魔法を隠すために
すみません、今回前書きをスキップさせてください。
時は流れて夏真っ盛りのある日のこと。俺と村長は二人して頭を抱えて悩んでいた。至極単純な問題を見逃していたのだ。
そう、俺たちは『大量のパンを用意する理由』が必要だということに気がついた。いくら俺がパンを作ることができるとしても、そのパンがどこから現れたのかを説明できなければ怪しすぎるだろう。変な噂だって立つに違いない。
一応、俺が魔法を使えると村中に言いふらしてしまうのも一つの手ではある。だがそれでは村人が俺の力を頼るようになる可能性が生まれてしまう。今まで通り、この魔法のことは伏せていた方が良いだろう。
うーん、どうしたものか。
乾物ならともかく、俺が作ったあのパンが長持ちするとは思えない。倉庫に溜めておいたらカビだって生えそうなものだ。
そういった心配事もあり、各家庭に配れるほどのパンを用意するタイミング、そしてそれができる理由というものを二人で模索している。だが数時間ほどあれこれと考えてみても良い答えが出てこなかった。
「村長、もしかして俺たちだけじゃ解決策なんて出ないんじゃ……」
「うぅむ、そうじゃのう」
今までに出た案といえば、街へ遠征に行った際にパンが安売りしていた、知り合いからパンをたくさんもらった、直接パンを生み出す方法が見つかったなどといったものだ。やはり思考が煮詰まると変な方向に考えてしまうようで、後半に出てきたアイデアなどまるで意味がわからないものだった。
時間が経ち、結局アイデアが思いつかなかった俺と村長は他の人の知恵を借りようとした。俺の魔法について知っている残りの人物は父さんとラムノ、ウォーラの三人だ。この中だとやはりラムノが心強い味方になりそうだが……。
「……ただいま」
と、そこで買い出しをしていたスコードが戻ってきた。時間は経ったものの、彼と俺の関係は未だ良いとはいえない。なので一度この家を出て、後ほど改めて村長と相談しようとした。しかし。
「あ、そうか」
スコードが持っている買出し用の紙袋を見て閃いた。このアイデアならば、比較的怪しさが少なく済むかもしれない。




