都会の怖さ
結局今話もちょっと短めです。
日曜投稿は守るつもりですのでよろしくお願いします。
着いた、着いたのか。
父さんや母さん、ウォーラに見送られて三日後の話。俺は予定通りの日程で街へと辿り着くことができた。
長い道のりだった。焚き火をしようとしても思うように火を起こすことができなかったり、逆に火の勢いが強すぎてテントに引火しそうになったり。それ以外にも山賊らしき人たちに見つかりそうになったり狼の遠吠えに怯えたりと、あの平和な村に住んでいると中々起きないイベントが盛り沢山だった。あの道を帰りにもう一度歩くと思うと、今からでもうんざりしてしまう。
そうだ、一旦忘れよう。苦労してたどり着いたこの街の雰囲気を楽しんだっていいだろう。周りに人がいるということがこんなに安心できることだなんて思わなかった。
「それにしても」
左を見ても右を見ても人、人、人。常に誰かの声が聞こえるこの環境は、良く言えば賑やかで、悪く言えば騒々しい場所だった。何だか昔に東京へ遊びに行った時を思い出す。
こんなに人がいると、油断しているとすぐに人にぶつかってしまいそうだ。スリがいると聞いたし、それにも気をつけなきゃいけない。売り物の木彫り細工みたいな大きなものを盗む奴なんていないだろうけど、宿代や食料補充のための金が入っている財布は盗まれないようにしなくちゃな。
そう思い財布の場所を再確認しようと胸元のポケットに手を伸ばした時。
「おわっ」
正面から帽子を深く被った子どもが強くぶつかってきた。危ないな、あんな小さな体でぶつかったら怪我をしてしまうかもしれないというのに。
…と、ここで気が付いた。顔が見えないほど帽子を深く被った子ども、正面からの衝突、ぶつかったというのに謝りもしない。
まさか、と思い財布の在処を確認すると。
ない。
「…早速かよ!?」
お手本のようなスリに出会ってしまった俺は、くたびれた体に鞭を打って遠く離れた子どもを追いかけるのだった。




