少女は悩みを抱えて大きくなるの
年末年始から酒の飲む量が変わりません。肝臓死にそう。
それは彼女がこの村に来てからずっと気になっていたことだった。彼女が彼に向ける視線は、明らかに他の村人が彼に向けているものと違っていたから。
…そしてそれは、私が彼に向けるものとどこか似ていると思ったから。
「何でそう思ったんです?」
「いや、だって。態度とか距離の近さっていうか」
「ウォーラねえさんだって同じようなものじゃないですか」
「うん。いや、だから…」
そう答えるとラムノはニンマリと意地悪く笑う。その反応で私は今自分が何を言ったのか理解をした。
「好きなんですか?」
「あ、いや。んんん」
「好きなんですね」
「…ん」
直接は恥ずかしくて言えなかったし言わなかったけれど、彼女の言う通りではある。私はユキのことを特別に思っていた。一緒にいたいし、一緒に遊びたいし、同じ時間を過ごしたい。
ユキが私のことをどう思っているのかはわからない。だが去年、彼は私に「一人で勝手にいなくならない」と言ってくれた。その言葉が今も残っているのなら、心変わりしたことも伝えてくれるはずだ。
そう、変わっていないならば。
「どうしたんですか、急にしおらしくなって」
「うん」
「あ、ダメだこれ」
ここ一年でたくさんのことが起きた。街への遠征、ラムノの登場、計算塾の開催、スコードの暴走…。
良くも悪くも、彼にとって考えを変えるには十分な一年となったことだろう。今の彼は、自分が言ったことも覚えていないかもしれない。
そう、心が変わってるかもしれない。でも、だけれど、だとしたら。
知るのが怖い。彼の気持ちが自分から離れているとしたら、それを知るのが怖い。そんな事はないと信じたいけれども、ユキの考えはユキのものだ。私なんてもう、眼中にないかもしれない。…そう思うと、直接彼に聞き出すことができなかった。
「あの、大丈夫ですか」
「ラムノ」
「はい?」
「私、どうしたいんだろう…」
私が出すべき答えを持っている質問を、私は目の前の少女に問いかけるのだった。




