表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
教員と冒険者 二足の草鞋?  作者: 沙河泉
第一章 ─1─
6/31

暴走侍女

「クオン殿下・・・いえ。今はクオン閣下でした。失礼いたしました」


「いや・・・それはいいんだけど。なんでこんな所まで?若しかして・・・」


「いえ。両陛下も皇太子殿下もご壮健であられます」


「なら良かった。だけど、どうしてシュリが西街まで?」


「それは───」


「ちょっ!ちょっと待ってくれや!」


俺とシュリが話していると、それまで空気だったマスターが話しかけてきた。そりゃそうだよね。置いてきぼりだし、情報過多だし・・・俺の素性も分かっちゃったし・・・聞きたいこともあるよね。


「───ッ!殿下とのお話しを遮るとは!万死に値します!」


──キンッキンッキンッ───


「うぉぉい!クオン!この侍女さん危ねぇよ!いきなり首筋にご挨拶って・・・おいおいおい」


「────ッ!私の小刀を・・・」


「うおぉぉぉい!見てねぇで助けろや!」


シュリとマスターの攻防をニヨニヨと見つめていたら、マスターからのヘルプがきた。ただまぁ・・・本来はシュリの対応の方が正しいからなぁ───。あっ!でもそうか。今の今まで俺の身分を明かしてなかったから仕方ないのか。っとと、マスターの首筋に小刀が近づきすぎたからそろそろ止めさせよう。


「シュリ。マスターに・・・と言うか、ギルドに俺の身分を明かしてなかったからさ。下がっていいよ。流石に正当な力の行使にはならないから」


「・・・はい」


「ふぅ・・・恐えぇよ!この姉ちゃん!」


俺の一言でシュリを離すと、マスターは額に冷や汗をかいていたらしく、それを拭いながら俺に対してそう訴えてきた。


「すみません。シュリが勝手をして。ほら、シュリ。謝って。身分も明かしちゃったってぇ!おい!こんな所で自分のお腹に刃物を当てない!」


マスターに少し声をかけていたその瞬間に、シュリはお腹に得物を当てていたので、慌てて引っぺがせす。


「殿下に頭を下げさせてしまった挙げ句に、身分まで・・・私の命で償います!」


「だから、そこまで重く考えなくていいから。身分だって、軽く動くために伏せていただけだから。それに、マスターしかこの部屋にいないしね。ね!マスター!他には漏らしませんよね?」


マスターに、にっこりと微笑みながらそう告げると、青い顔をして首を縦に高速に振るマスターがいた。なぁんか俺が笑いながら訴えると皆こういう行動をとるんだけど・・・なんでだろう?


「殿下・・・。申し訳ありません。」


「良いって良いって!」


「あぁ・・・それで、クオン。殿下?」


若干青い顔をしながらもマスターが話しかけてくるが、今まで通りで良いと告げると、手元にあったカップの中身を飲み、一息つくと今までの非礼を謝られた。あんまり俺は気にしないんだけどなぁ・・・。


「謝罪は受け取りました。まぁ、俺的には今まで通りの対応をお願いしますよ」


「あっあぁ・・・」


「ところでシュリ。なんでこんな所まで?」


ちょっと場が混乱してしまったので、話を振り出しに戻すべく俺はシュリに話しかけた。すると、彼女が懐(えっ・・・メイド服の胸元)から手紙を出す。若干暖かいし、なんならマスターの目も生暖かい。


「皇帝陛下からです。この場で読むようにとの言伝で御座います」


「おいおいおい。俺がいても良いのかよ」


「第三者の目があるところでと言うことでしたので、この場を選びました。何かご不満でも?」


「いや・・・」


またシュリが鋭い目でマスターを見たので、それを止めさせて、手紙を読む。


「うえっ!?」


そこには自分の今後の生活を180°変えることが記されていた────。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ