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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

獣と禍

作者: あとむららざろ

 散弾を撃った脚が腐ってきたので、男の両膝から下を切断した。二回、断末魔の叫びを上げた後、男は動かなくなった。

 時間を改め日付が変わる頃、埋葬しようと、男を閉じ込めていた蔵に行ったら、男の死体は消えていた。

 土壁に開いた直径1メートル程の穴。十数メートル先に見える人らしき塊。あの男らしき塊。

 塊を確認しようと、土壁に開いた穴を(くぐ)ろうとしたその瞬間、天井の方から、二回、大きな衝撃音がした。蔵全体が揺れる程の大きな振動。そして、全身を覆う鈍痛と激痛。

 一瞬、気を失い、再び気が付くと、瓦礫の下に自分の下半身が埋まっていた。

 蔵が崩壊していた。斜めに傾き、片方の軒が地面に接している状態になった屋根の上部から、先ほど聞いた衝撃音が断続的に響いていた。まるで、この瓦礫を、誰かが踏みならしているかの様に。

 そして、ひと際、大きな音が聞こえた瞬間、蔵は完全に崩壊した。

 そして、両膝から先が千切れる様な激痛を感じた瞬間、意識を失った。



『復讐は何も生まない』

 ドラマとかのセリフで、よくあるけれど、私にとって、復讐は、臨時ボーナスを与えてくれる、大事な収入源。

 弱小探偵事務所を経営しているだけでは、贅沢は出来ないから、副業として、『ハレルヤ社』という復讐代行業を立ち上げた。

 社名からして適当なので、業務内容も適当。探偵業で手に入れる事が出来る程度の個人情報や秘密や悪行を、ネットで晒す事しか、基本、やってない。場合によっては、ビラや手紙を用いるが。

 一応、犯罪スレスレの行為、もしくは、犯罪行為をすると仄めかしている感じの『スペシャルコース』っていうものも設定はしているが、適当な言い訳をして、手付金だけ貰うだけのコンテンツになっている。

 先週、久しぶりに、スペシャルコースの依頼があった。現在、行方不明になっている、連続殺傷事件の犯人の元・少年Aを探し出して、死ぬ程の苦痛を与えて欲しい、出来れば殺して欲しい、という依頼内容。手付金として、五百万円が振り込まれていた。

 適当な業務報告をしながら、遂行できませんでした、と最終的に言い訳する対応をするつもりだった。とりあえず、何割くらい、手付金を返金したらいいかな、と悩んでた矢先、Aの死体が発見された。膝から下が切断された死体として。

 そして、成功報酬として、半金の五百万円が振り込まれていた。事務的に、『ご利用いただきありがとうございました』とメールを送信した。

 タナボタ的に大金を得た幸運に、ほくそ笑んでいた。

 けれど、その翌日から、恐怖が始まった。



 占い師は、他者の凶を吉に変えるが故に、他者の凶を、自らが被る事がある為、一流の占い師であればある程、他者の凶を受け流す術に長けているらしい。

 自分の場合、ネット上で依頼を募り、ほぼネット上で復讐を代行しているから、ネットから追跡されたり、特定されない様に、海外の特殊なサーバーを利用しているし、銀行口座も業者から購入した他人名義のもので、定期的に、もしくは、大きな仕事を終えた後に変えている。

 クレームも返金要求も受け付けない。ノークレーム・ノーリペイ。というか、それらが届かない様に、鉄壁の防御とセキュリティ対策を、徹底的に行っている。

 昨日、依頼者にメールを送信した後、元・少年Aを殺害したとされる容疑者が警察によって確保された。というか、発見された。両膝の下がグチャグチャに潰れた死体として。

 二回に分けて入金された一千万円と、二体の両膝の下が欠損した死体。なんとなく、ヤバい事に巻き込まれた様な気がした。

 とりあえず、今回、振り込まれた五百万円も、手付金と同様に、十回に分けて口座から引き出した。

 そして、ハレルヤ社のホームページを削除し、一旦、復習代行業を廃業する事にした。

 そして、シャンパンを開けた。美酒に酔った。

 ツマミとして、最近頂いた高級なハムを焼いて食べようと思った。

 ハムを箱から取り出す。キッチンに向かう。ハムを厚めに切る。

 ふと、背後から、断続的な音が聞こえてきた。自分以外、誰もいない部屋の中で、何故か、誰かがゆっくりと迫ってくる足音の様な音。

 振り返ると、五十センチ位の動物の様な何かの塊が、視界の端に見えた気がした。その瞬間、右膝に鋭い痛みが走った。そして「ドン!」という鈍い音。まな板の上に置いていた包丁が床に刺さっていた。

 咄嗟に、左膝を床に付き、右膝を抱えた。寝間着代わりに着ていたスウェットの右膝の部分と共に、右膝の下がザックリと切れ、血が滲んでいた。

 包丁は置いていただけで、触れてなかったし、何らかの力や振動が加わった形跡もなかった。けれど、包丁は、私の右膝を掠めながら落下し、床に刺さっていた。

 突然、黒い何かが視界の端から自分の目の前を横切った。その黒い何かが蹴り上げたかの様に、床に刺さっていた包丁が弾け飛び、左膝を掠め、落下し転がった。両膝の下の部分、それぞれが、血に染まっていた。

 そして、視界の端、黒い『何か』が、ゆっくりと、真っすぐ、自分の方に迫って来ていた。まるで、確実に、私にトドメを刺そうとしているかの様に。

 ヤバいものに襲われていると思った。先日、発見された膝下が欠損した二つの変死体と同じ様に、得体の知れない『何か』が私の両膝から下を切断しようとしていると直感した。そして、この状況から逃れる術を考えていた。

 冷蔵庫の上に置かれたペットボトルの水が目に入った。曰く付きだが、霊験あらたかだと言われていた水。

 黒い『何か』に向かって、ペットボトルの中の水をぶちまけようと立ち上がり、手に取った瞬間、その『何か』の動きが止まった。そして、その場で足踏みしているかの様に、左右前後に揺れ始めた。『何か』は襲うべき対象である私の姿を見失い、認識できなくなった様だった。

 この水の持つ力によって、目に見えない結界の様なものが、自分の体の周りに発生した様だ。

 ゆっくりと、数十秒かけて、ペットボトルの封を開ける。『何か』に気づかれない様に、なるべく音を立てない様に。

 大きく一歩踏み込む。キッチンの床の2メートル程先で蠢く『何か』に向けて水を浴びせようとした。けれど、その前に『何か』は足早に玄関の方に向かって去って行った。

 そして、その『何か』の姿を初めて認識できた。

 四本足だった。人間の膝から先の部分だけが四本、走り去って行った。

 その場に、へたり込む。

 倒れたペットボトルから水が零れていた。



 翌日の夜も、その足たちは私の元に訪れた。足は六本に増えていた。例の水が五分の一程しか残っていないペットボトルを握りしめて、恐怖の数分間を耐えた。足たちは、昨日と同じ様に、日付が変わる頃に去って行った。

 その翌日、クダン氏と会う為のアポを取ろうと思った。

 クダン氏は、オカルト案件や血生臭い事件を主に扱うニュースサイトの代表であり、例の水をくれた人物でもある。

 結局、クダン氏とはメールのやり取りだけで、直接会う事は出来なかったが、水の入手先の仲介はしてくれる事になった。

 そして、その後、クダン氏のサイトの記事を読んだ時、背筋が凍った。

『少年Aの事件の関係者が、また1人、両脚を失った死体として発見された様です』



 クダン氏のサイトには、他の媒体では報道されていない、遺体の損壊状態まで詳細に記載されていた事から、警察関係者に太いパイプがあるのだろうと思われた。その他にも、クダン氏は色々と不思議なコネクションを持っている様だ。私みたいな胡散臭い復習代行業者から、謎の新興宗教団体の関係者まで。

 その、宗教団体の関係者とされる、例の水を譲ってくれるという、カコ氏と会う約束を、クダン氏の仲介によって、取り付ける事が出来た。

 カコ氏が所属していた宗教団体は、元々、とある島の、とある集落の、水を崇める土着信仰に由来する。

 離島に属する集落で重要な事は、永続的な真水の確保だ。

 生活を支えるライフラインである、水源を御神体にした土着信仰が、離島の、いち集落で細々と、宗教法人化し活動していた。

 しかし、近年、上層部が入れ替わると、その教団の規模は大幅に拡大した。そして、一般市民や元信者との金銭トラブル等が表面化し始めた一昨年頃、次々と、幹部や信者が謎の病死や不審死を遂げていった。

 そして、呪いだの祟りだの騒がれ、教団が弱体化した後、残った一部の信者による、水源を祀るだけの団体に戻ったらしい。

 例の水は、その当時、教団が製造販売していたもので、一般的な認識では、胡散臭い宗教団体の、ぼったくり値段設定の、胡散臭いミネラルウォーターだったが、クダン氏のサイトには、名目上はミネラルウォーターだが、余程、強力なものでなければ、そこら辺の悪霊や呪いを払う事が出来る、霊験あらたかな水、と紹介されていた。

 カコ氏は、その教団の生き残っている数少ない元幹部らしい。



 待ち合わせ場所。古臭い喫茶店。一番奥の席。客は自分一人。

 開くドア。カランコロン。来客を告げる鈴の音。歩み寄ってくる人物。

「あの、浦見さんでしょうか?」

「はい」と答える。

 浦見晴矢。それが、ここ数年の自分の名前。勿論、偽名だが。

「カコです」

 そう言うと、カコ氏は、五百ミリリットルのペットボトルが五本入ったレジ袋をテーブルの上に置いた。

 対面の席に座るとカコ氏は、お冷を持ってきた店員に対し、コーヒーを注文した。

 カコ氏は五十歳前後の背広を着た普通の中年男性という印象だった。

「約束のものを持って参りました

 ところで、何故、この水が必要なのですか?」

 彼の問いに、詳細を省きながら答える。まぁ、どうせ、足だけの化け物の事を話しても信じてはもらえないだろうし。

 夜な夜な、黒い何かが訪れてきていたが、クダン氏から貰った水によって、難を逃れる事が出来た。けれど、その水の大半を溢してしまった為、新しく欲しいという旨を伝えた。

 カコ氏が語り始めた。

「この水は、強い力を秘めた水です

 数年前、大きな地震があった時期から、島の水の、味や口当たりが変わったと、皆が言い始めた事がありまして、その頃から、教団の幹部を中心に、不思議な現象が起こり始めました

 不思議な力を持つ者が現れたり、不治の病を克服した者が現れたり、巨万の富を得る者が現れたり

 その頃、教団の代表に就いた男に、突然、人を魅了する能力が表れ、新しい代表によって、教団には、人と金が集まり始めました

 島の水によって、教団は発展し、肥大化し、腐敗していきました

 自分も、この水によって不思議な力を、少しだけ未来などが視える力を、手に入れました

 そして、ある時、幹部の殆どが死に絶え、教団が崩壊する未来が視えた為、私は、その水を飲む事をやめました

 他の人にも、その水を飲む事をやめる様に進言しましたが、私の言葉に耳を傾ける人は誰も居ませんでした

 そして、私は、教団から離脱しました」

 そう言い終わると、カコ氏は、お冷の水をひとくち飲んだ。

 カコ氏が注文したコーヒーがテーブルに運ばれる。再び語り始める。

「この水は、強い力を秘めた水です

 強い薬には、強い副作用がある様に、この水には、強い効能があり、そして、同様の報いが、伴います

 まぁ、ここに持ってきた量の水を飲んだくらいでは、命に別条はないと思われますが」

 カコ氏がコーヒーを、ひとくち飲んだ後、再び、口を開いた。

「それでも、この水が欲しいですか?」

 欲しい旨を伝える。

「では、1本2万円で、どうですか?」

 完全に足元を見られた、ぼったくりな価格設定だったが、とりあえず、数日前に下ろした五十万円を入れた封筒がカバンの中にあったので、その中から、一万円札を十枚取り出し、手渡す。

 紙幣の枚数を確認してる途中、突如、カコ氏の動きが止まった。そして、何かに驚愕した様子で椅子から転げ落ちた。

「六本の足!」

 そう叫ぶとカコ氏は背広の右ポケットに十枚の一万円札をねじ込みながら立ち上がり、脱兎の如く、店の外へ走り去って行った。

 カランコロンと鳴る鈴の音。



 その日の深夜に訪れた足は八本に増えていた。そして、その翌日、クダン氏によって、カコ氏の訃報を知った。

 おぼろげながら、事の全容が見えてきた気がした。

 あの足の一本目と二本目はAのものだろう。

 そして、三本目と四本目はAを殺害した男のものだと思われた。十年前、ショッピングモールでAに殺害された被害女性の、知人男性だった『自称・婚約者』の人物。

 多分、五本目と六本目の足は、俺に復習代行を依頼した人物のものだと推測された。二日程前、残しておいた唯一の連絡先であるメールアドレスから、幾ばくか返金する旨のメールを送ってみたが、未だ返信はない。

 そして、事件とは関係ないカコ氏が、七本目と八本目の足となった。

 あの足の化け物は、元・少年Aに対して、殺意や憎悪を向けた者の元に訪れるのだと思ってたけれど、それだけに起因するものではなかった事が、カコ氏の事例で分かった。

 昨日、十万円を受け取ったカコ氏は、自身が足の化け物に襲われる未来が視え、驚愕した様だった。

 厄や憑き物を払う方法として、わざと、大金や宝石を落としたりして、それを拾った者に負わせるというものがある、と聞いた事がある。

 私とカコ氏は、邪な気持ちによる不公平な取引きによって得た大金により、厄を背負ってしまった様だ。

 そして、この水には、本当に不思議な力が宿っていた事を実感した。不思議な力を与えたり、悪霊や呪いを払ったりする様な。

 強力なものではない悪霊や呪いならば、浄化できるとクダン氏は言っていた。けれど、人を殺す程の強い力を持つ化け物を、払ったり退けたりする力が、この水にあるとは思えなかった。

 これは、推論に過ぎないが、元少年Aの出身地である島は、この水の採取地である島に隣接している故、Aが死後、化け物となった要因も、この水が関係しているのではないかと思った。

 そして、この水を手にしている時だけ、私の事を『殺す対象』ではなく『同類の存在』と誤認識し、足たちはフリーズしてしまうのではないか、と思った。

 厄介だな、と思いながらも、新しいビジネスになるかもしれないな、とも思った。



 法律的に、人を呪っただけでは、罪に問えない。

 例えば、殺したい対象に数万円を現金書留で送り、その対象の人物が、そのお金を懐に入れた時点で、自動的に、足の化け物に殺される対象となり、その直後、不自然な事故等で死んだとしても、なんらかの罰や報いを私が負う事はない。

 呪われたお金を贈って、自分以外の誰かが殺され続ければ、いつか、呪縛が薄れ、足の化け物から逃れられられるのではないか。そして、並行して、それを商売にすれば、呪われた一千万円弱の現金を資金洗浄しつつ、大金も得られるのではないか、と考えた。

 人を呪っただけでは、罪にはならない。

 基本的に、呪いは『暗示』であると、クダン氏のサイトには書かれていた。偽薬によって、体調が回復したり病状が改善する、プラセボ効果の様に。

 良薬と思い込んで口にする偽薬とは逆に、呪物等の呪われた痕跡を目にした際、人は、呪いや悪意が自分に向けられていると思い込み、上手くいかなかった事、あるいは、幸運ではない普通の出来事でさえ、不幸と感じるんだとか。

 そして、そういった類いの呪いとは別に、人ではない者を介する、信仰や崇拝を伴う契約的な呪いもあるとも書かれていた。

 信仰や崇拝など何もないけれど、かりそめのものだけれど、人を呪い殺す力を私は手に入れた。

 ほくそ笑んだ。


 

 たまたま立ち寄ったリサイクルショップで見つけたエビアンホルダーを購入した。

 九十年代初期、ごく一部で、ごく短期間、ちょっとだけ流行った、革紐で出来たミネラルウォーターを首から下げる為のホルダー。

 それが世に出てきた当時は子供だった為、水を買って飲むという習慣もなく、それを首から下げる為の製品も違和感しかなく、普通に、くそダサいと思ってた。

 当時も今も、くそダサいと思っているけど、一周回ってオシャレかもしれないと思いつつ、首から下げてみたら、やっぱり、くそダサかった。一周回って、三百六十度回って元に戻っただけで、やっぱり、くそダサかった。

 けれど、命に係わる事なので、時間が深夜に差し掛かる頃には、例の水のペットボトルを装着したエビアンホルダーを首から下げて過ごす事が殆どだった。

 ある日の深夜、首から例の水を下げて、社用車としても利用している中古のワゴンRを走らせ、家路を急いでいた。

 午前零時になる数分前、八本の足が現れ、後部座席で足踏みしていた。

 一旦、路肩に車を停め、その時間をやり過ごそうと、左ウィンカーを点滅させ、減速した。

 カーラジオから、流行りのバンドの新曲が流れていた。そして、その曲がフェードアウトする。一瞬の無音。午前零時の時報。

 足たちの足踏みが止まる。一瞬の後、足たちは運転席と助手席のシートを飛び越え、私の方へ飛び掛かってきた。

 八本の足が両膝を中心に私の体を踏みつけ始めた。ペットボトルの水を掲げたけれど、なんの効果もなかった。

 ふと、ペットボトルのキャップに刻印された数字列が目に入った。今日の日付だった。

 いや、違う。午前零時を過ぎたから、昨日の日付だ。

 賞味期限が切れていた。水は、ただの廃棄物になっていた。

 一千万の紙幣に込められた呪いの力が『かりそめ』である様に、水に込められた力も『かりそめ』だった様だ。

 神や悪魔は、儀式や契約といった形式的なものに執着する存在、とクダン氏のサイトに書かれていた事を思い出した。シビアすぎる『水』の定義と、有効期限。

 ふいに、激痛が走った。両方の膝あたりの骨が砕かれた。逃げる術を失った。

 アクセルペダルのある足元に、足たちが集中する。ベタ踏み。

 車は急加速する。猛スピードでガードレールを突き破る。崖下に落下する。岩肌でバウンドする。

 車体が削れる。凹む。フロント部分から地面に吸い込まれる。 

 激突。強い衝撃。潰れる車と自分の体。横転する車と自分の体。天井が地面に着いた仰向けの状態の車とシートベルトで(はりつけ)にされた宙吊り状態の自分の体。

 ガソリンの匂い。焦げ臭い匂い。そっと目を閉じた。

 黒煙と炎が上がる車。その周りを、ぐるぐると歩きまわる十本の足。



 

 

 



 



 


 



 





 



 

 

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