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全部が好きってわけじゃない

すみません、やはりというか何というかここ数日の残業祭りがほぼ確定したので次回の更新は金曜日とさせてください。

もし更新できそうならそれより前に更新いたします。

 「……」

 「……」


 空間を支配していたのは気まずい沈黙だった。かろうじてシルエットだけが見えるこの暗闇の中、俺たちは少しの間隔を空けてただただ時間を経過させていた。

 おかしい、本当は話したいことがあったはずなのに口を開くことができない。せっかく話ができるチャンスを手にしたというのに、このままではそれを手放してしまう。ラムノの『女々しい』という俺の評価はやはり正しかったようだ。

 ……いやいや、何納得しているんだ俺は。俺が女々しいのは置いておくとしても、このままではラムノの協力も無駄になってしまうんだぞ。それは彼女に申し訳ないだろうが。

 ラムノのためにも、そう考えることで覚悟は決まった。よし、話を切り出そう。


 「あの、さ」

 「えぇ?」


 しかし、話を切り出したのはウォーラの方が早かった。覚悟が空回りした俺は思わず間抜けな返事をしてしまう。その間抜けな声を聞いた彼女はぷっ、と小さく笑ってくれる。


 「ふふっ、何、その声」

 「い、いや。俺もウォーラと話したいと思ってたんだ」

 「ユキも?」

 「あぁ。ずっと、話したくて」

 「そうなんだ」

 「そうなんだよ」

 「じゃあ先にどうぞ」


 と、会話のボールがこちらへと渡ってくる。ようやく雑談らしい雑談ができたためだろうか。先ほどまでとは異なり穏やかな気持ちで声を発することができた。


 「謝りたくてさ、去年のこと。ウォーラのことをどう思っているかって聞かれて黙ってたろ」

 「うん」

 「あの時も言ったけど、ウォーラのことは嫌いじゃない。ただ、ちょっと俺と考え方が違ったから話しかけにくかったんだ」

 「考え方が違う?」

 「あぁ」


 スコードを殴り、傷つけたあの日。ウォーラは俺のことを『かっこいい』と称した。その価値観の違いが長いすれ違いを生んでしまった。

 今でも俺はあの日の出来事がかっこいいと言われることだとは思えない。ウォーラのその感覚は理解できない。だが、ウォーラ自体の存在が嫌いになったとかというわけではない。この数ヶ月のモヤモヤとした感情が、それを自覚させてくれた。

 これらのことを包み隠さずウォーラに話し出す。彼女は話が終わるまで、静かに相槌を打ってくれるのだった。

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