塔を抜けて
最奥の部屋を出て暫く。外の明かりが見える場所まで漸く戻ってきた。そうかぁ・・・外は昼間か。遺跡の中に入っていると、いつが昼で、いつが夜かなんて分からないからなぁ。完ッ全に自分の睡魔と空腹で時間を測ってる感じだからなぁ。今度は、時計でも持って探索に行くかね。まだまだ庶民には高いんだけど・・・。買えないこともないから・・・買おうかなぁ・・・。お!そんなこんなで出口に着いた!
「ふぅ・・・戻ってきた!俺は・・・自由・・・だぁぁッ!」
新鮮な空気!肌を撫でる心地よい風。それに青空と太陽!地上に戻ってきたッ!
あぁ・・・言いたいことは分かるよ?やりたくなるじゃん!狭いところからの開放感をこれ以上に表す言葉なんて無いじゃん!───だからソロなんだよ。なんて言わないで!って・・・俺は誰と話してるんだ?
まっ!毎回のお約束だからね。狭くて暗い場所が多いんだもの。外に出たらやりたくなるじゃないか!
「ッ・・・しっかし・・・行きもガラクタ。帰りもガラクタ・・・。どこが夢の塔だよ!ガラクタの塔だよ!まったく」
若干・・・いや。かなりドロップアイテムに辟易しながら、今までの疲労を癒やすべく、近くにあった岩に腰掛けて異空間の整理を始める。
これは・・・ゴミ。これは・・・使える・・・かな。おっ!これなんかは良いぞ!最近供給が減ってて高値で取引されてる。これを流せば多少は価格が落ち着くな。これは、鉱山で使えるか。なんだ。片っ端からドロップアイテムを入れていたから気づかなかったけど、有用なものは結構有った感じだな。っても、目新しいものは何もない・・・が。
「それにしても、行きに大体3日かぁ。帰りはまぁ4時間。道が分かるとこうも違うかねぇ・・・。地図制作の魔法は便利だな。色豆を落として探索すると、どうしても魔物に食べられちゃうからな。この魔法は偉大だよ。本当に。しかしあれだな。生活魔法で身体は綺麗にしていたが、やっぱり風呂に入りたい!もう少し異空間の中にアイテムは入っているけど、宿でも整理は出来るからな!っし!帰ろう!」
風呂に早く入りたい!(整理が面倒って言うわけじゃないんだからねッ!)その一心で俺は、転移魔法を使って自分の拠点にしている街の入口まで跳んでいった。
────この時はまだ知るよしもなかったんだ。俺の・・・俺の・・・うぅ・・・




