新しい生き方
また12月も残業続きマンになりそうです。
気がつけば数ヶ月の時間が流れていた。涼しかった感覚はすぐに薄れ、外に出るのも億劫になるくらいの暑さが襲いかかってくる。
しかしそんなに時間が経っても解決しないことはあるわけで。
「ユキトにぃ、キャラ変わった?」
俺は今日も共に住んでいる少女に声をかけられるのだった。
それは畑仕事の最中の出来事だ。俺が汗をかきながら鍬を振り落としていると、ラムノが後ろから声をかけてくる。
スコードとは立場が違うものの、外部から来た彼女も畑仕事を免除されていた。それでも彼女がこうやって時折畑へやってくるのは、立場などは気にせず村人を手伝うことが正しいと彼女が思っているからだった。
「そうかな」
「うん。何ていうだろう、前より枯れた?」
「人のことを爺ちゃんみたいに言うなよ。否定はしないけど」
あれから。
スコードを傷つけたあの日から、俺は人を傷つけまいとして生きるようにしてきた。もう二度と怒りの感情は湧かせたくない、そう考えた俺はなるべく感情を抑えて生きるように心がけて生きていたのだった。
そうして生きるのは意外と簡単だった。あの日の出来事は俺にとってトラウマとなっていたこともあり、怒るような出来事があってもそれは恐怖に変わっていく。それ以外の悲しみや楽しさという感情は周りに出すこともなく溜め込めるのだから、悟られないようにすれば良い。
幸い、あの日から俺の心が動揺するような出来事は起こっていない。こうやって体を動かしてさえいれば、その時間だけは脳みそを空っぽにすることができるのだし。
「否定しないんだ」
「事実だしな。寧ろ」
そう見えているのならばちゃんと感情を抑えられているということだと言えるし。
「寧ろ?」
「…いや、人に言うことじゃあなかった」
「ふぅん。なら聞かない」
ラムノはそう言うと、俺と並んで鍬を振り下ろし整地作業を始めた。小さな体であるものの一年ほど仕事をしていれば勝手はわかるようで、腰の入った一撃を土に与えていた。
「ラムノも上手くなったものだよな」
「そうかな」
「あぁ。いつか俺より上手くなるかもな」
そうやってくだらない話をして今日も畑仕事が終わる。仕事が終われば水浴びをして、みんなを集めて計算塾をして、母さんの元で夕飯を食べて、布団に入って眠りについて。
毎日がこうして穏やかに過ごせればいいのにと、心の底から思っていたのだった。




