帰りたい場所
まさかまさかの最後の参戦ファイターでしたね。
素敵な参戦ムービーを見た後、私は屈伸煽り厨のスネークにぼこられました。
太陽が登るのを三回ほど見て。
俺とラムノは街を出て、そして俺の故郷であるフェンコウの村へと辿り着いたのだった。辺りは既に真っ暗になっており、四回目の太陽を見ずに済んで良かったと思った。
一人分で持ってきた水や食料だったが、食料は魔法のおかげでなんとかなった。やはりこの能力は、生きていく上での危機を少なくすることができると実感する。
対して水であったが、これは本当にギリギリの戦いだった。この夏の季節の中を歩き回るのだ。街を出る前に追加の水を買っておかなければ、二人とも熱中症とかで死んでいたかもしれない。割と冗談抜きで。
とはいえ、何とか俺たちは村まで来れた。あとは「ただいま」と、笑顔で両親に伝えればいい話だ。
…だと思っていた。
「ユキト!…誰だ、その娘は」
村の入り口で待っていた父さん。
俺と久しぶりに出会った彼が言った言葉がそれだった。俺の予想に反して。
「誰なんだユキト。答えろ」
「父さん?どうしたんだよ」
「余所者を連れてきたのか!」
わからない。何故彼が起こっているのか、全く検討が付かなかった。
父さんは信じられない、と言った表情で俺を睨みつけると、その怒った顔で「そこで待っていろ」と言い残し村の中へと駆けて行く。状況を理解できない俺は、結果的に言われたように入り口から動けずにただ固まっていた。
やがて父さんは一人の老人を連れて俺の元へと戻ってくる。村長だ。
「おぉ、ユキト。お前は…」
村長もだ。彼もまた、父さんと同じ目で俺を見る。呆れ、怒り、悲しみ、そんな負の感情しか込めていない瞳だった。
「ユキト、お前が何を思ってこの娘を連れてきたのかはわからぬ。だが彼女をこの村に通すわけにはいかん」
…何で?
頭の中に浮かんだ感想がそれだった。理由がわからない、思いつかない。村の住人が増えることは良いことなのではないだろうか。そう思った俺は目の前の彼らにその理由を聞こうとすると、彼らの方からその理由を話し始めた。
「余所者は村を滅ぼすかもしれん。その娘が、どこかの組織のスパイかもしれんのじゃぞ」
「スパイって、ちょっと待ってくださいよ。ラムノはそんなんじゃない」
大体何が目的でこんな辺鄙な村にスパイなんてやって来るんだ。もっと大きな村や町ならともかく。
「ラムノは俺が行った街で、両親を失って孤児になっていたんです。俺と同じくらいの歳なのに、明日生きることができるかどうかの生活をしていたんですよ」
「そういうこともある。この世界は、決して全てが優しいわけではないのじゃ」
「わかっていたら放っておけないでしょう!?」
「ではユキト、お前はこれからこの娘と同じ境遇の者たちを見つけたら、全て助けてこの村へと連れて帰るつもりか?」
…その質問には答えられなかった。極端な例とはいえ、全ての孤児を助けることは不可能だ。仮にラムノと同じ境遇の人物が百人ほどあの街にいたとしたら、俺は全ての人を村まで連れて帰ることはなかっただろう。そんな余裕など、この村にはないからだ。
「…論点がズレてしまったな。ユキト、余所者を連れてくるなと言った理由はそれだけではない」
「…え?」
「信用できない者がこの村に入ったことで…」
村長はそこで、間を置いて。
「村の全員が死ぬことになったら、どうする?」




