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第8話 結果オーライ

女神アシスタ

『現在の神時間の経過は18,296文字!

残り1,704文字です!

 興奮しすぎて息が荒く、頭に血が上ってクラクラする。

 そんな俺の手を引いて緒音さんが路地裏に連れ込んだ。


「……大丈夫、蹴られたところ痛くない?」

「平気…………ご……」


 頭が冷えてようやく自分がしでかしたことの意味を知る。


「ゴメンなさい……こんなことに、巻き込んでしまって……」


 十五歳になっているからだろうか。

 涙腺が脆くて簡単に涙が溢れてくる。

 うずくまって膝を抱えて泣き出した俺の身体を抱くようにして緒音さんが横に座る。


「サダメくんのこと、思った以上に私知らなかったみたいね」

「……あまりおもしろい話はないから」

「おもしろい話ばかりで語り尽くせる人生なんて薄っぺらいよ。

 痛いこと、辛いこと、後悔していること。

 そのすべてを抱えて今いるのが君なんだよ。

 ……君のことを教えてくれない?」


 辛い時に差し伸べられる手の尊さに俺はすがりついた。

 まるで懺悔のように連中とサダメとの間にあったことを緒音さんに語る。

 もちろん、俺が転生したことについては触れていない。

 いじめられっ子のサダメが屋上から飛び降りて入院したのをきっかけに復讐のため身体を鍛えて反撃した、という話を。



 彼女は我が事のように悲痛な顔をしながら俺の話を聞いてくれた。


「私は……サダメくんがやったこと悪くないと思うよ。

 だって死にたくなるくらい追い詰められていたんだもん。

 それで助けてくれる人もいなかったから……」

「でもやり方を間違ったんだ。

 アイツらを追い詰めたから今日みたいなことになった」


 今になって思う。

 前世の俺の不幸は尋常なものではなかったが、そのうちのほとんどは俺の立ち回り一つで回避できたのではないのかって。

 俺の力を恐れた貴族どもにあらぬ疑いをかけられた時、勇者だからと踏ん反り返ってろくな宮廷工作もしなかった。

 裏切った仲間たちを次から次に殺したせいで彼らの弟子や子供たちにも復讐の対象とされた。

 人里に寄ることなく無人の島で完全に自給自足の生活でもしていれば、焼かれる村も無かった。


 前世も今世も俺は自分の力を過信し、そのせいで次の不幸を招き込んでいる。

 なんて反省のない男だ……


「……でも、格好良かったよ」

「え?」


 目の前の緒音さんは薄っすら頬を赤めまっすぐ俺を見つめている。


「前から思ってたんだけどサダメくんって顔つきが真剣というか、凄く締まってるというか。

 勉強とかに集中している横顔とか見て、たまにドキッとさせられてたんだよね。

 さっきの怒鳴っている時とかも、物凄く怖い顔だったし彼らにとっては恐怖以外の何者でもないだろうけど、私には頼もしかった」


 そう言って、彼女は俺の頬を包むように手を添えて、


「ねえ、サダメくんは私のどういうところが好き?」

「え………」


 一言で表せない。

 その危うげで可憐な容姿も真摯で情が深い性格も気さくで歳が離れていても親しみやすいところも、全部が好きで、今、この一瞬一瞬も好きが深まっていく。


「今、ドキドキしてます。

 緒音さんのことが好きだから」


 答えになっていない返答に緒音さんは「ああ」と息を漏らす。


「そっか……だったら、いま私が君に触りたくて仕方ないのもきっとそれだ」


 頬を掴む緒音さんの手に力がこもる。


「はじめて、男の人を好きになっちゃったからだ」


 子供のように悪戯な笑みを一瞬振りまいて、俺の唇に彼女の唇がふんわりと触れた。

 冷え切ってしまっていた身体と心に熱い血を流し込まれたような感覚。

 そして、怒涛に押し寄せる混乱――――


 何が起こっている!?


 え、なんで緒音さんが俺と!?


 ……いい匂い、だけどちょっとだけニンニク料理の香りが……



 落ち着け! 落ち着け! 落ち着け俺っ!!

 まずは状況の把握だ!!


「緒音さん」

「うん」

「俺と……付き合ってくれるの?」


 彼女は少し間を置いて俺の表情を楽しむように観察してから、


「このキスじゃ答えにならない?」


 そうやって俺を試すように見つめる目は前世で出会ったどんな美女よりも蠱惑的でまた天真爛漫としたもので、頭が複雑なことを考えるのを放棄した。


「いえ、ありがとうございます」

女神アシスタ

『現在の神時間の経過は19,926文字!

やりました!!

無事、20000文字以内に恋人ができました!!

ブラボー! おおブラボー!!


勇者様と緒音さんに幸あれ!!


さて「面白い!」「続きが気になる!」と思ったら、遠慮なく感想を書き込んでくださいね!


また下にある【ポイントを入れて作者を応援しましょう!】

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では、また明日お会いしましょう!』


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