿下は聞こえてるのに、害は無いの?


なんだか不思議…。


「やったのは馬鹿ヴィーだから。気に病む事はないんだ。

打ち明けたのは、アイツはあなたには話さないだろ? 口が重いからね。でもこういった感じで、急に出掛けないと行けない。

名目は私のパシリなんだが。

あなたがゴネたり探ったりしたら、動揺するだろ? アイツ案外メンタル弱いんだよね。失敗させる訳にはいかないんだよ。分かる?」


青い澄んだ目がじっと見てくる。海のように空のように澄んでる。吸い込まれそうだ。


「分かりました。さっきみたいに応援したらいいんですね?」


そう言えば、仕事だって、急に出掛けてなかなか帰らない事があったなぁ。帰ってもすぐ出掛けたり……。気にしてなかったけど。

全く気にしてなかった。


「ま、そういう事かな?」


「ヴィクトルさまの火の精霊さんは今どんな感じなんです?」


「不貞腐れてるらしい。ヴィーも魔法の火力が思った程上がらないんじゃないかなぁ」


不貞腐れてる……。なんだか可愛いな…。


「今、ヴィーがどうしてるか知りたい?」

戯けた感じで言われた。


「はぁあ?」


「ふふふ、今オーナーと直接交渉し出したみたいだよ。まだ出品前だったみたいだ。本当に早く帰ってきそうだよ」


見えるの???


「あ? 見えると思った? ウチの精霊さんが教えてくれるんだよ。風の精霊は噂話が好きなんだ。囁いてくれる。楽しくね」

クフフと笑ってる。


噂話…。

殿下は要約してくれてるんだ。

だって、精霊さんの声に耳を傾けてる時楽しそうだもの。きっと殿下の耳には茶化した感じで様子が語られてるに違いない。


「魔獣の魔石は硬いから、儀式通りにしないと砕けないんだ。地に還してやらないと精霊と人間の世界バランスが崩れるんだよね」


もう理解が追いつかないので、右から左に聞き流した。


「さて、闇属性の押さえ込みだね…」

ため息を吐いて、茶器を傾けている。


どうも僕の話に移ったらしい。

これからの事ってヤツですね。


「お守りを作るよ。ちょっと時間を頂戴。あー、指輪がいい? ピアス? 埋め込みがいいんだけどなぁ」


急に問いかけになっていた。


「あ? え? 埋め込みですか?」

焼印を思い出してた。あれが『抑える』ってやつだったんだ。


また焼いてもらおうかなぁ…。でも、嫌だなぁ…。


ふと閃くものがあった。


「入れ墨は?」


「はへ?」


王子さまってこんな声出るんだ。


「焼印よりいいかなって。あの記号みたいなのをココに入れればいいんでしょ?」

心臓の上を掌で押さえる。


「焼印…だったね。ごめんね。アレもどうにかしないとなんだけど……入れ墨ね…入れ墨か…図案考えてみるかな?

魔法陣を図案化したら綺麗だろうね。うん、いいね〜」


火山島で描いてもらった図案を思い出していた。

あの時は楽しかったなぁ……


お茶の入れ直しをしてくれた。


殿下になんて事を!と思ったのは、全て終わってお茶請けを勧められてからだった。


思い出に浸りすぎてた!


平謝りに謝ったら、『学生時分にやってたからココでは気にしないで』と言われた。

この部屋は殿下の憩いの場なのかも知れない。

そう言えば誰も入って来ない。


香りのいいお茶を口に含む。舌に渋さを残しながら喉に入っていく。

香りが鼻に抜ける。爽やかな森林の薫りのようだった。

気分はゆったり、リラックス〜と解れていた。


「あっ、そうそう、もうひとつ…」

クッキーを齧りかけてた殿下が思い出したように、クッキー片手に声を掛けてきた。


驚かさないで〜。

咽せそうになった。


「ドラゴンの鱗には興味ある?」


茶器を落としそうになった。




はい! 思い出しました?

はい、アレです。笑笑



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