龍の尖塔
「クオンー。ここはぁ?凄く音がウルサいよぅ」
「あぁ。ここは────」
俺たちが転移してきたのは、雷鳴が響く龍の尖塔と呼ばれる遺跡だ。その名の通り龍・・・まぁドラゴンが住み着いていて、一年中雷が鳴っている。落ちることは少ないが、運悪く魔獣に遭遇して、剣を振りかぶると雷が落ち、命を落とす者が多い遺跡だ。別名、魔獣の楽園と言われている。そりゃそうだ。雷が冒険者を斃してくれて、食事にもありつけるのだから。それにしても今日は雨が────。
「龍の尖塔だよ。さぁ中に入ろう。中は凄いぞ!音も聞こえないしな」
「ほえぇ・・・それじゃぁ早く行こう!もうウルサくて敵わないよぉ」
「はは・・・。そうだな。ゴロゴロずっと鳴ってるもんな。よし。身を低くして、周りの魔獣に気づかれないように・・・」
「メンドウ!焼いちゃうもん!」
「あっおいっ!」
俺が止めるまでもなく、キナリは腕を限定解除して白炎を両腕から繰り出した。今日は雷が鳴っているだけで雨は降っていないからよく燃える・・・。って───。
「雷が落ちるぞ!」
「大丈夫!だってキナリ、剣持ってないもの!」
「・・・そっか・・・。そうだよな」
うっかりしてた。確かに・・・金属持ってないものな。雷が落ちてくるわけはないな。
「それにしても・・・凄いな」
キナリが振るった白炎は、遺跡までの一本道に炎で壁を作った。これなら魔獣に襲われずに塔まで行ける。
「フンスッ!どう?キナリ凄い?」
「おう!凄いぞキナリ」
俺はそう言って、キナリの頭を撫でる。彼女は、気持ちよさそうに目を細め、もっと撫でろと言わんばかりに俺の手に頭をこすりつけた。
「さてと・・・キナリが時間をくれたんだ。中に入って、目当てのものを手に入れて退散しよう!」
「おぉー!」
本当は直接中に入って良かったんだけど、キナリに少しでも外の世界を知って欲しいからな。まぁ今回は彼女のお陰で楽に入れたけど。さぁ!教材集めに出発だ!




