手紙の内容
『クオンへ
元気にして居るかな?我々は相も変わらず騒がしく過ごしておるよ。クオンが居なくなって直ぐは、皆くらい顔をしておった。無論、儂もその皆に含まれるが。
転移魔法を使えるというのに、全くと言って良いほど帰ってこない。少しは顔を見せれば良いモノをだ。まぁ定期的に便りをよこしておるから、その点については、渋々・・・いや、大変に遺憾ではあるが、一応納得しておこう。
クオンよ。そろそろ都に戻ってきてはどうか。と言うか戻ってきなさい。でないと────』
ん?なんか変なところで2枚目に移るなぁ・・・
『クオンへ
突然文章が終わってごめんなさいね。あの人ったら、私に手紙を書かせないつもりだったのよ!失礼しちゃうわよね。
ご飯は確り食べてる?徹夜はしていないかしら。面倒なことを後にして、色々な人に迷惑をかけてはいないかしら?貴方ったら、面倒ごとを人に押しつける癖があるから・・・心配なのよね。
と言うわけで────』
あれれ?1枚目は父上で、2枚目は母上からだ。でも、なんかこっちも中途半端だ・・・。
『クオン
壮健か?手紙が来ていると言うことは、冒険を続けている証拠なのだろう。父上も母上も、毎回届く手紙を楽しみにしている。無論俺もだが。もう少し手紙の頻度を上げて欲しいが、お前のことだ。頻度を上げようとすると、面倒くさいと考えて、手紙をよこさなくなるだろうからこの頻度で良いと思う。しかし・・・だ。そうも言ってはいられない事態が、どうやら訪れるようであるぞ。なぜなら────』
今度は兄上か。これも中途半端だ。しかし、何か嫌な予感がするな・・・。
『まったく・・・クオンのことと成ると、2人とも暴走してしまって・・・。何やら彼奴が勝手に記そうとしていたから止めたのだが、クオンよ。この手紙を読んだ次の日には、シュリと一緒に都に帰ってきなさい。そして、宮城に参内すること。これは朕からの命である。
あまり堅苦しく考えなくとも良いが、必ず。必ず帰ってくるのだ。お主の部屋に直接転移することを許可する。
よって、朝一番で帰還するのだ。よいな。
父より』
うえぇ・・・よりにもよって宮城に参内とか・・・絶対に面倒事じゃないか・・・。ありゃ?まだ何か・・・。
『追伸
お主は、帝都総合学術学校の教員に就任となるからそのつもりで・・・な』
「はっ!?はいいぃぃぃ!?」
なっなっなっ・・・俺が帝国一の学校の教員に!?はあぁぁぁ!?
「クオン殿下!?何事ですか!?」
どうやら相当に大きな声を出してしまったらしく、隣の部屋にいたシュリが、壁を蹴破って入ってきた。
あぁ・・・。駆けつけてくれてありがとうだけど、壁の修理費が・・・。
「あぁ・・・大きな声を出してごめんね」
「いえ・・・。主の危機に素早く参上するのが、我々側仕えの役目ですので。それで・・・」
「あぁ。明日朝一番で都に帰ることになったから」
「畏まりました。それでは、馬車の手配を───」
「いや。転移で帰る」
「───畏まりました。それでは、私は乗合馬車で・・・」
「いや。シュリも一緒にと手紙に書いてあったから。疲れているところ悪いけど、一緒に帰るよ」
「───畏まりました。それでは、明日に備えて就寝いたします」
「うん。おやす────あぁ・・・」
シュリにお休みを言いかけたところで、彼女はまた壁を蹴破って、自身の部屋に戻った。ねぇ・・・どうせならさ、さっき通り抜けたところから帰ろうよ・・・なんでわざわざ新しく壊すのさ・・・はぁ・・・。直すか・・・。




