表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

58/209

新しい生き方

また12月も残業続きマンになりそうです。

 気がつけば数ヶ月の時間が流れていた。涼しかった感覚はすぐに薄れ、外に出るのも億劫になるくらいの暑さが襲いかかってくる。

 しかしそんなに時間が経っても解決しないことはあるわけで。


 「ユキトにぃ、キャラ変わった?」


 俺は今日も共に住んでいる少女に声をかけられるのだった。

 それは畑仕事の最中の出来事だ。俺が汗をかきながら鍬を振り落としていると、ラムノが後ろから声をかけてくる。

 スコードとは立場が違うものの、外部から来た彼女も畑仕事を免除されていた。それでも彼女がこうやって時折畑へやってくるのは、立場などは気にせず村人を手伝うことが正しいと彼女が思っているからだった。


 「そうかな」

 「うん。何ていうだろう、前より枯れた?」

 「人のことを爺ちゃんみたいに言うなよ。否定はしないけど」


 あれから。

 スコードを傷つけたあの日から、俺は人を傷つけまいとして生きるようにしてきた。もう二度と怒りの感情は湧かせたくない、そう考えた俺はなるべく感情を抑えて生きるように心がけて生きていたのだった。

 そうして生きるのは意外と簡単だった。あの日の出来事は俺にとってトラウマとなっていたこともあり、怒るような出来事があってもそれは恐怖に変わっていく。それ以外の悲しみや楽しさという感情は周りに出すこともなく溜め込めるのだから、悟られないようにすれば良い。

 幸い、あの日から俺の心が動揺するような出来事は起こっていない。こうやって体を動かしてさえいれば、その時間だけは脳みそを空っぽにすることができるのだし。


 「否定しないんだ」

 「事実だしな。寧ろ」


 そう見えているのならばちゃんと感情を抑えられているということだと言えるし。


 「寧ろ?」

 「…いや、人に言うことじゃあなかった」

 「ふぅん。なら聞かない」


 ラムノはそう言うと、俺と並んで鍬を振り下ろし整地作業を始めた。小さな体であるものの一年ほど仕事をしていれば勝手はわかるようで、腰の入った一撃を土に与えていた。


 「ラムノも上手くなったものだよな」

 「そうかな」

 「あぁ。いつか俺より上手くなるかもな」


 そうやってくだらない話をして今日も畑仕事が終わる。仕事が終われば水浴びをして、みんなを集めて計算塾をして、母さんの元で夕飯を食べて、布団に入って眠りについて。

 毎日がこうして穏やかに過ごせればいいのにと、心の底から思っていたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] キャラってこの世界にある言葉なんですね… [一言] キーワード詐欺って入れてあったからシリアルが詐欺なのかなって思ったら詐欺なのはほのぼのだったんですね。なんでキーワード詐欺を入れて詐…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ