パンを作る準備を
うーん、繋ぎ回になってしまった……。
「以前話そうとしていた件だがな、本格的に頼むかもしれん」
先ほどまでの馬鹿話の時とは変わって、村長は声のトーンを落としていた。しかし彼の言う以前の話とは何のことだろう。村長とは何度か話をしていることもあり、彼の言う用件とやらがパッと頭に出てこない。
「以前って、何の話です?」
「夏の初めに温度の話をしたじゃろう。その時の話なのじゃが」
思い出した。土づくりをしたときに村長の視線を感じ、彼と話をしていた時のことか。確かにあの時、彼は何かを言いかけてやめてしまった。
「お前さんのパンを作る能力についてじゃ。今年はそれに頼ることになるかもしれん」
「あ、本当にそうなんだ」
「ん?」
「あ、いや」
ラムノの予想は当たっていた。あれは俺にパン作りをして欲しいんじゃないかという話だったが、やはりそういうことだったのか。だとすると、村長が頼んできた理由は。
「もしかして今年の収穫ってあまり見込めないんですか?」
「可能性がある、というわけじゃ。今年は雨も中々降らなかったしのう」
「そうでしたっけ」
言われてみればそんな気がする程度だ。過去の日付の天気など記録していないし、俺には例年と比べることができない。もしかしたら村長は村を治める者として毎日の日付を記録しているのかもしれない。




