いて欲しい人
これにて一旦毎日投稿は終了します。
付き合ってくださった方々、ありがとうございました!
季節はあっという間に過ぎていく。ちょっと前まで寒くて外に出るのも億劫だったというのに、今は暑さで外に出たくなくなった。しかしそんなことは言ってられず、今日も今日とて畑仕事へと駆け出すのだった。
しかし、昔と比べると野菜を育てるのも辛くはない。こちらが一生懸命育てれば彼らは大きく、立派に育ってくれる。農家の人は育てた野菜を我が子のように思うと聞いたことがあるが、今ではその理屈が納得できるようになった。
そんなわけで今日もジャガイモ畑に来たのだが、そこにはいつもいる人影が見当たらなかった。土や草木の色に似合わぬ髪を持った幼馴染の姿が。
「あ、モーブ。ウォーラ知らないか?」
近くにいた同年代の知り合いに声をかけた。彼は俺の質問に対して心当たりがないか考え込むと、やがて何かを思い出したようで、一文字に閉じていた口が開いた。
「さっきスコードが来てたんだけど、多分一緒にいたのがウォーラじゃないかな」
「スコードが?」
奴は『次期村長』という立場を利用して好き放題やっているアホ男だ。畑仕事などするわけがないし、わざわざ畑仕事などするわけがない。彼が仕事をする様子など想像ができない。
「あいつはこんなところに来るやつじゃないだろ」
「でも多分、あの大きさはスコードだと思うけどなぁ」
…確かに、奴は目立つ。次期村長というその立場ゆえ、俺たち以上に奴の立場は高い。食料などに関しては働かなくても納められるだろう。食べるものが多ければ、自然と体も大きくなるものだ。
わかった。とにかく彼がこの畑に来たということはわかった。だが、何故ウォーラを?
「なぁモーブ。二人がどこにいるのか知らないか?」
「んー。ごめん、覚えてない、かも」
「そうか、ありがとな」
何だか嫌な予感がした。根拠はない。ただの予感だ。
しかしこんな気持ちでは野菜たちに愛情を込められない。俺は鍬をほっぽって、ここにいない幼馴染を探しに行くのだった。




