喧嘩した彼
あと二日で年越しですね。準備はできておりますか?
気まずい沈黙が流れる。振り返ればおよそ数秒程度の出来事だとは思うが、その時の俺にとっては無限に近いような時間に感じられた。
「帰ったかスコード。頼んだものは貰ってきたかのう」
俺たち二人の間に流れていた沈黙を破ったのは第三者の声だった。よく見るとスコードは野菜の入った紙袋を抱えている。どうやらお使いの帰りだったようだ。
「チッ」
スコードは舌打ちをすると紙袋をテーブルの上に置いて自室へと戻っていった。同じ村に住んでいることもあり稀にすれ違うことはあったが、こうして近くで顔を見るのは久しぶりだったと思う。
俺たちが殴り合ったあの日以降、スコードの方は自室で謹慎という処分を受けていた。外を歩き回るとまた何か人に迷惑をかけるかもしれない、という村長の判断からだった。そういう状態だったため、前まで参加していた計算塾も欠席していたのだった。
最近は今日のように村長の頼みで外を出歩いていることがあるが、代わりに他の所に寄っていないか後日村長が聞き込みに回っている。まだまだ祖父の信用は取り戻せていない、ということなのだろう。
たった数ヶ月のことだが色々なことがあった、と振り返っていたせいだろう。しばらくスコードの部屋へ視線を向けていた俺を村長が心配していた。どうやらまだスコードに対して恨みがあると思われてしまったようだ。そんな事はない、と否定の言葉を伝えて俺はそそくさと村長の家を出るのであった。




