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男は自身のその白い車から降りた。
白髪に鼈甲眼鏡を掛け、髭を生やしたその男性はその別荘のオーナーの青木友就であった。彼はたまの休暇ということもあり、久々に自身の別荘へ行こうと思っていた。少し前に、管理人の前田からこの四日間、この別荘に若い人たちが泊まりに来るとは聞かされていた。せっかくなので、その別荘へ行って彼らに会ってみようかなと思い、そこへやって来たのだった。
彼は早速、別荘に入ろうと歩くと、外で二人の若い男性たちが倒れているのを発見した。
青木は驚いた。よく見ると、彼らは死んでいるようであった。その後も、青木は周りを見回すと、別荘の部屋にあるような毛布がいくつか外に出されているのに気づいた。
どうしてだろうと思い、青木は彼の近くにあった毛布を一枚、べろりとめくった。
すると、そこに若い女性の死体があった。
青木は鳥肌が立つのを感じた。毛布は他にも二枚と、もう一人女性の死体がそこにあったのだ。青木は気味が悪いと思い、吐き気を催しそうになった。
一体どういうことなのだろう。青木は考えを巡らす。そう、これは殺人現場である。一体誰の仕業なのだろうか。そういや……、と青木はもう一つあることを思い出す。
先ほど青木がここへ来たとき、黒の車がこの別荘から走って行ったのを見た。
そうだ、間違いない、と青木は思った。きっとそいつが犯人に違いない……。
そう考えた後、青木はポケットから携帯を取り出し、警察に連絡をした。ついでに、別荘の管理人の前田にも電話を掛けた。