特訓の成果
小説というより報告文みたいになっちゃいました。
「どうした、食わないのか」
「……いや、食べる」
夕飯の時間、父さんが心配そうな顔でそう言った。魔法の特訓のためにたくさんのパンを作り出したのだが、それを捨てるわけにもいかず全部食べていたら腹が一杯になってしまった。作った数など覚えていないが、しばらくはパンを見たくもないと思うくらいは食べていたと思う。
だが、そのおかげでいくつかわかったこともある。最初の目的であった確かめたいこと二つ、パンの味とパンの大きさについてだ。
まずはパンの味。結果から言うと、パンの味や種類を変える方法が見つからなかった。想像するイメージを変えてもダメ、何かと言葉を唱えてみてもダメ。一応ポーズをとってみても何も変わらなかった。他に何か要因があるかもしれないが、見つけることはできず。俺の前にはただただ味の薄いボソボソとしたパンだけが生まれてきた。
しかしパンの大きさはというと、これは意識でコントロールできることがわかった。いつもは両手をくっつけたような大きさのコッペパンを作っていたのだが、小さい物を作ろうとすればいつもの半分ほど、大きい物を作ろうとすれば顔くらいの大きさの物を作ることができた。これは大きな発見ではないだろうか。
そして何より、本当に無制限にパンを作ることができることに驚いた。パンを作ることで疲れるだとか、体に異変が起きるとかもなさそうだ。疲れは感じないし、外見に変化が現れるのであれば家に戻った時に皆に指摘されるだろう。改めてこの魔法の凄さを実感した。何の労力もなく物を生み出せるだなんて、まるで神の力だ。……いや、この力は自称女神から貰った力なのだから神の力で合っているのか。
ともかく今回わかったことは三つ。『味は多分変えられない』『大きさは変化することができる』『パンを作ることに代償は無さそう』ということだ。神様からいただいたこの魔法、できるだけ使い方を間違えたくはないものだな。
「具合悪いのか?」
「そんなことは、ないよ」
……考え事をしている間にも夕飯は冷めていくわけで。
せっかく作ってもらった料理を残すわけにもいかず、俺は無理やり今日の夕飯を胃に突っ込んでいくのだった。




