表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/209

帰りたい場所

まさかまさかの最後の参戦ファイターでしたね。

素敵な参戦ムービーを見た後、私は屈伸煽り厨のスネークにぼこられました。

 太陽が登るのを三回ほど見て。

 俺とラムノは街を出て、そして俺の故郷であるフェンコウの村へと辿り着いたのだった。辺りは既に真っ暗になっており、四回目の太陽を見ずに済んで良かったと思った。

 一人分で持ってきた水や食料だったが、食料は魔法のおかげでなんとかなった。やはりこの能力は、生きていく上での危機を少なくすることができると実感する。

 対して水であったが、これは本当にギリギリの戦いだった。この夏の季節の中を歩き回るのだ。街を出る前に追加の水を買っておかなければ、二人とも熱中症とかで死んでいたかもしれない。割と冗談抜きで。

 とはいえ、何とか俺たちは村まで来れた。あとは「ただいま」と、笑顔で両親に伝えればいい話だ。

 …だと思っていた。


 「ユキト!…誰だ、その娘は」


 村の入り口で待っていた父さん。

 俺と久しぶりに出会った彼が言った言葉がそれだった。俺の予想に反して。


 「誰なんだユキト。答えろ」

 「父さん?どうしたんだよ」

 「余所者を連れてきたのか!」


 わからない。何故彼が起こっているのか、全く検討が付かなかった。

 父さんは信じられない、と言った表情で俺を睨みつけると、その怒った顔で「そこで待っていろ」と言い残し村の中へと駆けて行く。状況を理解できない俺は、結果的に言われたように入り口から動けずにただ固まっていた。

 やがて父さんは一人の老人を連れて俺の元へと戻ってくる。村長だ。


 「おぉ、ユキト。お前は…」


 村長もだ。彼もまた、父さんと同じ目で俺を見る。呆れ、怒り、悲しみ、そんな負の感情しか込めていない瞳だった。


 「ユキト、お前が何を思ってこの娘を連れてきたのかはわからぬ。だが彼女をこの村に通すわけにはいかん」


 …何で?

 頭の中に浮かんだ感想がそれだった。理由がわからない、思いつかない。村の住人が増えることは良いことなのではないだろうか。そう思った俺は目の前の彼らにその理由を聞こうとすると、彼らの方からその理由を話し始めた。


 「余所者は村を滅ぼすかもしれん。その娘が、どこかの組織のスパイかもしれんのじゃぞ」

 「スパイって、ちょっと待ってくださいよ。ラムノはそんなんじゃない」


 大体何が目的でこんな辺鄙な村にスパイなんてやって来るんだ。もっと大きな村や町ならともかく。


 「ラムノは俺が行った街で、両親を失って孤児になっていたんです。俺と同じくらいの歳なのに、明日生きることができるかどうかの生活をしていたんですよ」

 「そういうこともある。この世界は、決して全てが優しいわけではないのじゃ」

 「わかっていたら放っておけないでしょう!?」

 「ではユキト、お前はこれからこの娘と同じ境遇の者たちを見つけたら、全て助けてこの村へと連れて帰るつもりか?」


 …その質問には答えられなかった。極端な例とはいえ、全ての孤児を助けることは不可能だ。仮にラムノと同じ境遇の人物が百人ほどあの街にいたとしたら、俺は全ての人を村まで連れて帰ることはなかっただろう。そんな余裕など、この村にはないからだ。


 「…論点がズレてしまったな。ユキト、余所者を連れてくるなと言った理由はそれだけではない」

 「…え?」

 「信用できない者がこの村に入ったことで…」


 村長はそこで、間を置いて。


 「村の全員が死ぬことになったら、どうする?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ